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第一章

第一章

〈一〉

 竹刀の切先が、ゆらゆらと揺れている。竹刀を握る少年──飯島慎二の手が震えているからではない。

 切先は爆ぜたかのように割れてしまっていた。かろうじてくっついてはいるが、いつ床に落ちてしまってもおかしくはない。

 悲鳴があがり、慎二ははじかれたように顔をあげた。女子生徒の悲鳴が、頭部を覆う防具の中にこだまする。

 面を守る金具の向こうで、自分と同い年の少年がうずくまっていた。「仲井」と書かれた垂れが見える。

 仲井は中学生になってはじめて竹刀を握った。稽古熱心で、体育館には必ず一番に入る。掃除をしてから、一心不乱に素振りの稽古をしている姿もよく見かけた。先輩にはかわいがられ、剣道はとても楽しいと笑顔で言っていたことを、慎二はよくおぼえている。

 その仲井が、泣いていた。

 折れて、腫れあがった右腕をかかえて。

「さがれ、飯島!」

 先輩の声と同時に後ろへと引っ張られる。顧問の教師が仲井に駆け寄っていく。仲井の泣き声は悲鳴に近かった。

 慎二は両肩をつかまれた。目の前に先輩の顔がある。

「よく聞け」

 先輩は言った。

「お前のせいじゃない。これは事故だ。スポーツにはけがも事故もつきものなんだ」

 それは、慎二を落ちつかせるための言葉だった。

 しかし、慎二の口から出たのは「だけど」でも「はい」でもなかった。

 ちがう。

 慎二の声は、誰にも届かなかった。


 通り魔の噂、聞かなくなったねと母は言った。

「緊急の回覧板までまわってきて、パトカーもあんなに走ってたのに。お隣のおばあちゃんも、夜のウォーキングを再開するって」

 これでひと安心かなあ、と母は庭で大きな声を出した。洗濯物を干している真っ最中で、首だけをリビングに向けている。

 慎二はソファーに寝転がり、テレビを見ていた。ドラマの再放送やニュースばかりでまったく面白くない。慎二はテレビを消した。

 母がリビングに戻ってきた。慎二にしばらく目を向けていたが、やがて洗面所に向かった。

「お母さん、もうちょっとしたら仕事に行くから。お弁当があるから、お昼はそれ食べて」

「……」

「もし家にいたら、洗濯物たたんでおいてくれる? この暑さだし、昼前には乾いてるはずだから」

 もし家にいたら、と母はくり返し、ねえ、と言った。

「今日も部活には行かないの?」

 慎二は目を閉じた。扇風機の風はなまぬるく、首まわりや肘のあたりに汗がたまる。

「慎二のせいじゃないのよ」

 ぱたぱたと、足音がリビングに入ってきた。

「スポーツにけがや事故はつきものだって先生も言ってたじゃない。そりゃあ、不注意や行きすぎがあったかもしれないけど、そんなの誰だって」

「その話、やめて。不愉快」

 汗をぬぐいながら、慎二は突きはなすように言った。

 母が仕事に出たあと、慎二は昼までぼんやりとすごした。テレビも見ず、宿題もせず、ただソファーに横になっているだけ。頭の中をからっぽにしたかったが、それをとがめるかのように蝉の鳴き声が耳から頭に飛びこんできた。

 夏休みがはじまって、もう三日になる。

 休み前の選抜試合の結果、慎二は夏の大会にレギュラーとして出ることが決まっていた。三年生の先輩は高校受験をひかえているため、この大会で引退する。二年生の慎二は、部員の士気をあげるために率先して稽古に励まなければならなかった。

 だというのに、夏休みがはじまってからずっとだらだらしている。剣道部の稽古はおろか、幼稚園のころから通っている町の道場にも顔を出していない。

 当然、顧問から電話がかかってきた。友達や後輩、先輩からも。

 慎二はいっさい応じなかった。家の電話は母に押しつけ、スマートフォンは自室のひきだしにほうりこんだままだ。あんなに夢中になっていたスマホをあっさり手ばなせたことに、慎二はどうでもいい驚きを感じていた。


