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   魔法の適性検査


    ◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 次の日、カシアが昨日と同じく村の丘へ向かうと、今日はランクスとエミリオ以外に、ルカとディーノも待ち構えていた。


「ほらカシア、まずはこれらを身につけてごらん。だいたい大きさは合ってると思うわ」


 ルカが手渡してきた物は、昨日預けていた防具一式だった。受け取ってすぐにカシアは防具を身につける。昨日はどれも自分には大きすぎたはずなのに、今はピッタリと体に合う。


(……どうやって大きさを変えたんだ?)


 自分用の防具は嬉しいが、浮かぶ疑問にカシアは首をかしげる。と、ルカは「フフフ」と老人ながら子供っぽい悪戯めいた笑みを浮かべた。


「あなたがもっと強くなったら、その仕組みも教えてあげるわ。まずは余計なことを考えず、魔物と戦えるだけの力を身につけないとねえ」


 ルカの声にエミリオが「ええ」とうなずく。


「今より力をつけると言っても、アイーダのような特殊で強靭な体ではなさそうですから、剣のみでは足らないと思います」


「ええ、それは当然ね。だから魔法も使えるようになるといいんだけど……精霊魔法はまず無理そうねえ」


 精霊魔法って、精霊を使う魔法ってことだよな? でも昨日アタシ、シルフィーの剣で風の精霊を使ってたのに……。


 腑に落ちない顔をするカシアへ、ディーノは肩をすくめながら「よく聞けよ」と言ってきた。


「精霊魔法っていうのはね、道具を使わず、この世界のいたる所に浮かんでいる精霊と心を通わせて使う魔法なんだ。精霊から『生理的に無理』ってみなされた時点で、素質なしだよ」


「ムッ……まだなにもやってないのに、決めつけんなよ」


 カシアの反論を、ディーノが鼻で笑って一蹴した。


「分かってないねー。本質的に精霊に嫌われてる人間が、精霊の力を使おうとしたら、昨日みたいに暴走するしかないんだ。敵を倒そうとして、自分だけが痛い目を見るなんて自殺行為なだけだよ」


 二人の間で火花が散りそうになったところ、ランクスが「そこまでだ」と割って入った。


「ディーノの言うことは本当だぜ。だが、魔法は他にも種類がある。今日はその素質をエミリオとルカに見てもらうんだ」


 エミリオがランクスの隣に並び、「そういうことです」と腕を組む。


「どんな属性の魔法を使うにも魔力が必要ですが……誰でも魔力は大なり小なりあるもの。皆無な者などこの世に存在しません。が、魔法を使えるかどうかはまた別の話」


 ちらりとエミリオが隣を見る。視線を受けてランクスは軽く咳をした。


「そう。魔力がわずかしかない人間は魔法が使えない。だから俺やギード師匠、リーンハルトやアイーダなんかは、魔法が使えない分だけ肉体を鍛えているんだよ。そう思うと少し悔しいけどな」


「これで魔法の素質がなければ、自力でギード師を越えるのはまず不可能ですね。まあ、力を増やす薬を飲んで、人工的な強さを手に入れることはできますか。その時は私が薬を売ってあげますよ」


 明らかにエミリオから商売気を感じ、カシアは頬を引きつらせる。ランクスも呆れ果ててしまい、つっこむ気をなくしている。

 下手なことを言って機嫌を損ねる前に、魔法を教わってしまおう。カシアはエミリオの話を聞き流し、一歩前へ進む。


「……で、どうやれば魔法を使えるんだ?」


「素質を見るだけなら、すぐにできますよ。先に言っておくと、今から言うことを一発でやれなければ、魔法は使えないと思っていいですから」

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