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龍の目玉  作者: 馬之群
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孤灯一穂

「この際に皆様に言っておきたいのですが、俺は以前殿に殺されそうになったことがあります。偶然人が通りかからなければ俺は殺されていたでしょう。走馬燈と会った日の宵のことでした。」

嘘だ。時忘はそんな人じゃない。そう言おうと思っても、喉元で言葉が詰まる。俺は時忘の何を知っているというのだろう。人情として俺を殺したいくらい憎んでいてもおかしくない。

『馬鹿な。時忘が僕を殺そうと思えばいつだって出来た。この手紙も本当に時忘が裏切っているなら、もっと見つからないように出来たろう。疑うな、黒彼岸の思う壺だ。』

『嗚呼、そうだよな。ありがとう、走馬。』走馬は冷静だな。だが、万一本当だったら?

ふいに朗らかな笑い声が響く。千里の声だ。

「あら、すみません。こんなにお優しくて黎明姫様に一途な坊ちゃんが、よりにもよって黎明姫様のご嫡男に危害を加えるなんて…。考えたらおかしくて。絶対にありえませんよ。保証します。」

場の雰囲気が一気に和らいだ。薄氷からはいまだにピリッとしたものを感じるが、それも大したことはない。

「時忘、本当にこれは黒彼岸の嘘なのよね。貴方がそう言うなら、もうこの件は追及しないわ。」時忘は黎明姫の瞳の中の疑念を感じ取り、胸が張り裂けそうになる。

「誓います。それで貴女の気が済むのなら。」

わざわざ日時を指定してくるからには余程の対策がしてあるのだろう。こちらには行くメリットがない。だが、これ以上は好きにさせない。見ていろ、裏をかいてやる。あれを手に入れたことなど知るまい。

『こんな事をして本当に奴は来るのか。こんな露骨な罠に掛かるほどの痴れ者とは思えんが。』金烏は烏兎に進展を告げて言う。

『来るとも。来なければその辺の妖怪を代わりに殺せばいい。それでも時忘は動じないだろうが、走馬燈は救おうとするはずだ。そうすれば時忘はそれを止めるためにも動かざるを得ない。智者を相手取るには相手の思考回路を辿ればいい。絶対に来る。』

「黒彼岸、上手くいった。手筈通り頼む。」

「本当に安全なんだろうね。キミが来てからこちらは二人もいなくなった。」

黒彼岸は烏兎を睨む。一瞬黎明姫のような威厳を見せる。烏兎は溜息を吐いて何も言わずに立ち去る。

「今日はありがとう。あのままだと大変なことになっていたかもしれない。」走馬は千里に声を掛ける。

千里は走馬の口にマカロンをねじ込む。悪戯っぽく笑って言う。

「思ったことを言っただけですよ。時忘様も随分と間の悪い方ですからね。どうですか?甘いものお好きでしょう。」

「美味しい。僕にも作り方を教えてくれない?料理が出来る男ってポイント高いだろう。」

走馬は腕まくりするが、千里は首を横に振る。

「料理が出来るかどうかよりも、作った料理に感想を言って感謝して食べてくれるかの方が重要ですよ。走馬様は申し分ありません。料理をなさりたいならまずはもっと簡単な料理に挑戦しなければ。」

走馬は頬を赤らめる。千里には言っていないが、幼い頃から父子家庭で育ったので、大抵の料理なら作れるのだ。千里ほど上手くはないが。

『作れるって言ったら?結構美味しいって父さんも言ってたじゃん。』

『いいから、少し黙ってろよ。朴念仁は嫌われるの。』

全く、近頃は俺に遠慮もしない。まあ、その方がこちらも気が楽だが、どうにも居心地が悪くて敵わない。

一刻前。黒彼岸様はまだ来ていないな。丁度いい、先に罠を確認して、こちらも仕掛けておこう。

時忘は周囲の見通しが良すぎることに多少苦戦しつつ周囲に一通り呪符をばらまく。その後暫く待っていると、黒彼岸が一人で現れる。

「待たせたかな?キミなら来ると思っていたよ。一人かい?」

「お互いに一人のようですね。貴女は一人でも私に負けるはずがないでしょう。」

黒彼岸は時忘の方に歩みを進める。時忘が仕掛けていた呪符を踏んでも、何も起こらない。黒彼岸は時忘の表情を見て笑い声を立てる。

「そうだよ。それでも余裕なのは何か仕掛けていたのかい?残念だったね。そのくらいはボクにも想像がついたさ。この護符は随分効力があるようだ。黄泉の手作りだけどね。」

これを無効化出来るなら陰陽師にでもなればいい。護符の弱点を探る暇など与えてはくれないだろうな。

「悪いね、だが、あの手紙は半分本気さ。もし今すぐキミがボクの方につくなら、願ってもない。どうする?キミは賢明な人だろう。」黒彼岸は時忘に手を差し伸べる。

「貴女が鬼化した後初めて会った時、私が言ったことを覚えていますか?」時忘は近付いてくる黒彼岸に笑いかける。

カチッ。黒彼岸が何かを踏む。嫌な予感がして、慌てて足を引く。その途端、凄まじい爆風と共に黒彼岸は足を押さえてうずくまる。

「ご存じないでしょう。『地雷』という人間の兵器ですよ。貴女のために特別に火薬量を増やした特注品なのに、足はもげなかったようですね。ですが、その足でこれを防げますか?」