 一時をすぎ、ようやく腹が鳴りはじめた。言われたとおりに弁当を探し、冷えた麦茶を用意すると、ていねいに掌を合わせて「いただきます」と言った。

 慎二が部活へいつでも行けるように、母が毎日作ってくれているのだ。

 ありがたいと思う気持ちは、あった。

 だが、半分も食べられず、悪いと思いながらも残りをゴミ箱に捨てた。「慎二にはお弁当箱が二つあっても足りないね」と母は笑っていたのに。

 弁当箱を洗い、固定電話に目を向けた。いまやアンティークと呼んでもさしつかえない、立派な黒電話だ。

 おもむろに受話器を取り、ダイヤルをまわして──受話器を置いた。

 ──俺には大会に出る資格がありません。だから、レギュラーからはずしてください。

 ドン、と左手で壁を叩いた。

 ──どうしてそんなことを言う必要がある? 仲井に勝って、レギュラーの座を勝ちとった。恥じることなんてなにもない。稽古にも堂々と出ればいいはずだ。

 そのはずなのに……

 今度は右手で壁を叩いた。鋭い痛みに顔をしかめる。半袖のTシャツからのぞく右腕は、青あざだらけだった。仲井の竹刀が籠手をはずれ、何度も腕を打った結果だ。

 下手くそ、と内心で罵った。

 湿布を貼ろうとして、もうなくなっていることを思いだした。この程度のけがなら、ほうっておいてもかまわない。しかし、家に閉じこもっていると気が滅入りそうだった。

 窓の外を見やり、あまりの強い日ざしに汗がにじむ。

 「くそっ」と吐き捨て、慎二は財布と診察券を引っつかんで外へ出た。


 太陽は中天にさしかかり、もっとも暑さの厳しい時刻を迎えていた。強い風が吹いていたが気休めにもならず、頭を押さえつけるような熱に、帽子もかぶらず飛びだしたことを後悔した。

 町に人気はなく、蝉がやかましく鳴いている。こんな日はみな、エアコンをきかせて家に閉じこもっているのだろう。

 Y字路にさしかかった。左はゆるやかな下り坂で、右はやや急な上り坂だ。

 慎二は右の坂道をのぼりはじめた。この先にある整形外科には世話になっている。幼稚園児のころ、剣道でよく打ち身を作り、面倒をみてもらったものだ。

 手を目の上にかざした。前方十メートルのあたりを人が歩いている。左手で日傘をさし、右手で杖をついていた。髪は黒々として短く、年寄りには見えないが、紺色のズボンにつつまれた右足を少し引きずっていた。

 距離はあっという間に縮まり、慎二は相手のすぐ後ろまで来た。

 ひときわ強い風が吹いた。

 日傘が風をまともに受け、目の前の人物がバランスを崩した。杖の先が路面をはなれ、身体が後ろへと倒れる。

 危ない! と叫ぶひまもなく、慎二はあわてて両手を突きだした。日傘が風をはらんでいたため、勢いがつきすぎている。腕だけでは支えきれず、相手の身体を自分の胸で受けとめる形になった。

 杖が軽い音を立てて倒れ、手をはなれた日傘が坂道を滑るように転がっていった。

「す、すみません!」

 高めの声に少し驚いた。日傘を使っているのだから女性だろうと思っていたが、相手は高校生ぐらいの女の子だった。

 大きな目に慎二がはっきりと映っている。彼女を支えるために、相手の身体を全身で抱きかかえていることに気づき、慎二はあわてた。

「ひ、ひとりで立てますか?」

「あ、はい、大丈夫です」

 慎二は彼女から身体をはなし、日傘を拾いに駆けだした。さいわい日傘の骨組みに異常はなく、破れてもいなかった。

 日傘で視線をさえぎるようにして、慎二は少女のもとへ戻った。

「ありがとうございます」

 日傘を受けとり微笑む彼女の顔を、慎二はまともに見てしまった。耳まで赤くなっているのは、暑さのせいではない。

「し、下にも病院ありますよ」

 少女は首を傾げた。

「いや、つまり、こんな坂のぼらなくても整形は下にもあるっていうことで……」

 そこまで言って、彼女が実は家に帰るところだったり、友達のもとへ行くつもりであったりという可能性を考えていなかったことに気がついた。

 少女に背を向け、深呼吸をする。大事な試合の前でも、ここまで緊張したおぼえはない。

 おそるおそる振り返ると、少女は目を細めて笑っていた。

「かかりつけの病院がこの上の飯島整形外科なんです」

 慎二はちらりと少女の足を見た。杖が必要なほど悪いなら、いくらかかりつけとはいっても坂の上にある病院に行くことはないだろうと思う。

「俺……僕が手を貸します。この坂きついですよ」

「え、でも……」

「勝手に後ろついていきますから気にしなくていいです。バランス崩したら、支えますから」

 少女は眉を八の字に曲げた。明らかに困っている。

「僕も用があるんです、その病院。だから気にしないでもらえると、その……助かります」

 拾いあげた杖を返すと、「わかりました」と少女は言った。

「私、城田明子っていいます。病院までよろしくお願いします」

「あ、俺、ちがう、僕は飯島慎二っていいます! こちらこそよろしくお願いします!」

 深々とお辞儀をしたのがおかしかったのか、明子は吹きだした。


 坂道の頂上に、飯島整形外科はあった。レンガ造りの小さな建物で、入り口の上には鉄を薄く加工して作った、羽の生えた妖精が風に揺れている。病院にしてはあまりにファンタジックな装飾だ。

