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α-1 クラン長の出来ること

投稿をしばらくお休みって言ったけど本編に関係ない別の話をすればいいじゃないか…!ということで第一話で話していた過疎ゲーの話です。しばらく続きます

「こんにちは、【本田】君?」


「………こんにちは」



マリーオサントネヨット…こいつか



「あんた、このゲームにも居たんですか」


「まぁね~?というわけで…このゲームでもよろしく」


「よろしくお願いします」



不気味な顔をする人だ、普通じゃない。明らかに裏がある顔



「とはいってもこのゲームで一緒にやることってレベル上げかレイドボスを倒すかぐらいじゃないですか?」


「やだな~、忘れないでよ」



まるで子供の冗談を笑っている親のようにわざとらしい顔をしながらこの人は俺の頭に手を置いて顔を近づけて無理やり目を合わせてきた



「クランのメンバーに入れることは出来るでしょ?」


「…拒否権は?」


「ないよ☆」


「はぁぁぁぁ…!このゲームは課金ゲーだ、あんたを幹部にすることは皆が許さないですよ多分」


「良いよ別に、私は【本田】と一緒にやりたいだけなんだ。幹部なんてめんどくさそうな地位はい~らない♪」


「…」



少し、不思議だった。俺のクランに入りたがる人は大体が上位の地位を手に入れるためぐらいだったからだ



「分かりました、クラン『no name new star』のクラン長として、プレイヤー【マリーオサントネヨット】の加入を承認する」



俺が剣を抜いてマリーオサントネヨットの肩に乗せ、宣言をするとマリーオサントネヨットの周りに魔法陣が浮かび上がり、マリーオサントネヨットの足に星のマークが強制的に刻まれた



「ありがたき幸せ…」


「で、あんたは俺のクランに入って何がしたいんですか…」


「ん?私は自由にゲームを楽しみたいだけだよ。クランの恩恵さえあればいい」



クランの恩恵…クランメンバーの貢献度上昇課金アイテム使用によるバフか、なるほど



「じゃ、これで…」


「【本田】も一緒に遊ぼうよ、レベル一緒に上げようじゃん」


「俺のレベルは上限行ってますけど…」


「もう少しでまた上限解放されるじゃん?今のうちに経験値貯めとこうよ」


「……どこ行くんですか…この後少しだけ副クラン長と話し合いがあるんですけど…」


「へぇ、気になるな~。【本田】のサーバー1位クランの運営方法」


「別に、皆に丸投げしてるだけですよ。強いて言うなら仲間を信じ続けるだけです」


「はぁ?何言ってんの?!」



信じないよな、そりゃそうだ。誰も信じてくれなかったんだから



「じゃあ着いてきます?クラン長権限を使えば行けますけど」


「着いて行く~」



マリーオサントネヨットは俺の後ろをルンルン気分で鼻歌を歌いながら着いてきた



「おぉ…!豪華なクランホームだね?」


「副クラン長が作りました。課金しまくって豪華な装飾を付けたんです」


「凄いよね~、たかが装飾にリアルのお金を使うなんて」


「好きなんですよ多分、綺麗でいいじゃないですか」


「ま、そうだね」



俺の返答につまらなさそうな顔をしながらマリーオサントネヨットは手を頭の後ろに組む



「ここです。一応、失礼のないように」


「分かってるよ~ん」



返事を聞いて俺は会議室の扉を開くと既に副クラン長が居た



「すみません、遅れちゃって」


「いやいや、約束の5分前。素晴らしいですよ」


「おぉ…!その衣装ってめっちゃ高い課金の見た目装備じゃないですか!すご~い!」


「…その女性は?」


「今日私が加入させました。【マリーオサントネヨット】です。今回の話し合いの参加を許してください」


「…クラン長が言うなら良いですよ」


「ありがとうございま~す♪」


「すみません、口出しはさせないので」


「いえいえ、早く腰かけてくださいよ。飲み物も置いておきましたよ」


「ありがとうございます」



用意された椅子とその前に置かれている飲み物、全て課金アイテムだ。本当に味がする紅茶の課金アイテム、そして豪華な椅子。一つ一つが課金アイテムなのは少し気が引ける



「あ、私も飲みたい」


「じゃあ用意しますね」


「あ、いえ大丈夫です。私の分をあげるので」


「良いの?」


「これ全部課金アイテムですよ」ボソボソ


「わぁ、そりゃ申し訳ない」ボソボソ



椅子に腰かけ、マリーオサントネヨットは俺の右に立ったまま紅茶を飲みながら話を始めた



「まずは、今度のクランイベントの話なんですけど…」



今度のクランイベント…?