時忘は懐から手榴弾を取り出すと、三個一遍に黒彼岸に投げつける。黒彼岸の瞳孔が大きく見開かれる。深紅の瞳に黒光りする兵器が迫る。

何かが飛んできて、手榴弾を全部まとめて時忘に投げ返す。時忘は完全に油断していたため三個ともくらってしまう。辺りに鮮血が散り、時忘は吐血する。

「灯馬?何故…その方を助ける?」時忘は辛うじて立っているが、胸元が抉れている。

そこに立っている人物は紛れもなく灯馬本人だ。但し右目は深い紺色で、異彩を放っている。手からキラキラとした細い糸状の何かを出している。

時忘は耐えきれずに気を失う。灯馬は待っていたとばかりに時忘に襲い掛かる。首に糸を巻き付けて絞めようとする。

「誰?あの男ではないよな。あれは人間だった。何のためにボクを助けたんだ。」黒彼岸は足を押さえたまま灯馬に叫ぶ。灯馬は振り返って黒彼岸と目を合わせる。

「ウッ…。止めろ!」頭を押さえて苦しみだす灯馬の声に黒彼岸はハッとする。聞き覚えがある。

灯馬は時忘を背負うと、その場から走り去ろうとする。黒彼岸は烏兎を呼び寄せる。

「待て。白露!」灯馬は振り返らない。血の跡が点々と残る。

「黒彼岸、その怪我はどうした?時忘は何処に行ったんだ?」烏兎は地上に降り立って黒彼岸の手当てをしようとする。

「向こうだ。負傷している。今追跡しろ!」黒彼岸は顔を歪める。烏兎は上空から灯馬を追跡する。

まさか時忘ともあろう人物が人間界の兵器を使用するとは計算外だった。ここで確実に仕留めなければ俺様の面目は丸潰れだ。逃がすものか。相手は人ひとり背負っているのだ、二人とも焼き払ってやる。

灯馬は既に息を切らしている。烏兎が狙いを定めると、急に宙で何かに引っ掛かる。細いが強度の高い糸。蜘蛛の糸だ。もっと言えば土蜘蛛の糸だろう。烏兎はすぐさま焼き払い、灯馬を探す。灯馬はいたが、一人だった。時忘は隠したようだ。

「来い。この隙に黎明姫が黒彼岸に止めを刺して合流する手筈だ。」

はったりだ。本当ならわざわざ言わずに俺様を足止めするはずだ。黎明姫が近くにいたなら黒彼岸は時忘と接触しなかっただろう。別にあいつが死んでも知ったことではない。そしてこんなことを言うのは俺様に勝てないと思っているからだろう。

木立の中は圧倒的に烏兎にとって不利な場所だ。持ち前の翼を生かせない。焔も不用意に使えば自分の退路を断つ。一方糸は張り巡らせ易い。烏兎は勿論そんなことは百も承知で勝てると踏んでいる。

実際烏兎は好調だった。即座に相手の妖術の特性を見抜き、絶妙なタイミングで糸を焼き払っていた。だが、灯馬は手数の多さで徐々に烏兎を押し始める。うっかりした隙に烏兎の首に糸が絡まる。

