バトルに勝たないと結婚させられる
12年後
「二回戦勝者、アグネス・ガレット公爵令嬢。」
この試合の審判アビトレのおねいさんもびっくりした顔で、目の前の状況を見ている。
そりゃ、最弱の魔物と言われるスライムをパートナーとしたものが最強の魔物の一つ、ドラゴンに激闘の末、勝っちゃたんだもの。
地面に物理的に沈み首だけを地面から出して、生首状態のドラゴン。
ワタクシは、そのパートナーの人間をスライムの特性を発動させた柔らかな体でくみ伏せていた。
「あと一回、ワタクシが、勝てば、結婚の話はなしよ」
ワタクシは息切れしながら、彼の耳元で囁く。
「俺もあと一回で勝つけど、君は勝ち上がったとしても」
彼の小声を遮るかのように司会者プレジドンの人の声が響く。
「この戦いで、この国の王が決まる。さあ王様になるのはどっちだ。スライム令嬢アグネス・ガレットか。
ドラゴン貴公子ガブリエル・エトワルか。」
金色のドラゴンの瞳を持った目を細めて、頬の黄金色の鱗にヒビを入れながら、口角をあげた。彼はわたしを笑った。
どうしてこうなったんだ。
あの時完全にスライムのふりをしておけばよかったのか。
なんで、テロをするんだよ。