虎を殺す夢を見るゾンビ
虎を殺す夢を見た。シベリア虎だ。どうしてシベリア虎とわかったのだろうか?もしかしたら吾輩は動物園の飼育員だったのかもしれない、さもなくば動物学の教授か、どちらだろう。飼育員のほうが吾輩にあってると思う。そう思う気がする。
「どうでしょう」と虎が言った。
「あなた様はもっと別な仕事をしていたように思います」
「では運送業か」それもあるかもしれない。
「ところで」
「はい」
「君はなかなか強かった」
「ええ、そうでしょう。虎ですから」
「でも君を殺せた、なぜ」
「それはもう人間じゃないからさ」
と男が言った。吾輩は家の門の近くの気に縛られていた。
「これはなんていう化け物なんでしょうか?」
「ふむ、ブドー教に死者をよみがえらせる呪があるというね、そのたぐいだと思うんだ。はじめは大陸のキョンシかと思ったんだが、間接の硬直が見られないことと食人願望があることからして、えーとなんだっけな、そうだゾンビーだ、これはゾンビーなのだよ甘木君」
「使えますか?」
「ま、人に近いから間違えてくれるんじゃないかな」
「しかし、帰ってきますかね」
「来るだろう。アレはそういうものだ」
「今回のこと先方にはどういうおつもりで」
「うむ、まさか相手がアラブ人だとは聞いていなかったからな。そりゃ日本の呪いなど聞くわけなかろうが」
「そういうものですかねえ」
「そういうものさ。死ね、といったところで相手に通じてなければどうにもできんて」
「アラブの言葉で死ねってなんていうんでしょうかね?」
「知らんよ! 今度辞書で調べておこう。まったくなんで