「あ~…皆さんはどうしたいとか言ってました?」



参加希望を出したクランが3つのレイドボスを奪い合う。PvPとPvEが混ざったイベントだ



「特には、全部モンスターの素材も集めてる人が多いのでどのモンスターでもいいらしいです」


「参加しない、というのは?他のクランの人たちのほうがまだ素材を欲している」


「それはダメです。素材はあって損はない、皆どのモンスターでもいいと言っただけで参加しないのは許さないかと」


「じゃあ、今日中に参加クランのクラン長を募って会議してきます」


「お願いします」



まぁ、このゲームは過疎ゲー。クランの数も9個ほどしかない。適当にオープンチャットに出せば皆寄ってくる



「次の話なんですが…最近別のクランから入ってきたメンバーが問題になってます」


「…?なるほど、誰が入れた人ですか?」


「私です…」


「なるほど、経緯とその問題をお聞かせ願います」


「うちのクランに入れたのは、そのメンバーが他クランで追放されたからなんです」


「なるほど、クランの恩恵が無くなったから代わりにここにって感じですよね?」


「はい、私はその人が前のクランに居た時から少し関わりがあったので入れさせていただいたんですが…」



なんとなく察せる、どうせ前のクランでも追放された理由はその問題なんだろう。一度追放されたにも関わらず俺のクランでも問題を起こすとは学習しない人だ



「その…女性にセクハラ発言及び過度のパーティー勧誘などをして、メンバー内で問題視されています」


「なるほど、その人に自覚はあるんですか?」


「それが、無いみたいで…」


「脱退させることに反論は?」


「無い…です」


「本当ですか?あなたが残したいなら私が全力を持って問題解決に勤しみますが…今のところは強制脱退の方向ですけど」


「いえ、私も少し困っていたので…反論はないです」


「…分かりました。そのプレイヤーの名前を教えてください。あとクランホームに呼び出しを」


「はい…お願いします」



俺に頭を下げて泣いている辺り結構マジでやばい問題か…?自分が居れたからこそ脱退させづらい問題を無視できない。ハリネズミのジレンマだな



「あ、あともう一個ありまして…!」


「まだ!?結構【本田】に役割あるけど…!?」


「す、すみません…!」


「良いんですよ。話してくれるからこそ私もクランについて深く知れるので」



マリーオサントネヨット…!約束を破りやがって…!



「あの…!今度のレイドボス、一緒に倒しませんか…!!」


「…?はい、大丈夫ですよ」


「ありがとうございます!」



そんなことは別にチャットで適当に誘ってくれた方が気楽だっただろうに、わざわざ対面して言うことだでもないだろ



「じゃあ、ちょっと今回の二つを終わらせてきます」


「今日はありがとうございました…!」


「はい、今後もクランのことよろしくお願いしますね」


「はい」



副クラン長を別れ、オープンチャットで全クラン長の招集をして、クランホームの自室で待機をする



「丸投げって話はどこに行ったのかな?」


「今回は俺が動いたほうが話が早いからです。クランイベントは他のクランと連携できれば喧嘩しなくて良い、そして問題を起こしたメンバーの脱退もクラン長が責任を持ってやった方が他のメンバーにも示しがつくし副クラン長…【メル】さんも罪悪感が少ないので」


「なるほどねぇ…」


「あ、ちょっとこの後役割お願いするかもしれません」



そう話しているとドアがノックされた。待ち人が来たようだ



「どうぞ」


「クラン長、初エンカじゃないですか?そのアバターは水着とかエロくて良さそうですね~。なんちゃって」



俺のアバターは女性、そして俺が男と知っている人以外の前では私と一人称を変えている。そっちの方がこのゲームでは都合が良いからだ



「こんにちは、楽しい休日に呼び出してしまって申し訳ないです」


「いえ、【メル】さんから言われたので…」


「はい、お願いしました。何故呼び出されたかは分かっていますか?」


「挨拶…ですか?俺このクランに入ってまだクラン長に挨拶してませんでしたし…」


「いえ、私はメンバーの加入には一つ残らず目を通してるのであなたの加入は存じてました。【クロス】さん」



俺はクランメンバー約140人の名前は大体把握している。一緒に遊んだことのないメンバーのほうが少ないほど交流も大事にしてきた。ただこの人は入ってきたのはついこの間、問題を起こすのが早すぎだ



