9.年上とは年下の先を行くものと言われがち
予約をし忘れるアホがここに居るんだってぇ!!!!
HAHAHA、ごめんなさい
「そういえば…【本田】?何分掛けた?」
え、いきなり何?どうせあんたら俺より早い時間で倒すじゃん…
「う~ん…大体7分ぐらい?」
「おっけ~」
「7分か…」
二人とも少し準備運動をしてから俺にいつでも出していいと合図を出す
「「gaaaaaaa!」」
二人の目の前に同時に召喚されたスモールレッドワイバーンの咆哮を戦闘開始の合図の様に二人が同時に動き出した
「おぉ、二人とも凄いな…」
「でしょでしょ!うちの兄ちゃん達は凄いんです!」
一瞬でスモールレッドワイバーンの動きを見切って回避行動をとる二人を見ながらおっさんも感嘆の声を漏らす。結局俺と同じぐらい時間をかけた後、二人ともスモールレッドワイバーンを倒してほぼ同時に終わってしまった
「ね?私には倒せなかったワイバーン君倒しました」
「それはレベルと装備に差がありすぎるから却下、さて…nameはどこまでわかった?」
「そうだな…基本は噛みつき、引っ掻き、突進、踏みつけ。飛行したら火吹き、捨て身タックル。少し大きめの行動をするときには必ずその行動をする前に咆哮もするみたい。突進とか、飛行モーション、火を纏うとか全身で何かする系かな…あ、飛行中に翼を攻撃しようとすると大きな隙ができる。やっぱり空を飛ぶ系のモンスターは翼が有効なのは変わりない。目測5m以上離れたら飛行モーションがされやすい、10mで確定。パターンでハメるなら離れては飛行キャンセルが一番簡単でノーダメで行けるとは思う、飛行キャンセルはちょっと良く分からなかったけど。火吹きモーションは喉に一定以上のダメージで出来なくなることも確認できた。細かいダメージ具合は分からないけど…あとは引っ掻きや噛みつきに火属性付与が入るパターンもあったね、それに対処してると2分周期で火を纏うみたい。近くに居る程長い、少し遠めに距離を持つと火を纏うのをやめてまた飛行しようとするから多分だけど火を纏ってると他の行動ができないか、火を纏うことで何かしていると想定できる。火を纏っているまま放置しておくと恐らく体力回復か大技のどちらかが来ると思う。そんな感じの待機モーションな気がする。喉が生きてたら火球で喉が死んでたら体力回復とか…多分そんな感じ。あと逆鱗っぽいうろこが一ヵ所だけある、多分そこを叩けば結構な怯みモーションとか入るんだろうけど俺には当てる程スピードがなかった」
「私はあまり見るの得意じゃないから確証はないけど…噛みつきの後は大体引っ掻きか踏みつけ。突進は絶対に来ない。連続で失敗するほどイラついてんのかわからんけど踏みつけが多くなった気がする。一瞬飛行モーションのようなフェイトを入れると引っ掻きが来る。フェイントと本物の飛行モーションの見分け方は「モーションに入る前に咆哮をするか」だと思う。【name】ができなかった逆鱗への攻撃はまさに予想通り、大きい怯みモーションが入った。あと薄い翼膜をある程度破る感じで攻撃してると飛行モーションは取らなくなる。部位破壊状態だな、ま~あとは火を吹くときに懐まで潜ると驚いて確定で踏みつけになる。他は【name】が言ってるのと一緒かな~。nameとのモーション見通し勝負、私の勝ち」
「…は?」
「ね?」
おっさんがあまりの驚きに顎が外れそうなぐらい口が開きっぱなしになったのを見て安心する。やっぱり俺の予想は当たっていた。感覚派の長男でさえ俺以上の情報を見つけ出している、俺如きが敵うはずがない圧倒的才能。それ相手に俺は勝てるところを探しているんだから大馬鹿者だろうな
「幸い私達が戦ったことがないモンスターでよかった。これぐらいわかりやすい相手なら本田はもっと見れてたんじゃないの?」
「そうそう、いつも俺達が気づかない所に気づいてるじゃん」
「兄ちゃん達が気づいてなくて俺が見つけたのは、空飛ぶときほんの少しの溜め時間と頭を大きく下げて両翼とも大きく広げた後、目測50cmぐらい浮いたところで何でもいいから攻撃を仕掛けると飛ぶのをやめてこっちに反撃しに来るぐらい…それに兄ちゃん達の方が俺より多くの情報を見つけてるよ…」
