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イチャつく2人に世界樹の福音を  作者: 筆々
1章 こうして彼女は出会った。
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5話 ウサギと一緒に課題を考える

「……あのババア、いつか絶対目に物見せてやるですよぅ」



「どーどー、いい加減食べないという選択肢を一考してはどうですか?」



「それはヤ、なんか負けた気がするするもん」



 アンナは一体何と戦っているのか。僕は呆れてため息交じりに作ってきた昼食のお弁当から卵焼きをお箸で掴み、それを彼女の口元に近づける。

 アンナがあ~んと口を開いてくれたから、そこに卵焼きを放り込むと、嬉しそうに食べており、僕の頬も綻ぶ。



「ステちゃんのお弁当はいつも美味しいよぅ」



「これからはアンナの分も作ってきましょうか?」



「ううん、こうして食べさせてもらえるのがすっごく嬉しいからこのままでぇ」



 あ~んと口を開けて待っているアンナに微笑みを返し、ご飯を食べさせる。

 まあ今日も購買でやらかすだろうと考えていたから、多めに作ってきていたので量に関しては問題ないのだけれど、何よりもこの可愛らしい笑顔が見られるだけで大分お得ではある。



「あ~……そう言えばステちゃん、課題どうするか決めたぁ?」



「課題――ああ、商業科以外の学科の人たちに依頼する。という課題でしたか」



「そうそうそれ。ウチどうしようかなって全く決まんないんだよぅ」



 依頼する。これだけなら簡単なようにも聞こえますが、僕たち商業科に求められているこの課題の本質は、まず相場を見極めること。それと依頼を受けるだろう者たちの実力の把握。

 つまり自身がどんな依頼を出し、その報酬はどれだけか。を僕たち自身でリサーチし、その依頼は依頼を受けてくれる者たちの実力に合っているのかを把握する。

 学園に出す依頼ですから、あまりにも難易度の高い依頼はそもそも受けてもらえない。

 報酬が低すぎても受けてもらえない。だからといって高すぎても怪しまれる。もしくはお金持ちのごり押しかと嫌がられる。



 そう言うことを含めて僕たちは依頼を出さなければならず、アンナが苦戦しているのも頷ける。



「僕は普通に護衛にしましたよ」



「う~ん、そっかぁ。ウチはどうしよぅ」



 机に突っ伏してうんうん唸っているアンナの口からチゥと舌が飛び出しており、相当悩んでいるのが窺える。

 そこで僕は少し考え込み、アンナに提案することを決めた。



「ねえアンナ、実は僕、目的地と目的をまだ決めていないの」



「えぅ?」



「もし良かったら共同で依頼を出しませんか?」



「え、それいいの?」



「はい、先生にも確認済みです。僕たちの目的は依頼を出すことであって、1人だろうが2人だろうが、目的が達せているのなら良いと言うことです」



 むしろ共同なら依頼料にも余裕が出来ますし、報酬以外にもお金が回すことが可能になる。

 つまりお昼付きとか、戦闘用アイテムや回復アイテムの提供用意ありなどなど、依頼を受ける側からしても好意的に映るのではないでしょうか。



「どうでしょう? アンナが良ければなのですけれど」



「大賛成だよぅ! 正直、どうすればいいのか全然わからなくて」



「それなら1つ提案なのですけれど、アンナは確か物の鑑定が出来ましたよね? 現地まで行って僕たちが採取、戦闘科の方にそれを護衛してもらうという依頼はどうでしょうか?」



「あっ、それいいかもぅ。ウチ丁度鉱石が欲しくて」



「それならウリアン坑道ですかね。行きで30分ほどですし、学生の依頼としてよく使われているところでしたよね」



「うん。魔物は……確かあまり強くないんだよねぇ?」



「ええ、道中も坑道の中も僕たちでもなんとかなるくらいの魔物しか出なかったはずです」



 僕は紙を取り出し、目的地と目的、達成条件を書いていく。

 あとで依頼書に清書するために在る程度のことは今決めておくことにして、アンナに色々と尋ねる。



「わぁ、これなら課題何とかなりそうだよぅ」



「そうですね。あとはどなたが依頼を受けてくれるかですね」



「だねぇ。横暴な人もいるみたいだし、出来れば優しい人が良いよぅ」



 アンナの言葉にうなずき、あとは纏めるだけだと2人で喜ぶ。



 初めての試みであるために、正直胸の高鳴りがある。

 あたしの世界では体験できなかったことだ。

 こういうことにあまり喜びすぎるのは品がないかもしれないけれど、それでもやはり、友人と一緒に考え何かを成すと言うことはとても貴重なものである。



 僕はアンナに目をやり、この子の言うように優しくて一緒に何かを成せる人たちが一緒であることを僕は願うのでした。

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