「この勝負は俺様の負けだ。今日は退いてやる。だが、時忘はもう助からないぞ。」

烏兎は哂った。灯馬は気を逸らす。その隙に烏兎は飛び去る。灯馬は慌てて時忘の下に向かう。洞窟の中で時忘は依然として眠っている。灯馬はホッと胸を撫で下ろす。

『ここにおったのか。案内ご苦労。』金烏は時忘の胸を嘴で突く。その箇所が急に赤く光を放つ。塞がりかけた傷から血が噴き出す。

「しまった。しっかりしろ。」灯馬は応急処置を施すと、時忘の館に時忘を運ぼうとする。

「痛い…。よりによってこんな時に…少しでも離れないと。ここから運び込めそうな場所は…。」灯馬は薄氷の家に目を止める。ここは自分が眠っていた場所だ。

灯馬は薄氷の家の玄関口に時忘を下ろし、戸を乱雑に叩いて帰る。薄氷が開けると、血塗れで気を失った時忘が倒れている。薄氷は黄泉に見つからないように中に運び込む。

「…ここは?」時忘は目を開け、辺りを見渡す。仏壇の肖像画に息を呑む。

「気が付かれましたか。俺の家です。御座所(おましどころ)には恐縮ですけど。」

時忘は自分の胸を見つめる。傷口は塞がっているが、抉り取られた肉は治っていない。致命傷だ。薄氷は時忘と目を合わせようとしない。

「あと何日持つ?」時忘は天気の話をしているかのような調子で尋ねる。

「安静にして二、三週間。まあ安静になさらないでしょうから一週間も生きられれば御の字ですよ。随分と無茶しましたね。俺に何か言う事はないのですか。」

「十分だ。迷惑を掛けたな。ついでに生きた熊を買ってきてくれないか。出来るだけ老獪な奴を頼む。」

薄氷は物問いたげに時忘の視線を探る。時忘は苦痛に顔をしかめつつも包帯の巻かれた上半身をもたげる。

「…今更涙ながらにお前に許しを乞えとでも言いたいのか?感動の瞬間を期待していたならお門違いだ。私は生涯お前にそのような言葉を掛けはしない。たとえそのためにお前に憎まれようが殺されようが譲らない。」

薄氷は歯を固く食いしばる。拳は白くなっているが、やっと口を開く。

「母様は…最期まであなたを怨まなかった。だが、俺は違う。今あなたを殺すなんて馬鹿な真似はしない。そんなんじゃ苦しまないだろう。あなたの死後、走馬燈も黎明姫様も、あなたが命懸けで護った者を皆殺しにしてやる。それが嫌なら俺を止めてみせろ!」

薄氷は凄い剣幕で仁王立ちになって時忘を見下ろす。懐から首飾りを取り出す。銀色の龍の鱗。時忘に投げつける。時忘は白魚のような指でもてあそぶ。

「優しいな。だが随分な捻くれようだ。誰に似た?」

薄氷は箪笥の引き出しから巾着を取り出し、時忘の前に置く。ズシッとした手ごたえ。

「このくらいあればあなたを少しの間でも買えますか?俺も先代の斎宮の落胤。あなたの時間を買う権利くらいあるでしょう。」

時忘は巾着を放り投げていたが、中を確かめようともしない。

「十分だ。私は対価として金は受け取らない主義なのだが、この額ならいいだろう。どうして欲しい?今晩の私はお前だけのものだ。」

薄氷は時忘の胸に顔をうずめる。時忘はそっとその髪をなぞる。薄氷はキッと唇を噛んでいるが、涙腺は静かに想いを吐き出していく。

「あなたなんか…大嫌いだ。明日になれば赤の他人に戻るくせに。…それでも、今だけは父親のいない哀れな者のために、父親役を演じて下さい。きっと…今晩を除いては…生涯逢えないだろうから。」嗚咽が混ざる。

家の外には牡丹雪がちらつき始めている。周囲の雑踏からこの家だけを隔離するかのように深々と雪は降り積もり、短い夜を彩る。

一方黄泉は何も気付かなかった。その時は外で探し物をしていた。櫛を無くしたのだ。家探しをするのは日中にしたかったので、心当たりの屋外を見て回る。

お兄様の遺した櫛を無くすなんて。嗚呼、まだ無事だと良いですが。高価な物だから持ち去られているかもしれないですね。最後に確認したのはいつだったでしょうか。嗚呼、お兄様と最後に言葉を交わしたあの日もこんな風に雪が降っていましたね。


九百年ほど前、妾はまだ人間だった。妾のお兄様も勿論人間だった。お兄様はさる高貴な方の影武者として、幼い頃から妾と二人、賤しい身には過ぎた好待遇を受けていた。その方はとても病弱で、お兄様はかなり頻繁に影武者としての御役目を務めていた。

妾はお兄様にもその方にもお傍女としてお仕えしていた。あの忌まわしい日に妾が妖に変化して戻れなくなるまで。その日は唐突に訪れた。否、予兆はあったはずだ。妾は見落としていたのかもしれない。

某日未明、急に辺りが騒がしくなって妾は目覚めた。

「お兄様、何があったのですか?」

「良かった、無事だったか。直ぐにここを発つ。我が馬の後ろに乗れ。」

黄泉の兄は見事な葦毛の馬を引かせ、妹が跨るのを手助けした後、その後ろに跨って手綱を繰った。口元を布で覆い、間に合わせの変装をする。辺りの戦火を無視して一目散に逃げていく。

黄泉は馬上から逃げ惑う人々を見た。阿鼻叫喚とはこのことを言うのだろう。見知った顔が恐怖と苦痛に歪み、悲鳴が飛び交う中を二人で掻きわけていく。兄の武術の腕前は相当なもので、遮る者は朱に染まった。目を背けたかったが、それは自殺行為、懸命に耐える。

