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ケンブリッジ大学史学部シリーズ  作者: 881374
第二章、これぞ最も現実的な異世界転生の実現方法だ⁉
13/22

第10話、『身体目当て』こそ、多重人格SFにおける真理である!

「──読者の皆様、こんにちは、ケンブリッジ大学史学部量子魔導(クォンタムマジック)研究室所属の研究員の、ハリスンでございます」


「わしは室長にして、ハリスン君の直属の上司である、スター教授じゃ」


「さて、真に理想的かつ現実的な『異世界転生の在り方』を模索することこそを目標とする、本作の第二章もすでに十話目ですが、今回の『お題』は何でしょうか?」




「ふっふっふっ、今回のテーマはのう、【これぞ決定版】多重人格SFにおける絶対のルールとしての、『身体目当て』の徹底的解説じゃよ!」




「へ? 身体目当てって……」


「実はこれこそが、『二重人格』とか『三重人格』とか『人格の入れ替わり』とか『前世返り』とか『記憶喪失中の仮人格』とかいった、いわゆるラノベやSF小説でお馴染みの、『別人格化』と呼ばれる超常現象における、『真理』であり、『滅びの言葉』なのじゃよ」


「ほ、滅びの、言葉?」




「つまり、こういった類いの作品の主人公になりがちな、中高生のオスガキって、結局のところ女性に対しては、『身体目当て』以外の何物でもないわけじゃろう? だったらその女性の中身がどうであろうが何も関係ないんじゃから、たとえ『二重人格』であろうが『記憶喪失中』であろうが、誰か別の男と『人格が入れ替わり中』であろうが、別に構わないってことなのじゃよ。──そう、男なんてしょせん、ヤレればいいのじゃ、ヤレれば♡」




「そ、そんな? ヤレればいいって、そんなことはありません! 中高生の男子の方の恋愛感情は、もっと純粋なものです!」


「そう、純粋にヤリたいのじゃよ♡」


「ちがーう!!!」


「……あのなあ、君がそんなふうに思ってしまうのも、ラノベやSF小説が文字媒体だからなのじゃ。するとどうしても『人間』というものを、中身──すなわち、『人格』で捉えようとするじゃろう? それゆえに『人格の入れ替わり』なんてけしえあり得ないことが起こって、人物の内面描写がまったくの別人のようになったとたん、読者の皆さんも何ら疑いなく、肉体的には微塵も変化は無いというのに、まったく別人になったかのように捉えてしまうわけなのじゃ」


「そんなことありません! 読者の方だって、ちゃんと小説全体を読み込み完全に理解された上で、個々の人物を捉えられているはずです!」


「ほう、そうでしょうか、スター教授? 僕こと助手のハリスンは、けしてそうとは思わないんですけど?」


「──ちょっ、いきなり何を⁉」


「え? どうかなされましたか、スター教授?」


「だから、やめてくださいってば、『スター教授』はあなたのほうなのであり、僕のほうこそが『助手のハリスン』でしょうが? 何で読者の皆さんを混乱させるようなことをなされるのですか⁉」


「そうだよな、おそらくほとんどの読者の方が、混乱なさったじゃろうな。場合によっては、冒頭部から読み直された方も、いるかも知れぬのう? ──もしもこれが漫画とかアニメとかのように、常に私たちの『絵』が付いていたら、けしてあり得ないことなのにな♡」


「──‼」




「まさにこれこそが、『別人格化SF』のからくりなのじゃよ。内面描写主体の小説だから効果的なのであって、他の媒体においては、それほどの効果は見込めないのだ」




「で、でも、漫画やアニメや実写映画等にも、ちゃんと『人格の入れ替わり』作品はあるではないですか?」


「そういうタイプの作品て、小説じゃないんだから本当は必要の無いはずの、『内面描写』や『いかにも説明口調の独り言や会話』が、やけに多いと思わないかな?」


「……あ。た、確かに」


「現実問題、誰か知り合いの男性がいきなり、『実は今の私には、女の子の精神が宿っているのよ?』なんて言ってきても、本気にする人なんていないじゃろう? それはそんな馬鹿げた現象なんて起こり得るはずがないと信じ込んでいるからでもあるけど、もっと学術的に理由付けすれば、元々物理学においては、『人格至上主義』の文字媒体の小説とは違って、量子論等を中心とする現代物理学は言うに及ばず、遙か昔の古典物理学の時代から、『人格』とか『精神』とか『意識』などといったものは、あくまでも脳みそによって生み出された、人間という物体を動かしていくための『OS』のようなものに過ぎず、言ってみれば肉体の『付属物』でしかなく、けして人間の本質を表すようなものじゃないのだよ」


「ええっ、人格や精神が、肉体の付属物でしかないですって?」


「つまり逆に言えば、肉体こそが人間にとっての本質と見なすべきなのであり、中身なんてどうだっていいのじゃよ。──だって、別に二重人格や記憶喪失でなかろうとも、人の『性格』なんて、その場その場でコロコロ変わっていくのじゃからな、あたかも『別人』であるかのようにの? それに普段から、学校や職場において『公的な自分』を()()()()()()いる人なんて、普通にいっぱいいるんじゃないかな? 果たしてクラスメイトや職場の同僚が、その人物のプライベートの場面を垣間見た時に、その別人ぶりに驚かずにおられるじゃろうかのう?」


