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17.記憶の塔に吊るされた男に忘却という月夜の審判を 1-1

久々の本編ですね。現在4~5話先を書いてますがそのうち3話ほどが没になりそうです

「お~い、ワイバーンさ~ん」



適当に辺りに声をかけているが特に返事もないし、空間的に狭いせいで普通のワイバーンすらいない



「もっと奥かな…?」



マリーオには内緒にするつもりだが道中で見つけた鉱床は必ず叩くようにしている。そのせいで捜索速度がありえない程遅いけど…でもそれぐらい鉱石が無いと投げナイフ作成で手持ちがほとんど持っていかれるから仕方ないのだ。そう、これは不可抗力というものだ


銅鉱石、鉄鉱石、銀鉱石、夜光石、謎の琥珀…あ、金鉱石出た



「ドラゴ鉱石とか欲しいな~。竜特攻付いてるみたいな話あったし…ドラゴニア山脈にしかないのかな」



そう言いながらもキラキラと光っている鉱床を叩いていると他とは毛色の違う石が出てきた


竜石

ドラゴンの力が詰まった宝石。とても珍しく、売るとしばらくは働かずに豪遊ができる。武器に使用すると竜の力が宿り、多種多様な種族に特攻の効果が付与される



「やったぜ、神様みたいな石手に入れてしもうたわ。売って鉱石を市場で買い漁るのもありだねぇ…」



まぁ、どうせエリクサー症候群のせいで使わないでインベントリの中に入りっぱなしなんだろうけど…


そんなどうしようもないことを考えながら少し歩いていると後ろに全身から悲鳴を上げるように寒気がした。振り返るとフードを深くかぶった女性が居た



「え、あの…こんばんわ…」


「こんばんは」



いや、滅茶苦茶怪しいですやん、マリーオにメッセージを…



「マリーオ…?メッセージ?」


「…!」



俺は言ってないぞ…?記憶のワイバーンということは相手の思考を読むことも可能ということか…?



「思考を読む…」



考えるな…何も考えるな…!



「あなたの大切な物…何?」









「ワイバーンって言っても見た目とかわかんないしな~…」



ワイバーンが居なさそうな細い道を通らないと少し広いところに出ないのがこのドラゴニア山脈のめんどくさいところなんだよね…めんどくさっ、サボって探したふりだけしようかな…鉱石集めて一割ぐらい渡せば許してくれるでしょ本田なら


刹那、足先から頭の先まで感じる程、大きい謎の寒気がした


後ろを見ると深くフードを被った男性が居る



「ふ~ん…少しお姉さんと遊ばな~い?」



急いで本田にメッセを飛ばさないと記憶が消されるかもしれない…!



「記憶が消される…?何を言っている」


「えっ…ちょっと何言ってるわかわらないかな~?ハハハ…」



三十六計逃げるに如かず…!


あれぇ?後ろ振り返っても居るんだけどぉ?速度尋常じゃなくなぁい?



「貴様の大切な物…何だ?」
















「ん~…何か忘れてるような気がする…」



いつの間にかミスティルティアに居るし…



「【本田】!!」


「…またか」


「き!」


「…?き?」


「次はマンマミアさんの所に行くんだぞ!」


「え?あ、うん」


「じゃあな!」



マナーの悪かったクソガキッズ君が良く分からないこと言ってる。まぁ別に絡まれたわけじゃないから良いんだけど…いや、当たり屋紛いのことされたから一応絡まれた判定か…?


とりあえずマンマミアを噴水前に召喚して俺は少しベンチにでも座っていることにする



「【本田】」


「あ、【マンマミア】さん」


「奥のワイバーンを探せ」


「へ?」



さっきから訳わかんないこと言ってるこの人たち…なに?どゆこと?



「あ、そうそう。マリーオの所に行こうか」


「なんでマリーオ…?」


「行くよ?あとうちのマリーオと仲良さそうだったからどんな関係なのか聞いておこうかなって思ったんだけど聞いていい?」


「え?いや、あいつは別に…腐れ縁というかなんというか…」



あ、この人マリーオのお姉さんだった。失礼なこと言ったかな…?



「もしかして…他のゲームでも一緒だったりする?」


「え?あぁ、はい。Possibleもあいつがうるさかったから始めたので」


「なるほど、君が…」


「まぁ、その…マリーオはゲームにおいて結構頼りにしてるので…」


「そう?あの子も嬉しいと思うからもっと構ってあげて」



ん、視界の端にメッセージ通知が…



マリーオサントネヨット:ドラゴニア山脈奥地にて記憶ワイバーンらしき人影発見



…?記憶ワイバーン?何言ってんだこいつ、レアクエとか?そういう類のやつか?