「いたぞ!則明(のりあきら)だ。弓矢を持ってこい!」雑兵の一人が叫ぶ。鏑矢の音が響く。

「ここまでか…。すまない、一人で行け。」兄は愛馬の尻を軽く打って馬から飛び降りる。

「死出の道連れだ。死にたい奴からかかってこい。」兄は腰の日本刀をスッと抜き放つ。数人がかりでやってくる敵兵を鬼神の如くなぎ倒す。

お兄様が死んでしまう。でも妾が行ってもただの足手まといでしかないでしょう。どうすれば…。

その時馬の脚を矢が貫く。馬は大声でいななき、地面に倒れこむ。黄泉は体をしたたか打ち付けたが、直ぐに立ち上がる。喉元に刀が突き付けられる。黄泉は息を呑んで目線を下に向ける。もう駄目だ。恐怖で体がすくむ。武家出身でもない黄泉には心構えなど全くない。

「立て。ついて来い。」黄泉は渋々従う。

「そこまでだ。武器を置け。さもなければこの娘は無残なことになるぞ。」黄泉は兄と目が合う。悔しさと怒りが滲み出ている。兄は刀を投げ捨てる。

「なりません。則明様、妾のことなどお捨て置き下さい。」黄泉は涙ながらに訴えるが、兄はそっと瞼を閉じる。

背後から手柄を焦った兵士が斬りかかる。黄泉の目の前で兄の身体はゆっくりと崩れ落ちていく。黄泉は自分を押さえていた武士の腕に噛み付き、兄の下に駆け寄る。

「泉…。」黄泉は兄の手を取る。息遣いが荒い。

黄泉がお兄様と呼ぼうとした瞬間、黄泉は背後から斬られる。唇を動かすが、声を絞り出せない。完全に息絶えた。


気が付いた時には既に夜叉となって甦った後だった。人間だった頃の名は棄てさせられた。元の名、泉と甦ったということで『黄泉』と。その上行動を縛るための首輪を嵌められ、何も出来なかった。だけど、今は縛めも解かれた。もうこれ以上感情を殺さなくても大丈夫。

黄泉は草の根をかき分けてでも櫛を探し出すつもりだ。美しい手は泥に塗れ、滑らかな髪はぼさぼさになっている。

やはり家の中で落とした可能性が高いですね。もうすぐ夜が明けますし、床に戻らなければ。怪しまれては本当に居場所がなくなってしまいます。

「黄泉ちゃん、遅かったね。あのさ、悪いんだけど、少しの間家を空けて貰えないかな?少し立て込んでて。別の家を用意したから。今案内するよ。本当にごめん。」

薄氷は早口で一気にまくしたてる。有無を言わせない響き。黄泉は何とか櫛のことだけは伝える。

承知致しました。妾が昨晩出掛けていたのは、兄に貰った大切な櫛を無くしてしまって、探していたからです。見かけたらどうかお知らせ下さいませんか。螺鈿の櫛で、一目で分かるはずです。

「分かった。」

螺鈿細工の櫛なんて、今時ならそこまでの高級品ではないが、作られた時代によっては相当身分の高い方しか持てなかったはずだ。言葉遣いの古めかしさ、所作の雅さから推しても後者なのは疑いようもない。

「何方でしょうか。」一つ目小僧が出迎える。此処は時忘の離れの一つだ。

「時忘様の使いだ。この人を暫く世話して欲しい。」薄氷は銀の鱗を見せる。

「承知しました。旦那様のお頼みとあらば、全力でお世話します。」一つ目小僧は軽く頭を下げる。

薄氷は礼を言うと、帰りに熊を一頭買って帰る。時忘の傷は奇妙なことに一向に塞がる気配を見せない。食事をしないと二進も三進もいかない。

「小さいな。まあいい、下がっていろ。」時忘はツキノワグマの頭を撫でる。

時忘は懐から薬を取り出すと、餌に混ぜて熊に食べさせる。熊の瞳がとろんとしてきた所で、時忘はその内臓に食らいつく。熊は大声で喚く。暫くは物音と熊の悲鳴が響き渡っていたが、そのうち静かになる。

