人体実験
第2章ー人体実験ー
目が覚めると今度は逃げられないように手足を拘束され目隠しをされ手術台の上にいるようだった。自分の能力で逃げ出そうともしたがどうやらこのなかに枷は能力対象に出来ないようだった。
「気がついたかい??気分はどうだい1227」
どこか聞き覚えのある少女のような声で尋ねてきた
『気分??最悪だ..』
俺に投与されていた薬がまだ聞いているのか酷く気分が悪く頭痛も酷かった。
「じゃあ、意識も戻ったところだし実験を始めようか、まず手始めに右足を切り落とせ」
作業をただ命令する声を聞き彼が本当に俺の事をサンプルとしか思っていないことをさとった。
「能力が使えるのであれば全力で使っていただきたい、できなければ君の足はさよならだ」
彼は淡々と語った
俺自身心の準備ができている訳もなく、この時点で自分の能力を仕組みを知ることとなった..
俺の右太ももに芝刈り機のような回転する刃が近づく気配を感じ、内心緊張し頭の中では過去にあった出来事や監視室に行ってしまった後悔などでぐちゃぐちゃになっていた。
『ああああああああぁぁぁ痛いああああああああああああああああああああああああああた』
俺の右足の膝下は肉がひきちぎれる音と骨がすり削られ砕かれる音と共に切り落とされた。
痛みが限界に達して意識が薄れてくると薬を投与され神経が覚醒し痛みとともに意識は保たれている状態になった。
『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いああああああああぁぁぁちくしょおああ』
彼は痛がる俺を他所に状況を整理していた
「なるほど、やはり末端を同化出来ないようにしてしまえば彼はその拘束されている付近は同化することが出来ないということか」
切り落とされた右足が疼くもう私の足ではなくただの転がっている骨付きの肉塊にすぎないのにも関わらず、私は痛みのせいもあってかおかしなことを考えるようになってきた。自分は自分が右足が切り落とされたことを視覚による確認はしていない、聴覚と痛みによる知覚のみだ、つまり俺の身体イメージ上ではまだ切り落とされたことを視覚により確認していないことにより尚のこと理解出来ていないのではないか、ただ痛いだけで本当はまだまだ足はあるのではないかと、そう考えるようになると痛みは薄れ自分の足が徐々に感覚を取り戻す感じを理解した。視覚は奪われており確認はできていないが俺の様子を見ているであろう人の声は驚きを隠せない様子であった。
「なぜ、こいつの足はまだ切り落とされていない?さっき切り落とされてこいつは痛みに悶えていたはずだ」
俺は完全に理解した、この世界は自分の心で見ている世界感じている世界を反映したものでしかないのだと。嬉嬉として狂気じみた少女のような声で彼は言う
「ほぉ、新たな能力の覚醒かい?君は素体として素晴らしいねもっといじくらせておくれよ!」
もう一度自分の足を切り落とそうとする機械音が聞こえてきた
『今の僕は何者にも捕らえることは出来ないよ』
僕は右手の枷をすり抜けて目隠しを外した。すると手と足を拘束していたのは人間の手であった。
『なるほど、人間は物質として同化できないという』