最終話「それぞれの想い」
ついに最終話!
いままで読んでくださってありがとうございました。
昇りゆく太陽。小うるさい小鳥たち。昨日から履いたままの革靴が砂利敷きの道を荒く踏みつける。自身の乱れた息が鼓膜を揺らす。
勢いのままに飛び出した幼女の足は、よくわからない砂利道をただひらすらにたどっていた。
「はぁはぁ、本当に、はぁ、バカ、みたい……」
幼女の顔には後悔が浮かぶ。
――感情のまま墓守へ罵詈雑言を浴びせてしまわなければよかった
――墓守に無理やり説得しようとしなければよかった。
――近道と思った森に入らなければよかった。
――真っ直ぐ民護修院へ駈け込めばよかった。
もっと、お姉ちゃんと遊んでおけばよかった。
「ぅきゃっ!」
注意散漫な幼女は大きめの石に躓いてしまう。思わずついた手は砂と細かな傷に滲む血で黒ずんだ。擦りむいた左ひざもジンジンと熱い。
真っ黒になった手のひらを見て幼女はぐすっと込みあがってきた熱いものをすすり上げる。転んだ傷も痛いが、大好きなお姉ちゃんのことを一瞬でも諦めてしまったことの方が悲しかった。
手の甲でごしごしと両目をこする幼女はふらりとしながらもなんとか自力で立ち上がる。がむしゃらに走ってきたせいで、今どこにいるのかも、どこに行けばいいのかもわからない。
表情に焦りを強くにじませる幼女に、どこからか「おい」と声がかかった。
「え?」と幼女は反射的に自分の後ろを見るも、来たのか向かっていたのかも分からない砂利道があるばかり。自分が向いていた方を見ても誰もいない。
不思議に思い雑木林の方をじっと見つめる幼女の肩を、何か棒状のものがトントンと叩いた。
「こっちだ、こっち。お前思った以上に鈍いな。派手に転びやがって」
「は、墓守!」
『リ〇ャード・ハリス 1930.10.1-2002.10.25』と書かれた墓石の上に座り込んで片膝を立てている灰ジャケット姿の墓守は、感情の薄い顔で冗談臭いことを垂れる。そんな墓守に向けた幼女の声は、苛立ちを含んでいた。
幼女は虚勢を張るように墓守を睨み付ける。しかし、墓守はどこ吹く風とまるで気にした様子はない。幼女は誰に向けてのものか分からない苛立ちをギリッと奥歯で噛み潰した。
「なんでここにいるのよ! あんたはまた人殺しに行くんでしょ! 私なんかに構わないで!」
「構っているわけじゃあない。たまたま進行方向が同じだっただけだ」
ヒリヒリと痛んできた手のひらを揺らしたまま幼女は声を荒上げる。強がるしかない自分に幼女は苦虫を噛んだ思いがした。そんな幼女に墓守は呆れたように「ふん」と鼻を鳴らす。
「お前は本当に運がいい」とぼやく墓守は、その場ですっくと立ち上がってすぐ前に見えた墓石の上へ飛び移る。トンっと着地すると、そのままくるりとターンしてふわりとジャケットを広げて、不敵な顔で幼女と向き合った。
「その道を真っ直ぐ走るといい。挨拶するくらいの時間は作ってやる」
墓守は担いでいた大鎌を幼女が走っていた方向へ向けて、ニヤリと口元を釣り上げて笑う。屈辱感に目元を険しくする幼女は、ギリッと奥歯を鳴らして再び走り始めた。
一風変わった鬼ごっことなって、墓守は面白そうに笑う。もとより小さな背中を小さく見えなくなるまで眺めた。
そんなことをしていると、とうとう役人も墓守へ追いついてくる。ぜえぜえと息も絶え絶えな役人はたまらず、墓守の足元でごろりと寝転がった。
「よぉ、デスクワークは懲りたか?」
「ぜぇ、うる、さい……この、はぁ、裏切り、者……」
「待ってやっただけでも感謝してほしいくらいなんだがな」
呼吸がこの上なく荒れている役人を、墓石の上でしゃがむ墓守は呆れた顔で覗き込む。疲れたせいか「空は青いなあ」なんておかしなことを言いだした役人に、墓守はため息をついて残念な脳みそが詰まった頭を大鎌の尖っていない方の柄頭で小突いた。
大して痛くもないのにぶつぶつと文句を言う役人は、上半身だけを起こして額に滲んだ汗を茶色いスーツの袖で拭う。
これは好機と笑う墓守は、役人を小突いた大鎌の柄頭を茶スーツの襟を器用にひっかけて、野球少年のバットについたグローブのように肩に担ぎ上げた。
「ぅおわ! は、墓守! 少々スキンシップが過ぎないかい!?」
軽々と持ち上げられた役人は思わず暴れようとするが、地に足がつかない恐ろしさに抗議の声を上げるだけに終わる。そんな形だけの抗議を、墓守は「ふん」と鼻を鳴らすだけで流した。
「おとなしくしてないと、墓のせいで墓送りにさせられるかもな」
何ともブラックなジョークを披露する墓守。役人はさぁーっと顔から血の気をなくして青くなる。