「薄氷、走馬燈だ。開けてくれ。」玄関口で声がする。

マズい。今時忘のことを見られては困る。何とか門前払いしなければ。

「すまない、今取り込み中なんだ。何か用があるなら外で聞くよ。」薄氷は玄関に顔を出す。

「…誰か来客でもいたのか?別に用ってほどのこともないから、それだったら日を改めるが。」走馬燈は薄氷に問いかける。

「…まあな。けど構わないさ。こっちも大した用のない来客だ。一人で待たせておくさ。」

『この匂いは時忘だ。それと…大量の血の匂い。まだ新しい。どう思う?走馬。』

『怪しいな。薄氷と時忘には確執がある。念のため中を検めた方が良いだろう。強引に入ってしまえ。血の臭いがしたなら正当な理由になる。』

「通してくれ。」言うなり走馬燈は薄氷を押し退け、匂いを辿ってまっしぐらに時忘のいる最奥の部屋に歩みを進める。

「おい、勝手に入るな。来客だと言ったろう。」薄氷が走馬燈の腕を掴むが、走馬燈は微量の電流で振り解く。そうこうするうちに部屋の前まで来る。

走馬燈は部屋の入口に手を掛ける。中から時忘の声がする。

「入るな!」

「時忘…俺はただ心配なだけだ。何ともないのか?何故此処にいる?怪我はないか?何ともないなら姿を見せてくれ。」矢継ぎ早に質問を浴びせる。

「落ち着け。私はただ『食事』をしていただけだ。君は鼻が利くからわざわざめったに来ないこちらで食べていたというのに、裏目に出たな。」

戸を隔てた内側では、真っ青な顔の時忘が必死に声の震えを隠して気丈に振舞っている。食事の直後でなければとっくに気を失っているはずだ。

「…本当にそれだけなのか?顔を見せてはくれないのか。俺はあなたのことを本当の父親のように慕っている。何もかも一人きりで抱え込むなよ。」走馬燈は懇願する。

薄氷はギュッと胸を押さえる。血は繋がっていなくとも世間的にも心情的にも走馬燈こそ時忘の息子と名乗るに相応しい。それでも目の前で聞いてみると胸が潰れてしまいそうなほど妬ましい。

「止めてくれ。私にその資格がない。」

「走馬燈、今日の所は帰ってくれ。頼む。今はあんたの顔を見るだけでおかしくなりそうだ。訳は訊かないでくれ。」

走馬燈はハッとしたように息を呑む。薄氷の声からは怒りが滲んでいる。

『血の匂いが濃くて気付かなかった。薄氷の身体からも時忘と血の匂いがする。こんなに染みついているのは長い間接触していた証だ。』

走馬は状況が呑み込めない。何時でも蚊帳の外だ。もううんざりだ。

沈黙を破ったのは戸の開く音だった。時忘が開け放ったのだ。

「走馬燈、今まですまなかったな。邪険にするつもりはなかった。一緒に行こう。最後の決戦だ。皆を集めなければ。」時忘は毅然とした態度でいようとするが、走馬燈の表情を見て悟られていると気付き、肩を借りる。

『僕だけ分からないんだが、どういう意味だ。』

『時忘の胸から大量の血の匂いがする。鼓動も安定していない。大怪我を負っているようだ。それも隠し通そうとするほどには重いらしい。』

「どうしたの?急に呼び出して。」黎明姫は一番の上座から訊く。

「黒彼岸様が脚に大怪我を負っているはずだ。今のうちに全力で戦えば余裕で圧勝出来る。最後の決戦になるだろう。」

「何故それを知っているのかはこの際置いておくわ。でもね、その二人まで作戦に加えるなんて言わないわよね?」黎明姫は黄泉と薄氷を見やる。

「この小僧が今回の作戦の要になる。いいか、黒彼岸様は負傷している、回復には『食事』が必要だ。さあ、黒彼岸様が食べるのは何だ?」

「非純血の妖怪。でも顔が割れているわ。他の妖怪の方が良いのじゃなくて?」

妖怪を食べるという話の印象が強すぎて他に何も入ってこない。結局カニバリズムと同じではないのか?

「待って、非純血かどうかなんて、見て分かるものでもないでしょう。変装させればいいのでは?」走馬燈が何気なく言う。

「案外変装なんて直ぐに分かるものよ。ちょっとやそっとじゃ面影は変えられないもの。…何?まあ、それはいいわ。面白そうね。」走馬燈は混乱する。

「黄泉からの意見だ。女装させてはどうかと。」時忘が嬉々として言う。

「ふざけている場合ではないでしょう。殿ならいざ知らず、俺では不自然ですよ。」薄氷は苛々と反対する。

『走馬燈…大丈夫か?意識が遠のいているぞ。具合が悪いなら休め。今が重要な時だろう。走馬燈!』急に走馬燈の身体は地に倒れる。

目を覚ましたのは走馬だった。目隠しを取りながら走馬は辺りを見渡す。見慣れない女性が看病している。焦げ茶の髪が肩付近に掛かり、二重瞼の目は淡褐色で、吊り目の目尻に引いた紅が艶やかだ。口紅は艶やかな深紅。蝦茶色の着物が美しさを引き立てる。