「嘘つけ、絶対に見つけられてただろ?」
「普通は飛行されたら少し距離を取って様子を見るところであえて近づいて攻撃か…【本田】みたいな決まった型が無いからこそ見つけられる情報だな」
いや~…絶対この人たち俺をからかってるだろ…二人とも俺以上だっただろ。ほらおっさんもなんか言え
「ふ、二人とも何か…小さい頃から戦うゲームをやっていたのかい?」
「いや…私の世代はまだゲームはコントローラー使う系のものでしたし、本田が大きくなってから皆で始めて、少し前からハマってるんです」
「俺も結構最近めだった気が…この頭装着型ゲーム機を使うのを兄姉弟に勧めたのは俺ですけど、始めたのはほぼ同時期です」
「私たち初めてまだ一年も経ってないよ?これまではスマホのゲームで遊んでたし」
とは言ってもこの頭装着型ゲーム機が出たのもつい3~4年前だ。ゲームの新世界を切り拓いたと噂されていたからやりたかったが周りからすると結構なスロースタートで最初は周りとの差に戸惑ったが兄ちゃん達は圧倒的センスでどんどん周りに追いついた
「【本田】ちゃんを見たときは異常だと思ったけど…ここまで行くともう異常を超えてバグだな…」
「人をバグ呼ばわりは失礼だよ?」
「あ、あぁ…すまない」
「「いえいえ」」
二人とも息があっている。やっぱり一番行動を共にしている二人組なだけあって言うことまで一緒になってきてる
「こんなもんで良いですか?」
「あ、あぁ…呼び止めてすまなかった」
「「「ではまた」」」
俺達はその場から離れて今受けているらしいクエスト、『黒田坊の大事なもの!』のクエスト対象フィールドに移動していた
「【味噌スープ】さんに例の記憶のワイバーンの話したん?」
「いや、兄弟チャット以外では言ってない」
「それが良い、あと俺達のほうが凄いとかもあまり言わんようにね。単純にそんなにすごくないけ」
「いや、事実しか言ってないが」
「も~」
長男が頑固だな~と頭の後ろに手をやって歩いているとフィールドに着いた。妖魔の大集落、基本的なモンスターはゴースト系とされている人魂などだが、たまに死人もでてくるとかなんとか
「人魂系は基本的に属性攻撃しか効かんから魔法とかが良いんやけど。まぁ剣に属性付与の魔法をかけたらいつも通り戦えるけん、【本田】はまだ属性付与の魔法を覚えてないやろうけ後ろで待機。死人とかが出てきたら出てきて戦ってもらうって感じで」
「はーい」
「いぇあ」
クエストの内容は黒田坊とあだ名のついていた人の墓まで行って、墓石に隠された暗号を見て黒田坊がどこかに隠したとされる大事な物を見つけること
「最悪戦わんでもいいクエストやけ安心やろ?」
「まぁ、かと言って相手が弱すぎても楽しくないけど…作業ゲー感が否めん」
「「分かる~」」
三人で「うんうん」と頷きながら進んで行くと件の墓に着いてしまった。あれ?モンスターが一匹もいなかったな…バグか?それとも俺達以外の誰かがスローターしたか?
「え~っと何々?漬物屋の裏にある木の根元に大事な物の在りかを示した地図を隠した…」
「うわっ、こいつ回りくどいことするな~」
「めんどくさいな~」
愚痴をこぼしながらまた移動を始める。ってかなんだこれ、ドラゴンでクエストみたいなお使いクエだな…
「そういえばさ、本田の学校にさ、変な怒り方する先生おらん?」
「え?ん~…」
変な怒り方…?怒っている姿をみんなにバカにされてた先生とかか…?そんな先生もまだ学校に行き始めて一か月も経ってないのに見つけているわけなんてない
「あ、「ねちゃ~!」って怒る先生おる」
「その先生の苗字は?」
「京極」
「じゃあ違うか~」
長男が少しテンション上がり気味で俺の肩を揺らしながら聞いてくるが名字が違うのがわかって残念そうだ。さてはいつも俺以外の兄弟で話題になる例の先生か?残念だったな…兄ちゃん達が行っていた高校は俺の行っている高校と違ぁう!
