深夜の作戦会議
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夜になり、村中の明かりがすべて消え、月明かりが真上から降り注ぐ頃。
狸寝入りしていたカシアはベッドから体を起こし、窓を開けてアイーダの家から抜け出す。
気づかれぬよう足音を殺して向かった先は、丘にある池のほとりだった。
輪になって座っていたシャンドや魔物たちが、こちらに気づいて立ち上がる。その顔は心なしか昼間よりも高揚してイキイキとしている。
やる気は十分。カシアは満足げにうなずき、シャンドの隣に並んだ。
「待たせたな。もう話は聞いていると思うが、念のため最終確認する。シャンド、グループ分けはできているか?」
丁寧にシャンドは頭を下げてから、一番近くにいたワーウルフとワーライオンを指さす。
「すでに終わっておる。チームの代表は私と、そこの二人だ」
「よし。じゃあチームごとに一列ずつアタシの前へ並べ。団結力を強めるために、今からチームごとに名前をつけてやる」
言われるままに魔物たちは列を作り、それぞれのチームの代表が最前列に立つ。移動を終えた魔物たちの顔ぶれを見渡してから、カシアは左のワーウルフを指さした。
「いいか、お前のところのチーム名は、タンポポ組だ」
「タ、タンポポ……っすか?」
口を半開きにしてあ然となるワーウルフへカシアは短くうなずき、今度は隣のワーライオンを指さす。
「お前のほうは、ひまわり組だ」
「ひまわりって……姐さん、もう少し格好いい呼び方に――」
「アタシに口答えするな。じゃあ最後、シャンドのところは……」
さっさと人差し指をワーライオンからシャンドへ移し、カシアは口を開きかける。が、瞳を真上に動かしつつ考えてから声を出した。
「そうだな、イーグル組にしよう」
聞いた瞬間、シャンドは胸を誇らしげに張り、自慢げな顔をして他のチームの魔物たちを見回した。
「どうだ、格好いいだろう。この由緒正しき血統の私には相応しい呼び名だ」
悦に入ったシャンドに背を向け、ワーウルフとワーライオンが囁き合う。
「……姐さんのことだ、他に花の名前が出てこなかったんっすよ」
「ああ。イーグル組だなんて、単なる思いつきだよな」
図星だったがそのまま聞き流し、カシアはざわつき出した魔物たちを咳払いして黙らせる。
「今回の作戦は、ギードのジジィを闇夜の森に誘い込んでぶっ倒そうっていう計画だ。そのために、まずタンポポ組はジジィの家の隣にある森の川原までいって待ち伏せしていろ」
ビシッとカシアに指をさされ、ワーウルフは「りょ、了解っす」と姿勢を正す。
「ひまわり組は川へ向かう道沿いにある木の上に登って待機していろ。ジジィが来たら、気を引いて川へ行くように仕向けるんだ」
「分かりました、任せて下さい」
こちらからの指示に、ワーライオンが分厚い胸を大きく叩いた。それを見届けた後、カシアはシャンドに顔を向けた。
「アタシはジジィの家に忍び込んで武器を奪ってくるから、イーグル組はアタシのサポートをしてくれ。あと、武器を盗ったら速攻で渡すから、どこか遠くへやってこい」
「お安いご用だ姐さん。そのような重要な役こそ、この私には相応しい」
うやうやしく一礼してから、シャンドがこちらをジッと見つめてくる。カシアが目配せすると、シャンドは魔物たちに向かって「作戦決行だ」と号令を出した。