「た、確かに、人がTPOに合わせて『自分』を使い分けることなんて、『処世術』における基本中の基本ですよね!」


「その場合、どちらが『本物』になるわけかの? 『公的な自分』? それとも『私的な自分』?」


「い、いや、『どちら()本物』とか、言われても…………あえて言うなら、『どちら()本物』とでも、言うべきじゃないですか?」


「その通り! この例からもわかるように、『性格』などといった、その人の『中身』によって、その人を決定づけることなぞできず、結局は『肉体』や『顔』といった『外見』こそが、その人物の『アイデンティティ』となり得るのじゃよ!」


「……うわあ、何という、夢の無い結論なんだ? つまり、『僕はあなたの外見に惹かれたわけではない! あくまでも中身に惚れたんだ!』というのは、真っ赤な嘘ってわけですね?」


「当たり前じゃ! 何せ男は、女に対しては、『ヤル』ことだけしか、考えていないのじゃからな!」


「もしそうなら、最近流行りの、多重人格や記憶喪失となることで、一人の女性の中にいくつも人格が生まれて、元々恋人だった男性が、それぞれの人格を相手に『浮気』をして、罪の意識に苛まれるなんて類いの作品は、まったく意味が無いということですね?」


「──うっ、いつになく攻めてくるではないか、君い? でもまあ、そりゃそうじゃろうよ、たとえ二重人格であろうと、()()()()()()()()、何か違いがあるわけかな?」


「ええと、そりゃあ、女性のほうに、『反応』の違いがあるとか…………ちょっと、純情一途の助手の青年に、何を言わせるつもりなのですか⁉」


「……君というやつは、『AV女優さん』を──じゃなかった、『女』というものを舐めているのか? そんなの『演技』によって、いくらでも使い分けられるじゃろうが?」


「ちょっ、そんな言い方をすると、『同一人物浮気型多重人格作品』って、まるで性悪ヒロインが、主人公をもてあそんでいるだけみたいじゃないですか⁉」


「え、違うの?」


「そりゃあ、違います…………よね?」


「私は結構、似たようなものだと思うがな。そもそもこういった作品が流行りだしたのも、『アンチハーレム』作品が、予想以上に女性読者を中心にして支持が広がってきたものだから、同一人物に対して『浮気』をさせるという、もはや狂気の沙汰としか思えないトリッキーな仕掛けを施すことによって、女性読者の好感度を上げようっていう浅ましい考えでしか無いんだから、別に同情の余地なんか無いじゃろう?」


「……ああ、なるほど、一見浮気をしているようで、本質的には、『たった一人の女性に純愛を貫いている』わけですからね」


「『肉体こそが、人間の本質である』という、視点に立てばな」


「それでいて、多重人格状態や記憶喪失状態が解消することで、これまで慣れ親しんできた『人格』が消失することに対する、『切ない路線』も展開できますからね」


「ほんと、あざといのう。究極的には、『同一人物』でしかないのになあ」


「しかも男性読者に対しても、まさしく文字媒体である小説ならではに、内面描写が違ったら『別人物』扱いされるのだから、実際は女性キャラは一人しかいないのに、多重人格の数が増えるほどにハーレムが拡大していくという、いいことづくめなわけですよね」


「うんうん、まさしくあらゆる意味で、()()()()鹿()()()()()()わな」


「……うう、確かに、否定できませんわね」




「ということで、読者の皆様におかれましては、『身体目当て』こそすべてと思し召されて、悪質な『多重人格SF』詐欺には、十分お気をつけられることを、切に願っておりますぞ♡」








「……あれ、ちょっと待ってください? まさにこの作品の作者の、初期ヒット作である狂気とエロスの学園ラブコメ、『ツンデレお嬢様とヤンデレ巫女様と犬の僕』を始めとして、SF短編超問題作の『記憶喪失メモリーズ』や『三つ子の魂いつまでも』も、ある意味二重人格や三重人格を扱った、いわゆる『別人格化』作品ではありませんでしたか?」


「ああ、大丈夫、この作者に限っては、現実世界において本当に、『別人格化』を実現させる方法を知っているんだから」


「現実世界において本当に、『別人格化』を実現させるですってえ⁉」


「大体さあ、君、今回の『お題(テーマ)』について語り合っていて、おかしいとは思わなかったのかな?」


「おかしいって……いや、もう全体的におかしいことばかりで、特にどこかおかしかったかと、言われましても」




「そんな些末なことを言っているんじゃなくて、もっと抜本的見地に立ってのおかしさじゃよ! そもそも本作『ケンブリッジ大学史学部シリーズ』の第二章って、『異世界転生』に関わるこれまでの『テンプレ的常識』を、量子論や集合的無意識論に則って、根底から覆ることこそをテーマにしているのであって、本来なら『二重人格化』や『人格の入れ替わり』等の『別人格化』現象なんて、何の関係も無いはずじゃないか?」