さっきから皆の様子が何かおかしい



「噂をすれば、丁度マリーオからメッセージ飛んで来ましたよ」


「あるあるだね~」



とりあえず何となくマリーオが殺されそうだからシルバーベルでリスポーン待機しておくか…



「お、来たか…さっきのメッセージは何なんだよ?」


「えっ…人違いだと思います…?」


「あ〜…うん、【マンマミア】さん?」



なんで俺の事忘れてるんだ?というかこのままじゃ埒が明かない、マンマミアの姉貴に仲介を頼もう



「なんでかこの人私のこと忘れてるので、変な人じゃないって教えてください」


「え?【本田】だよ?ほら、あんなに運命の出会いだ〜って騒いでたじゃない」


「へっ!?何言ってるの?!」



俺も初耳、これはマリーオからすると黒歴史だろうな〜^^



「ほら。とにかく私は変な人じゃないから、その通報ボタン押そうとするのやめようか」


「ほんとに忘れてるの?!本田だよ?!ほら、1回告白してフラれたって枕ビショビショになるまで泣いてたじゃん!?」


「ちょっと待って?!シャラァァァァップお姉ちゃん!!!」



マリーオは黒歴史製造機なことが露呈した


面白いな〜、もっと言ってくれないかなぁ?^^



「とにかく、この子が私の知人なのは分かったから…!」


「ようマリーオ、なんで私のことを忘れてるんだい?覚えてることを教えな」


「何なんですかね、この子…教えるも何も記憶消去能力のあるワイバーンの捜索をしてたんですよ…?」


「「…………はい?!」」



記憶消去能力のあるワイバーン…?!どんなバケモンだよ…いや待て、丁度俺も何か忘れてる気がしてたってことは…そのワイバーンに記憶を消された?



「あっ…」



分かった。涼介が言っていた『き』そしてマンマミアの『奥のワイバーンを探せ』


き奥のワイバーンを探せ


記憶のワイバーンを探せ



「そう言うことかぁ…」


「私分からないままなんだけど?」


「私も分かんない☆」



おちょこ口をするマリーオに脊髄反射で蹴りかかるがマリーオはそれを軽々と避け、俺の頭を潰す勢いでアイアンクローをかましてくる



「アバババババ!」


「あなたはさっきから何なの?」


「いや、個人的にぶりっ子嫌いだから、顔面潰そうかと思って…!」


「何してんの二人とも」



それより記憶のワイバーンをどうするかを考えなければいけない


記憶がないのは記憶のワイバーンの仕業とするならば、すぐにでも解決したほうがいいだろう



「記憶のワイバーン…新種の飛竜?みんなに知らせて討伐したほうが…」


「あ、【マンマミア】さん待ってください」



ここでバラされるのは流石にまずい。俺がわざわざクソガキとマンマミアに頼んで探せって残したってことは確実に何か重要な、他の人にバレたらまずいことのはずだ



「まだみんなにバラさないでください。記憶を消される恐れがあるので好奇心で近づく連中が居たら大問題になる。それに私とマリーオが記憶が少しないのは二人で討伐して問題になる前に解決しようとしたから…つまり、これは私とマリーオの戦いなんです」


「なるほど…一理あるわね。分かった、でも心配だから倒したらすぐに報告してほしいわ」


「分かりました。ありがとうございます」



よし、マンマミアの介入阻止成功。そして何かあった時用のバックドアも兼用してくれることだろう


何ともゲスっぽい考え方だがこれでいい。今までもこうやって何度もやられてはサポートしてもらって強大な敵は倒してきた。これが正解なんだ



「今後、私たちと会ったら『記憶のワイバーンを探せ』とだけ言ってください。それでマリーオはともかく私は諦めずに動ける」


「分かった…!頑張ってね…!」



現在時刻23:42。時間も時間だし今日はここで終わるか…明日も普通に学校だし、何なら今日は月曜日。これからまた憂鬱な一週間の始まりなのにここで無茶して夜更かしは逆にマイナス。うん、そうだ。別に記憶ワイバーンについて考えるのがめんどくさくなったとかそう言うことではないのだ。うんうん



「今日はもう落ちますね、お先に失礼します」


「あ、私も落ちるねお姉ちゃん」


「あら、二人とももう落ちるのね。おやすみ」


「お姉ちゃんは明日も仕事なんだからあまり遅くまでしないようにね」


「分かってる」



よし、ログアウトぉ!



「そういや、兄ちゃん達とやってないな~。というか兄ちゃん達から誘われないしな~…まぁ良いけども」



寝ようと思っていたがちょっとまだ眠たくない



「マリーオ起きてんのかな…」


『もしもし?』


「あ、マリーオ?記憶ワイバーンの件なんだけど」


『ほいほい、何かいい案でも思いついた?』


「いや、特には。逆に思いついてないかな~って」


『そうだな~…お姉ちゃんが知っちゃったから、大きな動きは出来ないかもね』


「あの人ストーカーも居たりするしな…」


『それはあんたもでしょ』



あ、そうか。そういえばあれなんだわ。見守り隊みたいなやつあったな。解体してもなくならないっぽいから放置してるけどあいつらちゃんと鉱石掘ってんのかな…あれ?マンマミア…?



「ま、特に問題無いか」


『そうだね、思いついたら通話かける』


「ん、おやすみ」


『おやすみ~。あっ、そういえb…』



ブツッと通話を切ったけどなんか言ってたな、掛け直した方が良いか…?



「ふぅ…おやすみ!」



まぁ、Possibleは脳波が睡眠状態になったり、現実世界の体が激しい振動を感知したら強制ログアウトシステム導入されてるからログインしたままでも良かったんだけどね…!

さて、とうとう始まりました。記憶ワイバーン君編第1章


ただ一つ言えるのは予想外な形で終わらせます。想定外な方法で呆気なく終わらせてやります




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