 慎二はドアを開けた。待合室に患者の姿はなく、古いエアコンの音が響いている。

「先生?」

 明子が呼びかけるが、反応なし。看護師もいない。

 慎二は靴を脱ぎ捨てると、診察室に続くドアを無造作に開き、患者用のベッドでいびきをかいている男の両肩をつかんで激しく揺さぶった。

「起きろ! 昼休みはとっくに終わってるぞ!」

 謎のうめき声を発し、男は目をしばたたかせた。手の甲で目をこすり、「なんだ、慎二か」と残念そうに言った。

「なんだ、じゃないだろ。おじさんが寝てるから、休みとかんちがいされてるぞ! 患者さんゼロじゃん」

 寝ぼけ眼であたりを見まわし、男の視線が明子でとまった。

「ゼロでよかった」

「はあ? おじさん、そんなんでやっていけてんの、生活」

「これが意外と苦しかったりする」

「意外でもなんでもないわ!」

 慎二は手をはなし、ため息をついた。明子を見やると、きょとんとしている。

「お二人は知りあいなんですか?」

「飯島宗一はおじです、僕の」

 宗一はベッドから降りるとあくびをし、次いで無精ひげをなでた。ちらりと慎二を見やり、ぱちんと掌を合わせた。

「慎二、冷蔵庫にケーキとアイスコーヒーがある。三人分、用意してきてくれ」

「いきなりなんだよ。つうか、なんで俺が」

「じゃあ、城田さんに頼むよ?」

「……行ってくる」

 台所に行って冷蔵庫を開けると、シンプルな苺のショートケーキが六つも置いてあった。アイスコーヒーをグラスに注ぎ、盆に載せる。診察室に戻ると、どこから持ってきたのか、キャスターつきの大きなテーブルが診察室に現れていた。

「さあ、召しあがれ。甘いものは緊張をほぐしてくれる」

 はい、と明子は元気にこたえたが、慎二はだんだん心配になってきた。

 患者はゼロで看護師の姿もない。前に来たときは、ここまでひどくはなかった──患者は少なかったが。本当は冗談抜きで危機的状況なのではないだろうか。

「うちさ、空いてる部屋あるから、いつでも来てくれていいよ」

「なんの話かな?」

「おじさんがホームレスになっても大丈夫だって話」

 吹きだしたのは明子だった。アイスコーヒーのストローから口をはなし、

「飯島君、今日は休診日よ」

「え?」

 慎二は壁にかかっているカレンダーを見た。木曜日。たいていの病院は休みだ。

「知らずに来たのか。案外おっちょこちょいだな慎二は」

「う、うるさい!」

 恥ずかしくてそっぽを向いたら明子と目が合ってしまったので、天井に目を向けた。そのあいだに、宗一と明子はケーキを食べはじめた。

「あ、おいしい。これは駅前の?」

「安くておいしい、いいお店だよねあそこ」

「ですね。すみません、ガムシロップいただけますか」

 テーブルの上を楽しそうな会話が飛びかう。先生と患者というよりは、まるで友達だ。

 いったい、この二人はどういう関係なんだろうと思わずにはいられなかった。高校生ぐらいの少女と四十近いのおっさんの接点とは……

「食べないの?」

 明子が言った。

「ずいぶん機嫌が悪いな、今日の慎二は」

 にたりと宗一は笑った。

「さては女にでもふられたな」

「うるさい、この犯罪者!」

「は、犯罪?」

「だってきれいな女の子と汚いおっさんのつながりなんて、くそ汚い犯罪的なものにちがいないだろ!?」

「……私は汚いのか。はじめて知ったよ」

「汚くありませんよ! とてもセンスがよくて清潔で……」

 明子は慎二を見て、あのね、と言った。

「私は、特別にお休みの日に先生にみていただいているの。こうやって二人だけで、お菓子を食べたりしながら。別にやましいことをしているわけじゃないし、そんな関係でもないから」

 冷静に「やましいこと」などと言われ、慎二は自分が明子に対していかに失礼なことを言ったか気づかされた。怒られてもおかしくないのに、明子の態度はまるで弟をいさめる姉だ。

