表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄からの死亡フラグを折るために  作者: 焔姫
第3章〜邂逅〜
16/46

RE:魔王

 紅の呼ぶ微かな声。

 我は閉じていた瞼を開く。


「いかがなされました、魔王陛下?」


 金で装飾された漆黒の玉座より1段下がった場所で、宰相のディフェンシオが我を見上げる。

 謁見の間の左右にずらりと控える魔騎士たちは、微動だにせず。

 我は肘掛けについていた肘を下ろし、組んでいた足を解くと立ち上がった。


「封印が解けた。間もなく召喚もされよう。インペンティス、報告は後ほどせよ」


「はっ!」


 跪き、東部で生じた瘴気の報告をしていた魔王軍大将たるインペンティスが短く応えを返す。

 紅がますます強く響く。

 伏せたインペンティスの表情を見えぬが、ディフェンシオ同様不快感に顔を歪ませていよう。

 我もまた眉根を寄せてその時を待つ。

 そしてーー


 漆黒の闇に浮かび上がる紅の陣の中央に我は召喚された。

 陣の片隅にいる3人の人間。

 そのひとりに我は目を留める。

 召喚者はあの人間か……

 我とあの人間との間に血の盟約が結ばれているのを感じる。

 倒れ伏している2人の人間は、召喚者の巻き添えで召喚の間に来たのだろう。

 しかし、魔王たる我を召喚したというのに、あの人間はなぜこちらを見ない?


「何者だ?」


 我はおもむろに口を開いた。

 びくりと肩を揺らし、その人間は我にようやく目を向けた。

 紫水色の澄んだ瞳。

 ほつれた黒髪、薄汚れた頬、乱れた服の中でも、その双眸だけが光を失っていない。

 震える薔薇色の唇が音を紡ぐ。


「っぁ……あ、アイリスと申します。魔王陛下であらせられますか?」


 魔王封印陣に血を注ぎ、更に魔王召喚陣に血を落としながら、なぜそのようなことを聞く?

 魔王以外の何者がこの場に呼ばれよう。


「おかしなことを聞く。お前が私を呼んだのだろう? ーーその血で」


「血……? これは、あの……うっかり転んでしまって……」


 返って来た答えに、我は思わず絶句した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