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斯くして燠は暁に淀む  作者: えむ
第一章 暗中に泥(なず)む
16/42

04-04

 それから情報共有の時間は寝るまで続いた。

 食事二回を挟んで明くる五番労働。

 イドはローヤの言葉に従って難なくそれを終えた。その事をローヤに伝えると続く六番についての解説があり、次回は七種類のうち最も簡単であるとの話だった。

 隣人は少し適当な面があるからうまそうな話の時、イドはやはり半信半疑で聞くようにしているのだが、六番は本当に拍子抜けするほど手応えのないものだった。

 そうやって労働を重ね、五番に戻る頃──ローテーションを一周終えてイドは思った。

 これはまるで鍛錬のようだ、と。

 全身の筋肉が充足しているように感じる。どの部位を動かしても心なしか動きが軽い気もする。

 ただ、捕らえている側の真意は相変わらず分からなかった。

 一周期二回の食事は種類も量も潤沢だ。

 しかしそれが逆に疑心にも思う。何か管理されているような。試されているかのような。

 そんな牢獄の日々に変化が訪れたのは、二回目の労働ローテーションの後半──二周目の終わりを目前とした時の事だった。

 食後に労働へ牽引するはずの看守が来ない。

 このような事は今までなかったから隣と困惑していると、しばらくして数人の人間が現れた。

 通路壁に掛けられた炬火。

 そこで揺らめく申し訳程度の灯りが鉄格子の前で佇む人間たちの鎧を照らす。

 看守ではない。

 風貌から察するに兵士か。

 その中の一人。白群色の髪を結わえた女が一歩前に出た。そして口を開く。


「お初にお目にかかります。私はミラベルと申します」


 軽鎧の腰についた飾り布をスカートの裾を持ち上げるようにして女は軽く顎を引く。すると後ろの兵士たちがイドとローヤそれぞれの鉄格子を開き、牢の中に入ってきた。

 反射的にイドは身構えたが、目の前で跪いて「イド様、失礼いたします」と低い声で言われ、困惑していると腕輪を手渡された。

 隣も状況は同じようで、「様付けとはどんな了見よ?」と訝しむ声が聞こえてくる。


「お二人ともその腕輪をお付け下さい」


 女の声にイドは返す。


「これは何じゃ」


 それに対して女は凛とした声で答える。


「入城証でございます」


 言っている意味がイドには理解できない。

 何がどうなって城に入る許可証を今この場で渡されているのか。

 しかしそんな事などお構い無しに、女は言葉を続けた。


「これからお二人を城内へお連れします」


 その声に、イドはやはり困惑する事しか出来なかった。

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