粘土病
ある村に、酔っぱらうと粘土を持って木に人の名前を書く癖があるじいさんがいた。そのじいさんは村のやっかい者として日々を過ごしていた。当然周りの人からは、いじめを受けたりしている。そんな彼でも楽しみはある。それは、月1回にくる孫だった。孫のことをとても可愛がってなんでもして楽しんでいた。そんな暮らしを気に入らない連中も中にはいたがこれといってなにもしなかった。しかし、ある日村が洪水に襲われてしまった。じいさんは、ギリギリ洪水の被害に遭わなかったがそれを良く思っていない人達が「あのじいさんが洪水を起こした」。とでっち上げられてしまった。当然じいさんは「なにもしてない、無実だ」と主張した。しかし、誰も信じてくれない。唯一孫だけが信じてくれたがそのせいで村の連中達からいじめを受けるようになった。そして、自殺をしてしまった。
じいさんはひどく悲しみ自分の非力さを恨んだ。それからは毎日酒を飲み酔っ払った。ある酔っ払った日の夜に木に粘土で名前を書いた。(孫を自殺に追い込んだ連中の名前を呪うように)
目が覚めたら夜はもう開けていた。じいさんは「もう朝か」と呟いた。悲しみの余韻に浸っていると何やら村が騒がしい。何事だと思い急いで駆けつけた。すると何人かの人が死んでいた。死体は、所々粘土になって腕や足が崩れていた。良く見て見ると昨日名前を書いた人達だった。周りの人達からは「あのジジイが殺したんだ」「あいつがやったんだ」などと共に罵声を浴びた。そんな言葉は、もうじいさんに聞こえていなかった。今までのことから少し解放された気になって嬉しくなったからだ。それからは、毎晩酒を飲み快楽と狂気に酔いしれて粘土で木に名前を書いた。いつしか、村の人はいなくなりじいさんだけが残った。「俺も死んだら孫に会えるかな」それを最後に自分の名前を書いた。しかし村の人達への怨みのせいで成仏することはできなかった。
もしかしたら今もどこかで誰かを呪い殺しているかもしれない。




