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α-2 幹部とその仕事

あの~…ですねぇ…………飛龍之財宝物語の詳細を考えれば考えるほどマジで長編になりそうなんですけどそれでもいいんですかね…感覚的に50話あっても足りなさそうなレベルで長くなりそうなんですけど!(震え声)

「えっと…!私のクランは何すればいいですか…!!」


「ん~…クランメンバートッププレイヤーの総戦力値ってどれぐらいですか?」


「えっと、えっと…!30万ぐらいです!」



三十万…俺と同じぐらいか…それだったら一体が限度かな。もしかしたら時間内に倒せないまであるが…ヘルプに行く可能性も頭に入れておくか



「なるほど、じゃあ一体任せていいですか?二体はこっちが受け持つので、最後の本体はPvP禁止にしてお互いモンスター特攻、削り切った時のラストアタックでどっちが倒したか判定が変わります。一応参加してるだけでモンスター素材は手に入るので安心してください」


「分かりました!」


「イベントフィールドの右翼にいる分体をお願いします。左翼と中央は任せてください。もし他クランのプレイヤーが来たら遠慮なくPKして大丈夫です。そういうイベントなので」


「はい!ありがとうございます!」


「じゃあ、またこの後のイベントで」


「あっ…あの!」


「はい」


「もし、全滅しちゃったらその…ごめんなさい!」


「フフッ…このイベント、リスポーンできますよ」



顔を真っ赤にするみみみのクラン長を置いてとりあえずメンバーにクランイベントの動きをメッセージで通達してマリーオサントネヨットとクランホームに入る



「【本田】さん!」


「【メル】さん」


「イベントの件、ありがとうございました。そのことで少し疑問が…」


「何でも受け付けますよ」


「その…みみみはちょっとイベントに参加するには戦力が足りなくてうちと揉めるんじゃないかな…と」



まぁ、分体一体も倒せないだろうな。大体レイドボスに突っ込んで死ぬ。俺がそうだもん



「いえ、大丈夫です。もし分体を倒せそうになかったら戦力を貸せば本体まで行けますし、本体まで行けたらうちのメンバーなら五分で倒せるので」


「そう…ですか?あとは他のクランが手を出した場合も…」


「今回はみみみは初参加らしいです。なので全力で他クランから守って全力でキャリーして恩を被せましょう!」


「うわ~、この鬼っ娘いい笑顔でえぐいこと言ってるわ~」


「【マリーオサントネヨット】さんちょっと黙っててもらって…それに、強い強くない関係なくゲームを楽しめればいいので」



あと鬼人族の女の子アバター可愛いだろ。それに恩を着せておけば後でこっちに還元されやすい。確定ではないが人間の良心的に返ってくる確率の方が大きい



「【本田】さん!」


「【おむすび】さん、どうしました?」


「いや特に用はないんですけど【本田】さんが見えたので!」


「ハハ。嬉しいな~」



はい、媚売り厨。昔から俺の前だけ妙に笑顔が多いしテンションが高い。そしてメンバーの陰口を言ってるのも全部聞こえてる。まだ他のメンバーから報告来てないから追放してないがもし報告が来たら速攻で潰す



「今度追加されるレイドボス一緒に行きましょうよ!」


「あ、そのボスは【メル】さんと討伐に行く約束してるので」



ちなみに、俺は相当弱いから敵へのダメージは100%メルさんだ。申し訳ないから回復役に徹するが俺は戦闘職、サポート職ではない


そもそも課金ゲーを無課金縛りしている俺が新規投入されるレイドボスに挑んだところで即死するのがオチだ



「そうですか…?僕も行っちゃだめですかね?」


「私じゃなくて【メル】さんに聞いてください」


「分かりました!」


「じゃあこれで、私は今からこの【マリーオサントネヨット】さんとレベリングに行ってくるので」



手を振って振り返ってマリーオサントネヨットと歩こうとすると後ろから小さい音が聞こえる



「チッ…」


「舌打ちされてるよ?」


「ああいうのは放っておいて大丈夫です。表面上だけで媚び売り続けて痛い目を見るのは自分なので」


「うっわ~…もしかして【本田】って性格悪い?」


「性格良い人なんていないですよ。皆、心の底では誰も信じてないんだ…」


「…」



とりあえずおむすびは最大でも一か月以内に報告が来るだろうな。あいつの素行の悪さは時々メッキが剝がれたように露呈する



「レベリングってどういう方法を取るんですか?装備周回?エリアボス周回?」


「ん~?何でも良いよ~…」



あくび交じりで返事をしてくる。なんかスイッチ切れてないか?