「……ごめんなさい。変なこと言って」

 慎二は頭をかかえた。明子に会ってから、完全に調子が狂っている。

「ところで城田さん」

 甥の心ない言葉に傷ついているかと思いきや、宗一は平然と言った。

「今、慎二がなんて言ったかおぼえてる?」

「えっと……」

「君のことをきれいだとさ。今日の慎二がおかしいのは、そのせいだね」

「ちょっとおじさん!?」

 にらむ慎二に、宗一は親指を立て仕返しだと言わんばかりの笑顔を見せた。

「きれいなんかじゃ、ないですよ」

 ぽつりと明子は言った。

「きれいなんかじゃ、ない」

 アイスコーヒーを飲み、それきり黙りこんでしまった。

 ごほん、と宗一が咳払いをした。

「慎二、私は早く彼女の足をみてあげないといけない。だから、さあ、食べてしまいなさい。さあ、さあ!」

「はいはい、わかりました!」

 慎二はフォークをケーキに突き立てた。


 グラスと皿を洗って診察室に戻ってくると、テーブルはすでに片づけられていた。宗一は机にカルテを広げ、明子は少しはなれたところに座っている。宗一の目の前の椅子だけが空いていた。

「ほら、座りなさい」

「城田さんを先にみてあげてよ」

「早くすませられる方を優先する。二人しかいないんだから」

 シャツを脱ぎなさいと言われ、慎二はしぶしぶTシャツに手をかけた。ちらりと明子を見たが、窓の外に目を向けている。

 Tシャツを脱ぐと、宗一はううん、とうめいた。

 慎二の右腕や両脇、両肩にひどいあざができていた。

「痛みは?」

「少し……でも、たいしたことない」

「たしかに見た目はひどいが、骨や筋に異常はない。いつもの塗り薬と湿布を多めに出しておこう」

 Tシャツを着ようとして、慎二は明子がこっちを見ていることに気がついた。

「格闘技でもしてるの?」

「剣道ですよ。ド下手な奴に打ちこまれるとこうなるんです。力の加減が全然わかってないから、なにも考えずにがむしゃらに打ちこんでくるんです。竹刀をしぼりもしないから、こっちはぼろぼろですよ」