「じゃあ、何の御用ですか?」


「あなた、メンバーから苦情が来てます」


「はい…?」



顔が歪んだ。どうせ前クランでも同じことで幹部の誰かから脱退をさせられたってところだろう



「女性メンバーへのセクハラ、過度なパーティー勧誘。報告が来ています」


「いえ、そんなことはしてませんよ」


「さっき水着のほうがエロいって言ってたじゃんか…」



マリーオサントネヨット、ステイ。さっきから黙ってて欲しいときに喋るなこの人…



「クラン長、その失礼な後ろの女は誰ですか?」


「私の信頼している相棒です」



椅子に座ったまま目の前で苦虫をかみつぶしたような顔をしている【クロス】を睨み続ける



「もう、今回の話はお分かりですね?」


「分かりません、私はこの後フレンドとレベル上げの約束をしているので失礼します」



ドアを開けようとドアノブに触れた瞬間、その手が弾かれる



「あぁ、ごめんなさい。この部屋は私のクランホームの一室なので、出入り制限させてもらいました」


「…!」


「では、クラン『no name new star』のクラン長として、メンバー【クロス】の強制脱退と我がクランホームへの出入りの禁止、イベント外でのクランメンバーへの傷害行為の禁止を命じる」



クラン長、それはこのゲームに置いて結構理不尽な権限を持つことを意味する。クランメンバーへの傷害行為禁止やクランホームへの出入り禁止はクランメンバーでもないプレイヤーにも通用する



「クソッ…!」



クランから脱退された瞬間、強制ワープで姿を消した



「なんでいきなりワープしたの?」


「ここはクランホーム、出入り禁止にしたからです」


「なるほど…!」



よし、次はクラン長会議だ。今回の会議場は町中心の噴水前だ



「すみません、突然の呼び出しに応じてもらって」


「いえ、クランイベントの話ですよね?」


「はい」



俺の呼びかけに応じたクラン長は5人、このサーバー内クランランキングでの上位陣と一人だけ最下位クランのクラン長もいた



「早速ですが、毒蠍、麻痺蟹、鬼火猪の三体。昔からいるこの三体ですが、このモンスターに行きたいというクランはありますか?」


「うちは麻痺蟹さん行かせてもらいますわ」


「私の所は鬼火猪が良いです」



ランキング二位『スペード』、そして三位『魔物討伐隊』のクラン長が真っ先に手を挙げた



「あ、あの…」



恐る恐る手を挙げたのはランキング最下位『みみみ』のクラン長、なんでそんなに怯えてるんだ?



「私は毒蠍に行かせていただきたいんですけど…」


「そんなに怯えなくて大丈夫ですよ。ではその御三方はそれぞれのモンスターでお願いします。お二人はどうされますか?」


「私たちはどこでも良い」


「あぁ、俺もどこでもいいぜ」


「じゃあ、私のクランが毒蠍に、クラン『ぽもぽむ』は麻痺蟹、クラン『暗黒社会人連盟』は鬼火猪でお願いします」


「でも、モンスターの取り合いになるんじゃ…」


「あ、今回のイベントが初めてですか?このイベントはまず三体の分体を倒して、合体した本体を倒すイベントです。分体を倒すまでは協力関係なんですよ。では、各モンスターごとで詳しく話し合ってください」

気になると思うので一応備考で説明を…


Q.何故噴水の前でクラン長会議が?


A.噴水の前は色んなパーティーやプレイヤーの目に着くので「我々は平等に話し合っています」と行動で表すためです。みんなの前で堂々と、そしてもし聞かれても大丈夫な話し合いをするために行っていますがクランメンバーの介入がないのは、もし介入したら自分のクランが立場が悪くなるのが全員分かっているからです

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