「やる気出してくださいよ…」


「いや~、みんな任せって言ってたのにほとんど自分で動いてるから結局は【本田】の技量なんだな~って拍子抜けした」


「見せましょうか?みんなに任せてる所」


「…どういうこと?」



俺は幹部陣を緊急招集してクランホームのホールで大きくお願いする



「私に頼まれたことをこの【マリーオサントネヨット】さんに報告してください!」


「…?」



「アホかな?」みたいな顔で皆が見てくるが副クラン長が手を挙げて先行してくれた



「じゃ、じゃあ私から。私が頼まれている仕事はクランの治安維持とメンバーの意見の集合場所役です。丁度今日報告したように問題を起こしているメンバーの実地調査も行っています。今のところ報告したこと以外は問題ないです」


「ありがとうございます。【メル】さん」


「じゃあ今度は俺が。俺が任されている仕事は狩場の独占の管理です。一つのクランが独占しないように呼びかけや見回り、たまに暇なときは身勝手ですけど初心者プレイヤーのサポートもしています。今のところは問題ないです」


「よし、ありがとうございます。【シギル】さん」


「メンバー管理…今のところ問題なし」


「ありがとうございます。【まるまる】さん」


「クランの広報、順調にやってます♪」


「ありがとうございます。【アーサー】さん」


「クラン資金運用。万事順調です」


「ありがとうございます。【マミ】さん」



なんと幹部全員、個人で総戦力値が100万を超えている。俺の3倍以上だ。この人達普段他のことをしてもらってるがいざ戦わせるとうちのクランに勝てる他のクランはいない、うちのクランが最強たらしめる理由の一つだ



「ね、私はほとんど頼ってるでしょ?」


「そう?結構どうでも良いこと頼ってる気がするけど…」


「なんだと!?」


「喧嘩売ってるの…?」



シギルとまるまるが反応してマリーオサントネヨットを睨んでいる。それに全くビビることもないマリーオサントネヨットは続けて切り込んでいく



「メンバー管理、クラン広報、メンバーの相談役、狩場独占監視は正直いらない。クランに入るってことはその上の人に従うってことなんだからクラン長の【本田】の言動がそのまま独占管理と広報になる。そしてメンバー管理はそもそも出来てる。あの様子じゃクランメンバー全員の名前ぐらいなら覚えてるんじゃないのかな…?メンバーの相談役も今の所皆【本田】の所に直接でも行けるレベルでメンバーと【本田】との距離が近い。つまり、いっぱい仕事がある様で実はどうでも良いことを仕事として任せてる」


「喧嘩なら買うよ?お嬢さん」


「【本田】クラン長!何か言ってやってくださいよ!」


「私たちは【本田】に任せられたから喜んでやってるのよ!?それをいらないって…!」



一瞬だけ嫌な予感がしたが当たったな…めんどくさいことになってきた



「落ち着いて、落ち着いてください皆さん。【マリーオサントネヨット】さんも悪気があって言ったわけじゃ…」


「いや?煽ってるよ?だって根本的なところは全部【本田】任せで天狗みたいに鼻伸ばしてるの気持ち悪いし、それを【本田】含めて全員が納得してるのが気持ち悪い」


「なんだと?!」


「安く見られたもんですね…私たちがいくらお金を掛けてるか知らないくせに…」


「え?課金ゲーって知ってるけど課金してるからって偉いわけじゃないでしょ?それに課金で手に入るものは直接的にはクランに関係ないし」



まぁ、装飾品や装備に金を掛けるだけでクラン自体に何かプラスがあるかと言われるとその人個人が強くなるぐらいだが…流石に言い過ぎな気がしないでもない



「別に課金してるから幹部にやってるわけじゃないですよ。皆さんを信頼して…」


「え?「課金ゲーだからお前を幹部にすることは他の皆が許さないぞ」って言ってたじゃん。言い換えれば「課金してるやつらのプライド高すぎるから幹部を廃課金者で固めるしかない」ってことじゃないの?」


「…!」


「お前…!」



核心を突いてきた。正直この連中、相手がめんどくさいんだ。一人は人見知りが激しいわりには結構な目立ちたがり、一人はただ鯖一位という称号に惹かれて俺の周りの人間との関係を固めてきた、他メンバーもそれぞれいろんな方法でこの幹部の席に置いている


