表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

9.私の夢

「小鳥遊おめでとう、引率者なしでの探索が許可されたぞ、ただしお前にはまだ前衛の技術が足りない、まずは初級上位か中級下位で戦闘経験を積め、上級には絶対に行かせないからそのつもりでいろ」

「はい!わかりました!」

「鷹見もだ、全属性の合成魔法が使えるからと言ってすぐに中級上位や上級に言ったら死ぬと思え」

「わかりました先生」

「よし!堅い話はこれで終わりだ!最近お前らには毎日のようにダンジョンに潜ってもらっていたからな、明日以降万全の状態でダンジョンに挑めるように今日はゆっくりした方がいいぞ、まあ、いやじゃなければ私がお祝いに何か奢るのもやぶさかじゃないがな」

「わーい!私パフェがいいです!」

「理恵ちゃんがパフェなら私もそれで」

「ならおすすめの場所があるからそこに行くか!」


 先生おすすめのお店に着く、どう見ても高級なお店だ、外観でそれがわかるのはもちろん、メニューに書いてある値段も一桁間違っているのかと思うほど高い。


 無理しているのではと先生とみるが、彼女は慣れたようすで席を取り、メニューを開く。


「今日はアタシのおすすめでいいか?」

「「は、はい!」」

「ははは!緊張するな!この時間は私たちの貸し切りにしてるから周りを気にしなくても大丈夫だぞ!」

「か、貸し切り……?お金は大丈夫なんですか?」

「先生お金持ちだ!!すごい!!」

「この程度の出費は探索者にとって贅沢にはならない、上級以上に挑めるようになればお前たちもいずれこうなるさ」


 そう言うと、卓上のベルを鳴らしウェイターを呼んで注文を伝える。

 少しすると今まで食べてきた美味しいパフェがかすんでしまうような、フルーツ一つ一つがまるで輝いているようなパフェが到着した。


「「い、いただきます」」


 パフェを口に運ぶ、すると、口の中に幸せが広がった、クリームの甘さとフルーツの甘さや酸味が口の中で調和をもたらす、普通のパフェがおいしさの足し算と表現するなら、こちらはおいしさの掛け算だろう、互いのおいしさが何倍にもなって口に広がる。


「「………………」」

「おーい、どうした?美味しくないのか?」

「「ハッ!!!」」

「こここ、これ美味しすぎるよ!ナニコレ!ほんとにこの世の食べ物なの!?」

「先生!こんなもの食べさせて!私先生のこと恨みます!これまではコンビニスイーツや、ファミレスのパフェで満足していたのに!これじゃなきゃ満足できない体になってしまいます!」

「ははは!気に入ってくれたようでうれしいよ」


 パフェを食べ終わり、満足したところで先生が話し出す。


「お前ら、何か夢はあるのか?」

「………すみません、私は今は特にないですね…」

「うーん、こう言ったらうざいおっさんみたいで嫌なんだが、ダンジョン探索に関して夢は持っておいた方がいい、夢を持ってれば上のダンジョンに挑む覚悟もしやすくなるしな、小鳥遊はどうだ?」

「まだ誰も攻略したことのないダンジョンを踏破することです!!」

「それはまたでかい夢だな!」


 理恵ちゃんはちゃんと目標を持ってる、私はただお金を稼げればそれでいいと思ってたけど、それじゃ理恵ちゃんとずっと一緒に探索を続けることは出来ない、どこかで離れることになる、それも私が原因で………


「私……理恵ちゃんとずっと一緒に探索したい……」

「???、私もだよ?」

「でも私、ダンジョンに対して夢を持ったことない、ただ逃げるためだけにここに来たの、お金を稼げればそれでいいって思って」

「そうなんだ、お金って大事だよね!」

「だから、理恵ちゃんの夢貸してくれないかな、私の夢は理恵ちゃんの夢をかなえること、それじゃだめかな……」

「私はいいよ!先生にとって良いかはわからないけど……」

「まぁ、良いんじゃないか?とにかく上に行くための目標があればすぐに探索者をやめることはないだろう、その中で自分だけの目標も見えてくるさ」


 ダメだと言われたらどうしようかと思った、やっぱり理恵ちゃんは優しい、その温かい心が、まっすぐ届くから私は彼女のことが好きなんだ。


「そうだ!じゃあ、チームハウスの申請しようよ!」

「チームハウスって?」

「チームハウスって言うのはその名の通りチームが住むための家だ、長い間一緒に探索するのに寮内で部屋が離れてたり、門限や就寝時間があるから夜遅くまで相談できないのは不便だろう?そこでチームハウスを申請すれば、寮と違って家賃を払う必要はあるがずっと一緒に居られるってわけだ」

「ずっと一緒……理恵ちゃんとおはようからおやすみまで……」

「エリちゃん!?鼻血出てるよ!?どうしたの!?」

「な、何でもないよ……?甘いものいっぱい食べたからかな…?」


 一緒に住んだら私は死ぬんじゃないだろうか、でもこの誘いを受けないのはかなりもったいない……覚悟を決めろ鷹見恵理、自分が失血死しそうになってでも理恵ちゃんと同棲する覚悟を……


「私も理恵ちゃんと一緒に住みたいな!」

「じゃあ決まりね!先生!申請は先生に出せばいい?」

「いや、その申請は担任の五十嵐に出せ、あと、死ぬなよ?鷹見」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