「まず、本田の学校は違うよ兄ちゃん」
「あれ?そうだっけ?」
「うん、本田が行ってる高校はほら、龍前高校」
「残念でした~、兄ちゃん達が行ってた来将高校みたいな超絶頭良い進学校じゃないんです~」
「別に来将も頭よくはないけどね」
「はへぇ~、やっぱり成功作達は言うことが違うねぇ~」
「…!」
「凌!」
俺は別に嫌味ったらしく言ったわけでもない、それにほんとに普通に言っただけだ。それなのに長男は驚いた様子で目を見開いてるし次男は鬼のような形相で俺の初期装備の襟を掴んで何故かブチギレたあまり怒るような人じゃないのに
「えぇ…?何にそんな怒る?!」
「そんなこと…!そんなこと二度と言うな!」
「別に良いじゃん、本当のことなんやし」
「本田、もしかしてまだ…あのこと気にしとる?」
「…?何が?あのことって?」
「いや、その…何もないわ」
ん~?なんか煮え切らない感じだな…まぁ良いけど
「ちょっち【本田】にお使い、聖水をシルバーベルの教会で貰って来てくれん?ゴースト系には効くらしいし」
「ん~?こりゃまたいきなりで…おっけ~」
シルバーベルか…確か街の中央にある転移陣で前に行ったことある街には行けるはずだよな…?これでまたダンジョン行ってボス倒して転移してをしなきゃいけんのならめんどくさいな…
「じゃ、行ってくら~」
「ん、頼んだ。慌てずゆっくりで良いからな」
「へ~い」
「やっぱりまだ気にしてんのかな…婆ちゃんが言った冗談」
「まぁ、あの時の空気感は異常やったけんね。そりゃ自尊心も自信も無くす。小中と学校で先生達にも色々言われてたらしいし…」
「…酷よ。まだ高校生になったばっかりの育ち盛りの子供なんに…」
「何が酷い話って、その扱いを受けてきたせいで本田は前より明るくなったし優しくなったって所よ」
「せめて俺達が原因な所はどうにかしてやりたいけど人間そう変わらんからなぁ…焼け石に水でしかない」
「あ~も~!なんで婆ちゃんもあの時「凌は佐藤家の失敗作、凌以外は自慢の成功作」なんて言ったかな~…!」
「母さんも父さんも笑うだけで何も言わないし俺達もあまりにも言葉が酷すぎて固まってたからな、婆ちゃんが全部悪いじゃない。これは俺たち全員の所為」
「あの~、聖水貰いに来たんですけど~…」
「おや、これはかわいいお嬢さん。誰かのお使いかな?」
おぉ、the神父って感じのおじいさん?おっさん?おじさん?だ。優しいの塊の見た目してる!すげぇガチな神父さんだ~、感動的…!
「うん!幽霊さんと戦う為に聖水が欲しいって言ってた!」
「そうか~よしよし…おや、どこか痛いのかい?」
「え?」
「泣いているじゃないか、どこか痛いところがあるのかい?念のために永続回復魔法を掛けておいてあげよう」
「あれ…なんで…」
最近感動系のアニメは見てないぞ…!涙腺が壊れかけてる…!俺の精神そんなに限界気味なのか!?
「大丈夫、大丈夫…止まれ、止まれ…」
「嬢さん、君は今までで少し嫌なことが多かったのかもしれないね…運命神様は君を見てくださる。これから良いことが起こるよ」
じゃあ何で神様は嫌なことを黙認してるんだ、と言ってやりたいがまぁいいや
「ありがとう、お兄ちゃん達も喜ぶと思う」
「ん~…君は見た目と中身が少し違うね…しっかりしている。幼く見えるというより、見えるようにしているみたいだ。もっと歳相応とか考えない言動で良いんだよ。ありのままの自分で行こう」
こ…この神父さんやべぇぇぇぇぇ…!俺の中身が違うとか言ってるよこのAI神父!メタ的な感じで考えるなら俺が男だってわかるんだろうけども…!いざ言われると怖っっ!
「じゃあね!また来ると思う!」
「あぁ、また来た時はゆっくりしていくといい…」
ちょっと怖い神父さんと半ば強引に分かれて兄ちゃん達の元に急いで戻ると兄ちゃん達は殆ど場所を動かずに座り込んで話し合っていた
「あ!兄ちゃ…」
「だから、あいつ自身は凄いんやって」
「分かっとるって…でも無くした自信や自尊心はよっぽどのことがない限り戻ることはない。今まで俺達が褒めてきても本田が真に受けんかったのが動かぬ証拠ってやつ」
「何でそんなに自分のこと卑下できるんよ…!」
「そりゃ身近にもっとすごい人が居たら真に受けづらいやんね~?」
「「うおっ!!」」
後ろから驚かしてみると長男は今にも泣きそうな顔だった
「えぇ…どうしたのよマジで…今回なんか情緒おかしくない?はい、聖水」
「別に…お前がそれで良いなら良いんよ」
「今以上の幸せを望むのはそこら辺の俺より幸せじゃない人に失礼ってもんさ」
「そうか~…なんか欲しいものある?入学祝に買っちゃるけど」
「ん~、このゲーム貰ってるしなぁ…特に無し」
「「そっか~…」」
神父さん
名前が一応はあるが、プレイヤーの中で名前を呼ぶ人はいない。神父さんとしか呼ばれないらしい。結構な重要キャラにする’’予定’’ではあるが強キャラにするか弱キャラにするか、どんな立ち位置にするかは全く考えていない模様
過去編はいつか書きます。いつか、いつか…
過去編を書くのは決定事項なんですけど、内容をどうするか検討中で気になりすぎてちょっと筆が止まってるところあります。お婆ちゃんをいい方に持っていくか…ガチで悪いようにするか…いっそのこと一族丸ごと悪く見えるように書くか…?




