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わたしのしあわせ

作者: 山路みかん
掲載日:2019/03/17

 空にはいくつかの雲が飛んでいて、それらの境目は実に曖昧だった。まるで境目なんてあってもなくても同じだという風に、それらはもこもこと浮かんでいた。

 まだ寒さの残る、春の日だった。

 太陽は雲の合間を縫うように移動していた。

 私はちょうど、その空の下で弁当を食べいた。土の上、レジャーシートをひいて、手作りの弁当を食べていた。そう、ピクニックで想像できる状況だった。

 辛うじて田舎と呼べる小さな地域で、私のようなことをする人間は決して多くない。そもそも人口だって多くないのだから。

 気持ちいい涼しい風と、暖かい日差し。少し寒さを感じられるくらいが、ちょうどいいのだ。

 誰も周りにはいないといえど、決して無音ではないところで、ぼーっとひとときを過ごす。私の考える幸せである。あくせくした日々の喧騒とは無縁に、情報社会との繋がりも遮断して、少しの間、過ごすのだ。

 隣に、誰かがいれば尚いいのに。

 私は自嘲気味にわらう。

 それは、そうに決まっている。一人より、二人の方がいいに決まっている。そんなこと、わかっている。

 食べかけの弁当を置いて、私は立ち上がる。周りには、誰もいない。ただ植物があるばかりの風景に、私は笑いかけた。

「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける」

 私はため息をついて、そして座った。

 変わらない愛情を、与えてほしくて。

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