言ってしまえば全員、最終的に自分の責任になりそうなところだけは俺に任せる


正直課金なんて要素が無かったらメルとマミ以外は幹部になんて選ばない、それを見透かされているような気がした



「【マリーオサントネヨット】…私たちも一応クランから追放することはできる…話す内容は考えた方が良い」


「あれれ~?【本田】を煽ったのに皆が怒ってるね~?図星かにゃ?にゃにゃにゃ~?」



イラッとしたが少し申し訳なかった。俺がイラついたのはこいつの話し方、幹部連中が馬鹿にされている現状に対しての感情じゃない



「【マリーオサントネヨット】、もういいですよ。あとで少し私の部屋に来てください」


「アハハハハハ!クラン長の部屋、通称『追放の部屋』に呼ばれてやんの~!!!」


「じゃあ皆さん。個人個人思うことはあったと思いますが今回の招集に来ていただいてありがとうございました。この人の処遇は後程…」


「ざまぁ見ろってんだ!」



皆が【マリーオサントネヨット】を煽りながら消えて行く中、二人だけが残った



「【マリーオサントネヨット】、あなたの言い分は分かりますがもう少し言い方をどうにかした方が良いと思います。それでは」


「例の問題児をクランに連れてきた副クラン長様がなんか言ってるね?もう少し自分の行いを恥じたら?」


「…!」



メルは少し顔を歪めながら自分の部屋に入って行った



「【本田】」


「はい」


「この人、幹部にしたらどうでしょうか。問題点を見つけ、それを怖気づくことなく言えるのは貴重な人材だと思いますが」


「【マミ】さん、ご提案ありがたいです。ですがこの【マリーオサントネヨット】さんにも問題はあるので難しいです」


「そうですか、私は推薦します。では」


「はい、今日はありがとうございました」



マミがクランホームから出て行くのを見届け、俺とマリーオサントネヨットは俺の部屋に入る



「防音にしました…何であんなことしたんですか」


「いや~、こう…キモくて」


「いくらキモくても!言って良いことと悪いことがあるでしょ…!俺はただ…皆と仲良くゲームがしたいだけなのに…」


「私が一番キモイと思ったのは君だよ、【本田】」



少し前からの付き合いだけどこの人の嫌なところだ。ぐうの音も出ない程の正論を持っているときだけ妙に強い言い方をする。正直敵が多いタイプだ



「なんで昔は楽しそうにゲームしてたのに、今はあんな天狗連中のご機嫌取りをしてるの?」


「それは…!みんなが納得できるように…」


「でもさ、実はやりたいことを潰してるよね?そんなんでほんとにゲーム楽しいの?」


「楽し…い……」



悩んだ。ほとんど他クランのご機嫌取りとクランメンバーのご機嫌取りでこのゲームをしている時間は終わる。ゲームらしいレベリングや装備集め、収集物なんてクランメンバーの機嫌を保つためにやっている



「ね。考えても頷きはしない。自己犠牲の精神は美しいとは言ったものだよ」


「…」


「あ、これからは本音とため口で話してくれて構わないよ?ネカマ君♡」


「うるせぇな…正直こっちも疲れてんだよ。あいつら擁護する気にもならなかったから強制終了したけど…」



今までさんざん口が悪いと言われてきた、だがこの人は何となくだけど受け止めてくれる気がした



「他のゲームでもする?そのまま逃げてもいいね」


「ダメ。まだこのクランは()()してない。今やめたら水の泡だ」


「完成…?」


「俺が居なくても回せる人材を見つける。元々貧乏くじで作ったクランだけどそれなりに思い入れもある。気に入らない連中ばかりだけどそれでも高難易度レイドボスとかはみんなで力を合わせて戦ってきた。そんなみんなの居場所がなくなるのは我慢ならん」


「つまり…クランが完成したら…やめるの?!」


「おう、このゲームは楽しかったけど途中からはほとんどが作業ゲーと化す。新要素の追加はほとんど無い。追加されたとしても今あるギミックの延長、正直遊び尽くした感が否めない」


「なるほどね~…じゃあクラン完成したらさ、連絡先頂戴よ。今後も遊びたいし」


「良いけど…何で?てかため口と本音ってこれぐらい口悪いけど大丈夫?」


「全然!むしろ前より好印象だよ」



そうして俺とマリーオサントネヨットは裏でクラン長の素質があるメンバーを探し始めた

これめっちゃ前の話と思って書いてたら「鯖一位クラン運営って高校入学前の話じゃねぇか…!」ってセルフツッコミが出たので急いで方向修正した最後辺り、違和感があったと思います


さてさて…前回めっちゃマリーオとの仲を遠い感じで書いてしまったのでこの後どう軌道修正しようか…あれ?飛龍之財宝物語も考えないといけないのに…

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