「…薄氷?お前、女だったわけ?」揶揄うように走馬が問いかける。

「いや、これは双子の妹だ。氷柱とか言ったな、そうだろう?」時忘はいけしゃあしゃあと答える。

「殿も女装なさればいい。きっと俺よりはお似合いでしょうよ。」薄氷はムスッとしている。

「俺なんて言うなよ。淑女はそんな言葉遣いをしないものだ。物のついでだ、所作も叩き込むか。」時忘はまじまじと薄氷を見つめる。

「そうだぞ。それに、時忘に女装をしろって?馬鹿言うな。血の海が出来ることになると見る前から予想が付くだろ?」走馬は体を起こしたいが、力が入らない。

『走馬燈、頼むから返事してくれ。無事か?』

『…走馬、クラクラする。体が重い。』

時忘は薄氷を下がらせる。黎明姫が待ち構えていて女らしい振る舞いを教え込もうとしている。薄氷は顔を引きつらせる。

「『食事』を摂らないからだ。妖力が膨大だからこそ今まで死ななかったようなものだ。本来何も食べずに生きていくなんてありえないだろう?限界だ。このままでは長くない。」

時忘はそれ以上言わなかったが、表情がその次の言葉を如実に伝えている。

「今晩が峠だろうな。因みに、君たちが望むなら、最後の手段としてこんなものも用意してある。」時忘が取り出したのは丸薬だ。

「これを飲めば完全な人間になれるはずだ。妖力を消し去る薬だ。ただ…副作用はあるし、走馬燈は助からない。二人とも駄目になるくらいなら…と思っていて欲しい。」

『走馬燈、お前はどうしたい。僕はお前の意見を尊重したい。』

『出来れば、その薬を飲んでもらいたい。俺は人間を喰うことは出来ない。辛い決断を迫るな。…悪い。』走馬は何も言えない。

「無理に今決めるな。千里が世話をするだろうから、何かあったらすぐに言ってくれ。私は作戦を練るから。」時忘が出て行ってから、病状は刻一刻と悪くなり、仕舞いにはうわ言を言い出す。

千里は苦しそうな走馬を見て涙ぐむ。走馬のうわ言さえ微かになったとき、丸薬に手を伸ばす。震える手で一粒飲み込む。途端に喉を押さえて倒れる。

走馬はパッと飛び起きる。黒髪なのに左目だけが虚ろな紺色だ。走馬は嫌な予感がして走馬燈の名を呼ぶ。返事はない。しかし体を動かすことは出来ない。体の動いている感覚と物音だけは感じる。走馬は千里に逃げるように叫びたいが、何も出来ない。

走馬は千里目掛けて飛び掛かる。間一髪千里は身を引いたが、右腕を持っていかれる。走馬の舌に血の味が溢れ、耳は悲鳴が満たす。

『止めろおぉぉ!』走馬は骨が砕ける音と顎の動きを感じながら、千里の荒い息遣いを聞いている。

「若様、もう充分でしょう?元に戻って下さい。」千里の呼び掛けを無視して、それは咀嚼を続ける。

「何事なの?嗚呼、千里!誰か、止血して頂戴。」黎明姫は人に千里を預け、変わり果てた息子に向き直る。

「目は開けたのね。それでも私に向かってくるとは愚かね。身の程を知りなさい。まだ貴方は私より格下なの。」黎明姫は床に散った千里の血に触れる。走馬は唸り声をあげて飛び掛かろうとするが、力なく倒れる。顔面をしたたか打ち付ける。

「貴方が食べたその血も水分よ。もう一度眠りなさい。」黎明姫は容赦なく力を強め、走馬は気を失う。

「思ったより傷が深いな。『食事』とやらが必要なのではないか?」烏兎は黒彼岸に言う。

「何か作戦でもあるのかい?時忘はどうなった?あの乱入者は白…誰だった?」黒彼岸は足の痛みに耐えて尋ねる。鉄は治りを遅くするのだ。

「今重要なのは、向こうもこの状況を利用したいに違いないということだ。あやつらの考えそうなことなどたかが知れている。」

もうすぐだ。龍を根絶やしにしたら妹に会いに行く。金烏の操り人形ももうごめんだ。あれからもう何年経ったろう。一度封印されてからは最早分からなくなった。


此処は何処だ?彼岸とやらか?なら案外悪くない。

烏兎は真っ白な空間に浮かんでいる。斬られたはずの背も最早痛まない。

『鬼神のごとき闘志、見事であった。天照大神への日々の信心に免じ、特別に甦らせてやろう。そなたはただ頷くだけでよい。どうだ?このまま死ぬには若すぎよう。やり残したことはないか?天照大神の神使にして八咫烏たる儂が直々に叶える機会を授けよう。』