「本当に上手い人なら、こんなことにはならないけどね」

 なにげない一言に、慎二はかっとなった。俺が下手だって言うのか!? 飛びだしかけた言葉を、慎二はやっとの思いで呑みこんだ。

「それじゃあ薬わたすから、慎二はもう帰っていいよ」

「はいはい……え?」

「え、じゃないよ。いても仕方ないでしょう」

 それはそうだけど……慎二はちらりと明子を見やった。いっしょにケーキを食べて話もして、友達みたいになれたのに別れるのはおしい。できれば、もっといっしょにいたい。

「それとも、私が城田さんを診察するところ見たいわけ? ズボン脱いでもらったりするんだけど」

「か、帰る帰る! 帰るに決まってるだろ!?」

 慎二は明子に向きなおり、失礼しますと頭をさげた。明子も頭をさげ、

「今日は助けてくれてありがとうございました。その……飯島君に会えてよかった。なんだか、いつもよりリラックスできたし」

 会えてよかった。たったこれだけの言葉に、頬がゆるむほどのあたたかみがあることを、慎二ははじめて知った。

 こちらこそ、と言いかけたとき、待合室から派手な音が響きわたった。


〈二〉

 診察室のドアをすこし開け、待合室をのぞく。慎二は「なんだあれ」とつぶやいた。

 青い上下の作業服を着た男が、ソファーに寝そべっている。口ひげをたくわえ、髪はぼさぼさ。腕も足も太く、普段から力仕事をしていることがうかがえた。

 問題は、顔が真っ赤で、一升瓶をかかえていることだ。眠ってはいないようだが、まぶたが今にも落ちそうだ。

 酔っ払いが乱入してソファーにダイブした。宗一にそう伝えようとしたとき、

「ひょっとして、豪三郎?」

と言って待合室に入っていった。

 宗一が豪三郎の身体を揺すると、

「よう、宗ちゃん」

と陽気な声をあげた。

「なにしてるんだ、こんな時間に。まだ仕事中だろう?」

 壁の時計は午後三時を指している。豪三郎はへっへっへっ、と笑い、

「あんまり楽しみだもんで、早引きしちまった」

 おいおい、と宗一はため息をついた。豪三郎は身体を起こすと、診察室からのぞいている慎二と明子を顎で指し、

「今日のプレイヤーはあの二人か? はじめて見る顔だな」

「うちの患者だ。ゲームとは関係ない」

 そうかそうか、とうれしそうにうなずき、一升瓶をかかげた。

「どうだ一杯。プレイヤーじゃないなら飲んでもかまわんだろう」

「慎二、水を持ってきてくれ。あとベッドの毛布もだ」

 宗一が指示を出したときには、一升瓶はすでに宗一の手の中に移っていた。返せよ宗ちゃん俺の酒、と豪三郎が赤ん坊のようにぐずる。

 いいか、と宗一は念を押した。

「ゲームは診察が終わってからだ。時間がかかるから、それまでに酔いをさましておけ。気分が悪くなったら、トイレはそこ。わかってるよな?」

 豪三郎はソファーの上で正座し、わかったと何度もうなずいた。慎二が水の入ったグラスと毛布を持ってくると、宗一は

「もし用事がなければ豪三郎の面倒をみてやってくれないか」

「いいけど、でもなにをしたらいいの?」

「話し相手にでもなってやってくれ」

 診察室のドアが閉じた。

 間髪入れず「少年」と豪三郎が話しかけてきた。

「少年も具合が悪いのか?」

「え、まあ……」

「どこが悪いんだ? 腕か、足か」

 ぶしつけにものを訊いてくる。病院に来ているのだからどこか悪いのは当然なのに、初対面の相手に対しての配慮というものが欠片もない。

 酒が入っているせいなのか、子供だから軽く見ているのか。どちらにせよ、慎二は不快感をおぼえた。だいたい、どこが悪いかなんて他人には関係ない。

 幼いころから道場で礼儀を叩きこまれてきた慎二は、大人のくせに無礼なふるまいを平気でする輩が嫌いだった。

「豪三郎さんはどこが悪いんですか? 力仕事してるようですし、やっぱり腰ですよね。仕事のせいというよりは歳のせいでしょうけれど。だって、『おっさん』だし」

 わざと「おっさん」の部分を強調してやる。慎二は宗一と豪三郎のやりとりから、二人が同級生ではないかとにらんでいた。そうなると、年齢は宗一と同じ三十七歳。

 以前、宗一を「おっさん」呼ばわりしたところ、「三十七はまだ若者!」と怒られた。

 豪三郎が同じ反応を示すようなら、さらにからかってやろう。本気で怒ったなら相手をしてやる。慎二は内心で、戦闘態勢を取っていた。

 豪三郎は口をへの字に曲げた。怒っている……というよりは、考えこんでいる顔だ。やがて、右手でぺちっ、と頭を叩き、左手を胸に持っていった。

「たぶん、このどっちかが悪いんだと思う」

 慎二は黙りこんだ。真面目にこたえられるとは思っていなかった。

「それ、整形外科の領分ですか」

「わからん! しかし頭にも胸にも骨や肉はあるだろ? なら整形外科の仕事だ。俺は馬鹿だから、宗ちゃんを信じることしか知らんのだ!」

 豪三郎はその名の示すとおり、豪快に笑った。底が抜けたような笑い声に、慎二はすっかり毒気を抜かれてしまった。

 ぶしつけで礼儀に欠ける人物だが、悪い人ではないようだと、慎二は考えをあらためた。

「すみません」

「ん? なにがだ」

「いえ、なんでも。豪三郎さん」

「向井豪三郎だ。できれば、三郎とかサブとか呼んでくれるとうれしい」

 なんで「豪」を抜くのだろうと思ったが、「じゃあ三郎さん」と慎二は言った。

「さっきプレイヤーとかゲームとか言ってましたけど、今日、ここでなにかするんですか?」

「うむ、とても楽しいことだ。なんと──」

「なんと?」

 豪三郎はにやりと笑い、

「これからトーキョーへ行くのだ!」

「東京!?」

 慎二は時計を見あげた。今すぐ出発しても、到着はおそらく真夜中か早朝。行ってもなにもできないうえ、宗一も豪三郎も仕事があるからすぐに帰らなければならない。

 ふふん、と豪三郎は笑った。

「驚いているな、少年」

「いや、あきれてます。明日の仕事どうするんですか。大人なのに」

「仕事の話はするな」

 一瞬、こわい顔を見せてからすぐににたりと笑い、

「俺たちの行くトーキョーは日帰りが可能だ。いや、一瞬で往復できる距離にある」

「いやいや、無理ですよ……俺たちの行くトーキョー?」

「そう。数十億の人間をかかえる超過密都市。科学と超能力、魔術が交錯し、人ならざる者が大企業の摩天楼のもとを徘徊する。ヤクザは近代兵器でマフィアやギャングと抗争をくり返している。市民を守るのは国家ではなく、企業がかかえる企業警察だ。それも、契約した人間しか守ってはくれない。カネのない人間は死んでいるも同じ──まさに焼肉定食、ユートピア。それが、俺たちのトーキョーだ」

 はあ、と慎二は間抜けな返事をした。たぶん、焼肉定食が弱肉強食で、ユートピア|(理想郷)がディストピア|(絶望郷)の間違いなのだろう。

 おそらく、豪三郎はディストピア的トーキョーを舞台にしたゲームを、宗一とほかの友達と遊ぶ予定なのだろう。だが、ソーシャルゲームやコンピュータゲームに多少は詳しい慎二も、そんなゲームには心当たりがなかった。