悲鳴すら上げない役人に、墓守は「はははっ」と愉快そうに笑う。目的地の方へ思いっきり飛び出していく墓守に合わせるように、役人からは何とも情けない悲鳴が墓地中に響いた。
☆★☆★☆★
昇る太陽、騒ぐ小鳥たち、砂利を踏みつける革靴、さほど変わらない風景。
ずらりと並んだ無数の墓石たちが自分をあざ笑うかのように思える。しかし、行き先がわかっているということだけが幼女を支えていた。
「はぁはぁ、絶対、負けない、はぁ、だからぁ……」
息も上がってろれつも回らない幼女だが、その気炎は消えるどころかますます強まっている。それでも足を止めないでいると、群生する墓石にぽつぽつと隙間が多くなってきた。
砂利敷きだった道もある地点から広い石畳になって、うっそうとしていた雑木林も簡易な荒縄の柵で区切られている。騒ぐ小鳥たちにもどこか気品があるような気がした。
幼女はがらりと変わった雰囲気に思わず目を丸くする。信じられなくて辺りをきょろきょろと見回すと、前方に鉄柵でできた見上げるほどの門が見えた。観音開きになった向こうには、死人を運ぶようなみすぼらしい荷馬車も見える。
それに気づいた幼女は、慌ててその荷馬車に駆け寄った。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」
幼女は荷馬車に近寄って大きな声で呼びかけながら、高い荷台に苦労してよじ登る。荷馬車の御者が何か騒いでいるようだったが、すぐにその声は止んだ。
止める声などまるで気にせず幼女は荷台に寝かせられた女性に駆け寄る。小柄な女性は背中の中ほどまではありそうな栗色の髪やひざ下までの白ワンピースなど、その格好をすっかり汚していた。
「ぁ―—カレン、ちゃん? カレンちゃんなの?」
「お姉ちゃん、だ、大丈夫なの……?」
カレンと呼ばれた幼女は目じりに涙をためながら女性の枕元にそっと腰を下ろす。女性も嬉しいのか悲しいのか、涙をためながらもカレンへ気丈に笑った。彼女は細かい傷や土埃がついた手を震わせて、そっと幼女のほっぺたを撫でる。
気丈に笑ってくれる彼女に、幼女はポロポロと大粒の涙を流した。
「お姉ちゃん、ごめんなさい。お姉ちゃん、殺されちゃうの」
「……ぇ?」
「墓守さん、おばあちゃんのブローチ見せたけど、言うこと、聞いてくれなくて、わたし、わたし――」
嗚咽を漏らすカレンは、両手で目を押さえるように泣いた。彼女は少しだけわからないような顔をしたが、カレンの悲しそうな鳴き声を聞くと、すぐに優しく微笑んであふれる涙をそっと指で拭ってあげる。
声が少しおとなしくなったカレンの右手を、彼女は包み込むように優しく握った。
「カレンちゃん……いないと思ったら、そんなことしてたのね……お姉ちゃん、嬉しいわ……」
「ひぐっ、お姉ちゃぁん…」
「でもね、私はもういいの。叔父さんだって、二人とも養うのは大変だったのよ……」
彼女は気丈に笑いながらも、「カレンちゃんだけは幸せになって……」と涙を流す。カレンは自分の手を握る彼女の手にすがるように泣いた。
幼子の悲哀に満ちた涙。彼女もカレンの頭を撫でながら、不安と悲しみの涙を流す。
大きな声ですすり上げるように泣く幼女と、声を押し殺して泣く彼女。
そんな悲劇の代名詞は、ほんの数分で打ち切られた。
「心外だな、俺が殺すことが勝手に決められてる。露骨な感動ドラマじゃないんだから、少しは悪役の心情を察して欲しいな」
「は、墓守……なんで、来るのよ」
トレードマークである大鎌を肩に担いだ墓守は、荷台を覗き込みながらそんなことを言う。
ドラマのワンシーンのような中へ割り込んだどことなく紳士風な墓守にカレンは言葉を失いかけるが、すぐに目つきを険しくしてそのすまし顔をキツく睨み付ける。思わず手に力が入るカレンだが、彼女は穏やかな顔のまま首を傾げた。
「カレンちゃん……この、方は……?」
「この人が、墓守さんなの。お姉ちゃんを殺す人」
態度を豹変させたカレンは、疑問符を浮かべる彼女へ手短に告げる。彼女は少しだけ驚いた顔をするも、すぐに穏やかな顔に戻って「楽に……逝かせて、くださいね……?」と笑いかけた。
そんな彼女に、カレンも墓守も驚いた顔をする。カレンはすぐに彼女を言い咎めようとするも、言葉が浮かばない。
墓守は意識をぐらりと揺さぶったが、何かの幻影を振り払うように頭を振って話を続けた。
「お前、カレンって名前だったのか……問題はあなたの処遇ですよ、お嬢さん」
「ふふふ……お嬢さんだなんて、お上手なのね……」
慣れない敬語を使う墓守も彼女が寝かされた荷台に上がってくる。空気を読めていないのか、ニコリと笑いかけてくる彼女に墓守は再び頭を振って、その場でそっとしゃがみこんだ。