赤い鳥が喚いている。

『断る。』鳥は驚いたようだ。

『信心深かったのは本物の方だ。それに、貴様に我が生涯を評価してもらうまでもない。紳士だか何だか知らないが、無礼だぞ。失せろ。』

鳥は嘴をカタカタいわせる。

『益々気に入ったわい。生意気な青二才が。そなたの望みが見えるぞ。妹の許に逝きたいのか?まだだ。物のついでに妹も妖怪として甦らせてやろう。どうだ?』

烏兎の瞳に一瞬陰りが生じる。自分が高貴な方に似ており、妹と別れたくないと言ったせいで生涯嫁ぐこともなく、両親からも引き離された哀れな妹。その第二の人生を歩む権利までも再び奪ってよいものか?胡散臭い鳥の言葉に冷静さを失うほど追い詰められていた。

『貴様の望みは何だ?ただの慈善ではないだろう。叶えてやるから、妹は巻き込むな。』

『健気な奴だな。だが、儂の目的のためにはその優しさは要らぬ。そなたの記憶を願いの代償としてもらっておくぞ。案ずるな。目的が果たせれば再び兄妹睦まじく暮らせよう。』

熱い。体の中から焼かれているかのようだ。

「…の!」眩暈がする。一体何がどうしたのだろう。

「来るな、化け物!」

引きつった叫び声をあげているのはどこか見覚えのある人間だ。こちらを見て逃げ惑っている。状況は呑み込めないが、何故か溢れてくる怒りに身を任せ、烏兎はその人間共目掛けて火を放つ。

烏兎となって初めて見たその赤はとても美しく、魅力的だった。しかし、何故か止めどなく涙が頬を伝っていった。

「そなたに新たな名を授けよう。『烏兎』だ。これは日と月を表す。そなたの元の名から見てもふさわしかろう。儂の名、金烏からも一文字取ってある。」


「このまま行くのか?」時忘は背中に向かって声を掛ける。

「…お互いに辛くなるだけですから。今までお世話になりました。」振り返りもせずに返答する。旅支度をしているその人影に右腕はない。

「礼を言うのは僕の方だよ…乳母や。」時忘は寂しそうに笑う。それでも引き止めようとはしない。

彼女は笠を深く下げて振り向き、深々と一礼し、時忘の館の敷居をまたぐ。時忘は傷の痛みを堪え、その影が消えるまで見守っている。その足取りにためらいはなく、力強いものだった。

先に目を覚ましたのは、またしても走馬だった。走馬は生まれて初めて強烈な殺意を抱いている。走馬燈に対する憎しみは敵である黒彼岸一味に対する憎しみよりずっと大きく、取り返しのつかない域に達している。

二度と僕は千里に会えないだろう。あの瞬間の怯え切った千里の目が頭から離れないから。あれが僕なのか。いや、違う。走馬燈、お前が!もうあいつと一緒にいることは出来ない。どちらかが消えなければならない。僕が千里の仇を討ってやる。

走馬は非力な自分の運命を呪っていた。そして強大な力を持ちながら満足に使いこなせもせずに、無関係の人の血を流す走馬燈を怨み、少し憐れんでさえいた。

「気が付いたようね。貴方はどちら?私が誰か分かる?」

「…勿論さ。俺は…走馬燈だよ、母さん。」走馬は答える。髪は翡翠色に染まっている。

走馬は人払いをして、一人きりになる。走馬燈の意識が戻る。

『走馬…?俺らは助かったのか?ずっと気を失っていたみたいだ。何があったんだ?まさか、俺は人を食べたんじゃないよな?』

『いや、今回は薬で間に合わせたのさ。運が良かったな。』

走馬は湧き上がる怒りを鎮めて淡々と語る。代わってしまう。時間がない。ここで下手に動いて失敗したら次がない。走馬は深く息を吐く。

嘘だ。薬で間に合うなら時忘はあんなにも切羽詰まった提案なんてしなかったはずだ。そして俺が生きているということは…“食べた”のか。なんてことを…。人の道を踏み外してしまった。でも、今更尋ねてもどうしようもない。