「おじさん──宗一さんとは、ずっとそのゲームで遊んでるんですか?」

「ずっとじゃない。たまにはほかのゲームもする。が、基本的に宗ちゃんがこのゲームが好きなんでな。もう十五年ぐらいやってる」

「十五年!? 息が長すぎませんか」

「少年にはないのか、長く続けてること」

 慎二はあざだらけの腕に目を落とした。四歳からはじめた剣道は、今年で十年目になる。

 豪三郎も慎二の腕を見やった。

「……いじめ、か?」

「剣道です。もう十年になります」

「そいつは、楽しいか?」

 慎二は返答に窮した。竹刀で打たれれば痛いし、夏場は倒れそうになるほど防具の中に熱がこもる。はじめたころは手や足の皮が剥けて大変だったし、友達からは「防具くさい」とからかわれもした。

 だが試合に勝てたとき、そんなものはすべて吹き飛んでしまった。

 技がきれいに決まり、審判の旗があがる瞬間。あの一瞬があるから、つらい稽古にも耐えられる。

 だから、楽しい。

 楽しいはずだ。

「……わかり、ません」

 力なく、慎二はこたえた。楽しいと即答できない自分がみじめでならなかった。

 豪三郎は黙っていた。顔はまだ赤いが、目に酒気は見られなかった。

「無理やりやらされてるとか、そんなんじゃないんです。ただ……」

 もういい、と豪三郎は言った。

「好きなことでも、楽しめないときはある。それは普通のことじゃないのか。俺だって、ゲームなんかしたくないときもある」

「ちがうんです。そういうんじゃ……」

「楽しいはずのことが楽しめない。そういうとき、どうすればいいと思う?」

 慎二が黙りこむと、豪三郎は懐から缶ビールを取りだした。プルタブを開けると、白い泡がかすかに盛りあがった。

「飲んで、楽しめない理由を忘れる。ほれ」

 そう言って缶を慎二に押しつけた。作業服の中に入っていたため、缶自体がなまあたたかくなっている。

「ぐーっといけ、ぐーっと。俺が少年ぐらいのころは、親父のウィスキーを盗み飲みしてたぞ」

 慎二は顔をしかめたが、期待のこもったまなざしを向けられ、仕方なく缶に口をつけた。

 苦い。ぬるい。たった一口で胸がいっぱいになるような、変な味だ。父が夕食のときに飲んでいるが、よくこんなものを毎晩飲めるものだと思う。

 咳こみながら缶を返すと、豪三郎はゲラゲラと笑い、残りを一気に飲みほした。

「知ってるか? 大人っていうのは、嫌なことや苦しいことを、この苦いジュースで全部腹の中におさめちまうんだ。そうしたら、また明日から戦えるのさ」

「戦う……」

 そうだ、と豪三郎はうなずいた。

「みんな、なにかしら問題をかかえてる。そいつと毎日戦ってるんだ。そして戦うためには、酒や楽しいことが必要だ」

「……」

「でも、楽しかったことが嫌になったんなら、少し距離を置いてみればいい。酒が解決してくれなくても、時間が解決してくれることもある。俺だってそうだった。竹刀を振りたいと思うようになったら、またやればいいんだ」

 慎二は自分の手を見た。今は、竹刀を握りたいと思わない。防具だって見たくもないし道場や体育館の空気を吸いたくもない。

 だが、嫌いになったわけではなかった。

 ──本当に時間が解決してくれるんだろうか。

 考えこむ慎二をよそに、豪三郎はごろんと横になった。

「ちょっと寝る」

と言って、豪三郎は大きなあくびをした。慎二が毛布をわたすと、ろくに広げもせずに身体にかけ、すぐにいびきをかきはじめた。

 ひとりになり、慎二はまた考えこんだ。

 「距離を置け」という指摘は、不思議と腑に落ちた。慎二が剣道をしたくなくなった原因は、仲井との試合だ。ひどいけがを負わせ、自責の念から剣道ができなくなってしまっている──