「──ああっ、そういえば、そうではないですか⁉ 我々はこんなにもたくさんの字数を使って、一体何を語ってきたのでしょう⁉」




「……ああ、大丈夫大丈夫、むしろこれからが本番なんだから、そんなに焦る必要は無いぞ」


「へ? これからが、本番って……」




「実はな、『二重人格化』等の『別人格化』の、現実世界での実現方法こそ、本作で何度も述べてきた、『異世界転生』の実現方法そのものなのじゃよ」




「ええっ、『二重人格化』や『人格の入れ替わり』が、『異世界転生』と同じやり方で実現できるですってえ⁉」


「ちなみに君、『異世界転生』の実現方法については、ちゃんと覚えているよな?」


「……ええ、一応は。日本産の異世界系Web小説によくあるように、実は現代日本からの異世界転生と言っても、実際にこの世界から、人間の肉体そのものはもちろん、死亡後に魂だけになって、異世界にやって来る──なんていう、それこそこの現実世界の物理法則に照らしても、完全に非現実的なことは()()()()()()()()()()、あくまでも生粋の異世界人において、現代日本人になる夢を見たり、下手すると極度の妄想癖だったりするだけなのに、その夢や妄想を本物の『自分の生前の日本人としての記憶』──いわゆる『前世の記憶』だと思い込むことによって、事実上の異世界転生を実現してしまうってわけなのでしょう?」


「おお、まったくその通りじゃよ、感心感心。──では私のほうからは、その補足説明として、『理論的裏付け』だけを述べておくとしよう」


「理論的裏付けって、毎度お馴染みの、量子論や集合的無意識論のことですか?」


「うむ、ここでは主に、集合的無意識論を中心にして、いつものごとく現代日本の異世界系Web小説を例に挙げて、述べていくことにしよう。そもそもユング心理学においては、ありとあらゆる世界のありとあらゆる時代のありとあらゆる存在の『記憶と知識』が集まってきているとされる、いわゆる『集合的無意識』という超自我的領域が存在していることになっていて、何と現代物理学の中核を為す量子論によって、その実在性をしっかりと保障されているのじゃが、あらゆる『記憶と知識』が存在しているのなら、当然ある特定の『現代日本人の記憶と知識』も存在しているわけで、それを何らかの形で──例えば、実は集合的無意識とは『夢の世界』そのものであると言う説もあるくらいだから、さっき君が言ったように、現代日本の夢を見せるとかいった形で、生粋の異世界人の脳みそに、まさにその『特定の現代日本人の記憶と知識』を刷り込むことによって、それこそを『現代日本人としての前世の記憶』ということにして、事実上の『異世界転生』を仕立て上げることができるって寸法なのじゃよ」




「ええ、それって、本作『ケンブリッジ大学史学部シリーズ』はもちろん、作者の代表作である『わたくし、悪役令嬢ですの!』においても、お馴染みの理論ですよね」




「そして何とこれは、『二重人格化』や『人格の入れ替わり』等の、『別人格化』の実現にも応用できるのであって、簡単に述べると、例えば『パラレルワールドの自分の記憶と知識』を脳みそに刷り込めば、『多重人格化』や『記憶喪失時の仮人格化』を、『意中のクラスメイト等の知り合いの記憶や知識』を脳みそに刷り込めば、『人格の入れ替わり』を、『戦国武将や異世界の勇者等の記憶や知識』を脳みそに刷り込めば、『前世返り』を、実現できるってわけなのじゃよ」




「おおっ、すごいぞ、集合的無意識! 異世界転生だけでなく、『多重人格化』や『人格の入れ替わり』までも実現できるとは⁉ しかも最後に挙げた『前世返り』なんて、Web小説におけるテンプレ諸作品の逆パターンである、異世界や戦国時代から現代日本への『()異世界転生』そのものではないですか⁉」




「逆に言えば、各種『別人格化』現象はもちろん、『異世界転生』や『前世返り』さえも、肉体的には何ら変化を伴わず、『ダミーの記憶と知識』をインストールするだけのことなので、結局は『人間の本質とは肉体にこそあるのだ』と言うことを、Web小説やSF小説やラノベの類いにおいてよく見られるテンプレ超常的イベントにおいても、如実に証明しているとも言えるのじゃよ」




「そうか、そうですよね! たとえ二重人格化しようが、記憶喪失になろうが、異世界転生的な前世の記憶を持とうが、あくまでも肉体を基準に考えれば、()()()()()()()()()()、特にWeb小説等でお馴染みの異世界転生イベントにおいては、生粋の異世界人が、自分が現代日本人の生まれ変わりであると言う、妄想状態にあるだけのようなものなんですよね」




「もちろん、これまた本作や作者の他の作品で何度も述べてきたように、集合的無意識を『閃き』と捉えれば、『現代日本人としての前世の記憶』を有する異世界人たちは、単なる妄想癖というだけではなく、己の努力によって、現代日本人レベルの知識に達することができた、歴史的発明家や発見家等として歴史に名を連ねることすらもあり得る、異世界きっての『偉人』となる素質もあるわけなんじゃがな」

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