「そこにいるのは誰?」走馬燈はふいに気配を感じて呼びかける。

返事はない。何故か鼻が利かない。走馬燈は適当に威嚇射撃を放つ。

「それ以上近付いたら容赦しない。味方なら名を名乗ってくれ。」走馬燈は恐らく味方ではないだろうと思いながらも、敵意を感じなかったため、直ぐには攻撃を躊躇う。

足音は一瞬止まったが、再び近寄り始める。走馬燈は軽く電撃を放つが、想定外の威力になった。『食事』の影響だ。相手は膝を付く。

「…父さん?」走馬燈は恐る恐る呼び掛ける。返事はないが、走馬燈は確信を持っている。

足音が遠ざかる。走馬燈は足音に向かって走る。何かベタベタした物体に足を取られる。走馬燈は追い駆けるのを諦め、その場で叫ぶ。

「行かないで!俺も…そっちに連れて行ってよ。…お願い。俺はもう…。」走馬燈の声は嗚咽に変わっていき、消え失せる。

『走馬燈、父さんは死んだ。“それ”は違う。多分ただ操られているだけの…。』

「証明してみせる。俺を見殺しに出来ますか?」走馬燈は右手の人差し指を自分のこめかみに押し当てる。指先には電気が走っている。

ベタベタしたものが勢いよく走馬燈の右手を後ろに押しやり、標準のズレた電撃は轟音を立てて当たった物を破壊する。走馬燈は無邪気に笑って人影を見つめる。

「何故戻ってきてくれないの?他の人に見られたくないなら、二人きりでどこか遠くに行こう。」

物音を聞きつけた人が駆け寄ってくる。その人物は泣きじゃくる走馬燈に手を伸ばそうとして、宙に手を伸ばしたまま固まる。その手を拳に変えると、天井裏から逃げ出す。

次第に走馬の殺意は褪せていった。千里への想いも罪悪感も薄れることはなかったが、走馬燈のこれまでの生涯を思う時、到底自分の半身を殺めることなど出来ないと気付いた。しかし、この一件によって生じた溝は永遠に埋まらないだろう。

海に面した人気のない崖の上を黒彼岸は一人でうろついていた。お目当ては勿論非純血の妖怪だ。そのまま若い女性に目を止める。妖力は強いが、三の方の敵になどなろうはずもない。

「こんにちは。こんな辺鄙な場所で何をしているのかな?」黒彼岸はその女に話しかける。

「母様が亡くなったので、御霊を弔うために一人で行脚しています。」

好都合だ。一人きりの旅なら、殺してしまっても後腐れない。仮に問題があっても気にも留めないが。

黒彼岸は女の手を取り、口元に持っていって喰いちぎろうとするが、その歯が砕いたのは氷の塊だった。女装した薄氷は黒彼岸を氷の盾で包む。氷獄のような強度はないので、黒彼岸の毒により程なく溶かされたが、その隙に味方を集めるには十分だった。

「三の方も形無しだわ。こんな見え透いた罠に掛かるとはね。日和ったのじゃあなくて?」

黎明姫は余裕の笑みを浮かべる。それもそのはず、海に面しているここは、黎明姫にとっても、時忘にとっても格好の戦場だ。ところが黒彼岸は不気味な笑い声をあげる。

「その作戦に必要なのは、その子以外の非純血をボクの手が届かない所に避難させることだ、違うかい?そんな大規模な権力があるのは父上、母上かな?そして一カ所に集められた妖怪どもの中に強力な奴で、ボクに買収されている者がいたら?どうだい?」

黎明姫だけは一瞬目を泳がせる。はったりならいいのだが、恐らく本当のことだろう。

「行って、母さん。母さんにしか止められない。こっちの方が優位なのは変わらないんだ。直ぐにけりを付けるさ。」走馬燈は黎明姫に言う。黎明姫は頷いて飛び立つ。

「これでも四対一ですよ。どうしますか?」時忘が言う。

「死にぞこないは数に含めないよ。二対三だ。」黒彼岸の舌の根の乾かぬ内に烏兎と金烏が降り立つ。黄泉は烏兎と目が合った途端、走馬燈に斬りかかる。薄氷が止める。

「…黄泉、何のために争う?俺は戦いたくない。」薄氷にとっても立地はいい条件だとはいえ、格上の相手になってしまう。

走馬燈は波の音に負けじと叫ぶ。

「黒彼岸、俺も貴女の怨みは分かるつもりだし、正直言って俺の目玉の一つや二つで貴女が幸せになれるなら、今はそれでもいいかと思ってしまう。だけど、綺麗事になってしまうが、やはり復讐に囚われているうちは自分で自分を不幸にしていると俺は思う。罪は償うべきだが、私刑は駄目だ。」

時忘と烏兎、薄氷と黄泉が戦っている中、走馬燈と黒彼岸は睨み合いを続けている。

「それで?ボクが泣き喚いて許しを乞えばめでたしめでたしとでも言いたいのか?手遅れだよ、走馬燈。キミが死ぬかボクが死ぬかだ。」

『馬鹿なことは考えるな。それこそ死んだ父さんに申し訳が立たない。どの道こいつは死刑に値する重罪を犯している。諦めろ。』走馬は走馬燈を諭す。

それを言うなら、俺も重罪人だということが出来ないか?都合よく解釈しているだけで、本質は何ら変わりがないじゃないか。

「残念です。俺は…百年前の貴女に一度会ってみたかった。そうしたら何か違っていたとは言えないけど、本当に優しくて、素敵な人だったと思うから。確かに出会いからして遅すぎたみたいですね。…では、始めましょうか。」

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