「ちがう」

 強くかぶりを振った。

 ──ちがう、そんな理由じゃない。俺が竹刀を握れないのは……

 突然、豪三郎が身を起こした。驚く慎二を見おろし、「肝心なことを忘れていた」と言った。

「少年、名前は?」

「い、飯島慎二」

「じゃあ慎二君。悪いけどあのビールの缶、捨てておいてくれないか。できれば、宗ちゃんに見つからないところに」

 怒られるから、と言って再び横になった。

 名前とビール。肝心なことって、いったいどっちのことだったんだろうと慎二は思った。

 診察室からかすかに人の声が聞こえた。内容まではわからなかった。


〈三〉

 時計の針は午後四時を指していた。診察室のドアが開く気配はない。

 慎二は立ちあがっては診察室のドアに近づき、戻って座り、また立ちあがるという動作をくり返している。

 ──結構、時間かかるな。

 豪三郎の面倒をみているうちに明子が出てきて、いっしょに帰る──そんなことを考えていたが、甘い考えだったのかもしれないと慎二は思った。

 母が仕事から戻ってきているころなので、もう家に帰った方がいいことはわかっている。もう少しだけとくり返しながら、ずるずると先のばしにしてしまった。

 自分はどうしてここまで城田さんのことが気になるのだろうと、慎二は首を傾げた。

 明子は背が高く、ひかえめに言っても美人だ。もし東京へ行けば、芸能事務所のスカウトだって寄ってくるにちがいない。だから気になるのだろうか。

 いやいや、とかぶりを振る。人を見た目で判断するなど失礼極まりない。

 じゃあ、どうしてだろう。優しいから? 上品だから? 理由をあげてみるが、どれもちがう気がした。

 ──強いてあげるなら、におい、かな。

 明子から発せられるにおい……雰囲気といってもいい……に引き寄せられているのかもしれないと思った。それは慎二を逃さないなにかにちがいなかった。

「恋だよ、少年」

 びくっと慎二の身体がはねた。豪三郎は天井を向いたまま話しかけてくる。

「あの娘が気になるんだろう? さっきからずっと見ていたからわかる」

「寝てたんじゃなかったんですか」

「立ったり座ったり、ソファーをぎしぎし揺らされちゃあ眠れやしない。ギシギシいわすのはベッドだけにしておけ」

 あけすけなもの言いに、慎二は顔が熱くなった。豪三郎はにたりとし、

「今、あの娘のことを考えたな?」

「考えてない! 俺はそんな目で城田さんを見たりしてない!」

「そいつは悪かった」

 身体を起こし、豪三郎は真顔になった。酔いはすっかりさめたようだ。

「慎二君は彼女のことが好きなんだな」

 あまりに直截的な言葉に、慎二は返答に困った。やがて、

「よく、わかりません」

と小さな声でこたえた。

「今日はじめて会ったところだから」

「時間は関係ない。恋に落ちるのはあっという間だ」

「ううん……」

「しかし、においに引き寄せられるとは、君も大変な変態だな。においフェチか」

 思わず吹きだし、慎二はあわてて手で口を覆った。頭の中で考えていたことを、無意識のうちにすべて口に出していたらしい。

「ひとり言は、ひとりのときにした方がいいな」

「……そうします」

 豪三郎はおもむろにポケットから携帯電話を取りだし、眉をひそめた。

「プレイヤーから連絡が来ない」

「ゲームの?」

 豪三郎は待合室を落ちつきなく歩きはじめた。ゲームをしようにも、人がいなければはじまらない。よほど楽しみにしていたのか、豪三郎は困りきった表情を見せている。

 不意に、診察室のドアが開き、明子と宗一が現れた。

「ありがとうございました」

 明子は頭をさげた。

「君がなにを悩んでいるのか、私にはまだはっきりとつかめないけど……でも、力になりたいとは思ってる。決心がついたら、話してくれよ」

 明子は微笑んだ。目尻に光るものが見える。泣いていたのだろうか。

 大丈夫ですか、と声をかけようとしたとき、豪三郎が割りこんできた。宗ちゃぁん、と世にも情けない声をあげる。

「あいつらから連絡がないんだけど」

「まだこんな時間じゃないか。仕事が忙しいんだろう」

「でも、いつもこれぐらいの時間には一本連絡くれるじゃないか」

 いやいやをするように、豪三郎は身体をよじった。三十七の男がとっていいポーズではない。

 宗一がため息をついたとき、電話の着信音が鳴り響いた。診察室の中からだ。私の携帯だ、と言って宗一は飛びこんでいった。

 慎二は咳払いをし、城田さんと呼びかけた。

「もういいの?」

「うん。あとは支払いだけ」

 そう、と慎二は頬をかいた。

 豪三郎が振り返った。明子からは見えない位置で、面白い玩具を見つけたという表情を浮かべている。

「嬢ちゃん、帰りはそこの少年が送ってくれるそうだ」

 え、と慎二と明子は同時に声をあげた。

「足がよくないのなら、くだり坂は大変だ。転ばないよう、つきそってもらうといい」

「でも……」

「さいわい、慎二君は剣道の達人。たとえ通り魔が出てきても、その杖で叩き伏せてくれるぞ」

 ──勝手なこと言ってるよ、この人。

 しかし、本当に通り魔が現れたら、全力で戦ってやるという気概はあった。明子を守るためなら、たとえ素手であってもそれぐらいできそうな気がした。

 ──三郎さんの言うとおり、やっぱり好きになっちゃったのかな。

 恋に落ちる、フォーリン・ラブ、ひとめぼれ。漫画や映画で散々目にしたできごとが、まさか自分の身に降りかかってくるとは。

 戸惑いはしたものの、心が定まると慎二の動きは迅速だった。

「僕が送ります。なにが出てきても絶対守りますから」

「お、言うね少年。男だね」

 何度もうなずき、にやにやしている。明らかに面白がっている。

 だが、明子はちがった。

「そんな……そんなの困ります。通り魔が出てくる前提で、話をしないでください!」

 強い口調に、慎二も豪三郎も押し黙った。断られる可能性はあったが、まさかここまで強く拒絶されるとは思ってもみなかった。

 明子ははっとなり、取り繕うように言葉を足した。

「通り魔とかそういうのは、その……」

「こわいのはわかるよ」

と豪三郎。

「この前襲われたのは、たしか若い娘さんだ。嬢ちゃんが狙われたっておかしくない。遠慮せずに送ってもらいなよ」

 明子はかたい表情で黙りこんでいる。かすかに肩が震えていた。

 ──城田さん、まさか。

 豪三郎の言うとおり、襲われたのは若い女性。

 それが明子ではないという確証はない。現に、明子は脚をけがしている。

「城田さん、やっぱり僕が」

「いいから、やめて」

 一瞬、明子は険しい顔を慎二に向けた。すぐにはっとなり、「ごめんなさい」と取り繕うように言った。

 待合室に気まずい空気が流れる。

 ──凄く嫌がってる……。

 慎二は悄然となった。

「……じゃあ、俺、先に帰りま──」

「え? 帰れない?」

 診察室から宗一の声が響いた。


 携帯電話を耳に当てながら、うん、ああ、それなら仕方ないな、と言いながら、宗一が現れた。

 携帯を切り、豪三郎、と呼びかけた。

「今日のセッションは中止だ。二人とも残業が確定したらしい」

 セッションという言葉の意味はわからなかったが、どうやら豪三郎が楽しみにしていたものが中止になったらしい。

 豪三郎は、無言で笑っていた。わめくでもなく嘆くでもなく、ただ笑顔を浮かべている。

「宗ちゃん、もう一回」

「今日のセッションは中止だ」

 首をぐるりとまわし、豪三郎は慎二の両肩をつかんだ。

「少年よ、これが絶望だ」

 聞く者を地の底にひきずりこむような声に、慎二はあわてて逃げだした。

「……ま、そういうわけだから、今日は三人で帰りなさい。豪三郎、次のセッションが決まったら連絡するから」

 豪三郎は悄然として応じない、よほど楽しみにしていたのだろう、かわいそうなぐらい落ちこんでいる。

 あの、と慎二は言った。

「プレイヤーって何人来る予定だったの?」

「二人だ。豪三郎を入れて三人だな」

「じゃあ、俺と城田さんが入ればゲームできるよね」

 明子と豪三郎の視線が慎二に集中した。そりゃあ、まあ、と宗一はこたえた。

「ゲームなんだから当然楽しいよね」

「んー……今回のシナリオはちょっとハードかもな」

「せっかくだから遊んでいこうよ、城田さん」

「でも……」

「気分変えて、ぱーっと遊ぶのもいいんじゃない?」

 明子は時計を見た。外はまだ明るい時間帯だ。今ならひとりで帰れるのだから、どうしようかと考えているのだろう。

 明子は慎二を見た。急に見つめられて、少しどぎまぎした。

 小さくうなずき、

「やる」

と明子ははっきり言った。

 やったー! と諸手をあげて喜んだのは、豪三郎だった。やった、やった、と慎二が少し引くほど喜んでいる。

 宗一は考えこみ、ちょっと時間がかかるよ、と言った。

「なにしろ初心者が二人もいるから、ゲームの概念から説明しないといけない。たぶん、こういうゲームの経験はないと思うから、よけいに大変なんだよね……」

 正直なところ、ゲーム自体はどうでもよかった。食事でも、お茶会でもいいのだ。

 ただ、明子とのあいだに嫌な雰囲気を残したまま解散することだけはさけたかった。気分を明るくして別れられるならなんでもいいと、慎二は考えていた。

 宗一はひとつうなずき、「せっかくだしやってみるか」と言った。

「じゃあ、こっちに来て」

 慎二と明子、豪三郎を診察室に招き、さらに奥のドアを開いた。

「ところで、ゲームってどんなやつ? コンピュータゲーム? それともカードとかボードゲーム?」

 宗一は振り返り、言った。

「TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)だ」

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