相方でもある大鎌を脇に置く墓守は、彼女の足にそっと手を触れる。慌てて止めに入ろうとするカレンだが、彼女が握っていた手に力を入れて止めさせた。
そうこうしているうちに、墓守は彼女の右足首を持って軽く持ち上げる。彼女は思わず「あっ」と顔をしかめて、カレンは墓守を一層強く睨み付けた。
「ちょっと! お姉ちゃんに何してるのよ! 今すぐ離れなさい!」
「別に卑猥なことじゃないから関係者は脇にのいてろ。ここは痛むか?」
食って掛かるカレンを、墓守はどこ吹く風とまるで取り合わない。それどころか彼女から「いいえ、大丈夫です」と言う返事まで貰い、全身を下から順に曲げてみたり伸ばしてみたりと触診していく。
まるで遠慮がない墓守に、カレンは「ガうっ!」と、文字通り噛みついた。
「お前は犬なのか?」と呆れてみせる墓守はまるで痛がることなく、カレンを噛みついている腕ごと持ち上げて荷台の外で宙づり状態にする。
「んむぅううっ!」と唸るほど必死なカレンはずるずると落ちていって、慌てて駆け寄ってきた役人に寸でのところで受け止められた。
「か、カレンちゃん」
「離しなさいよぉ! ちび! クソチビ! 豆粒男ぉ!」
彼女が心配そうに見る先には、全身を目いっぱい使って駄々っ子のようにじたばたと暴れるカレンの姿があった。墓守に上半身だけを助け起こされた彼女は、思わずクスッと笑みを漏らす。それを見ていた墓守はある女性を思い出してそっと視線を脇へそらした。
そんな墓守を、彼女は不思議そうに見る。じっと覗き込んでくるようなその目に思わず「うっ」とたじろぐ墓守だが、それをごまかすように咳払いをして、逆に彼女を覗き込むように見た。
「お嬢さん、名前は?」
「イリス、です……おばあ様へ、いいお土産になったかしら……」
真面目そうな顔をする墓守に、イリスと名乗る女性は儚げに笑う。生きることに何の希望も持っていない女性に、墓守は一人顔をしかめた。
墓守にそんな顔をされたことに女性は悲しげな顔をする。墓守は慌てて表情を戻した。
「イリス、は何ができる?」
「何、とは……? 今の私では、とても……」
「何でもいい。読み書きができるとか、計算が得意とか」
「は、はい……強いて言えば……読み書きと、家事、でしょうか……」
それを聞いた墓守はなぜか「ふん」と鼻を鳴らして脇に置いてあった大鎌を拾うと、イリスを突然お姫様抱っこのように抱き上げる。簡単に持ち上げられたイリスは驚き固まっていたが、墓守はそんなことなどまるで気に留めず荷台から降りた。
それに気づいた幼女は、小柄な役人のお粗末な拘束を振り払って墓守の前に立ちはだかる。細く短い腕を目いっぱい広げる幼女を、墓守は興味のないような目で見た。
「急にどうした? 俺はこれから忙しい」
「お姉ちゃんをどうするつもりなの!?」
「あー、御者さん。お疲れ様でした。戻ってもらって構いませんよ」
幼女は下から強く睨み付けてきて、墓守は面倒そうな疲れたような顔で話をそらす。突然話しかけられた御者は運悪くパイプを吹かしていて、驚いた拍子に盛大にむせてしまった。
心なしかやつれた役人が運賃を払っているうちに、墓守は一番近くの墓石へ飛び乗る。幼女が慌てて追いかけようとするも、その姿はあっという間に小さくなっていた。
「おねえ、ちゃん……」
カレンはすうっと気が抜けたようにその場でへたり込んでしまう。ぐずっと込みあがってきた熱いものをすすり上げるが、あふれてくる涙はとても止められそうになかった。
「ありゃあ、逃げられちゃったな」
悲嘆にくれるカレンの横に並んで立つ役人は、格好つけるように右脇に何かを抱えて、左手でひさしを作っている。声を押し殺して地面にいくつかのしずくを落すカレンに、役人は独り言をするようにカレンへ話しかけた。
「今日の墓守、やけに疲れてただろう? 墓守が夜のうちに、君のお姉さん――イリスさんだったかな? 彼女が転落した現場を見に行ってくれたんだよ。その足で僕の家にまでやってくるんだから、迷惑だよねえ」
「…………」
カレンが醸し出す沈黙に、役人の独り言はむなしく滲む。「え、えーっと……」と気まずそうにする役人だが、無理やり次の言葉を絞り出した。
「は、墓守が言うには、彼女が落ちたのは問題視されていた地点じゃない。自分に殺させるようなことでもないだろうって。でも昨日すでに彼女の話は僕のところまで伝わってきていたから、墓守は珍しく困った顔をしていたよ。『家族の増やし方がわからない』ってね」
「……うそ」
「くふふ、うそなんかじゃないよ。墓守と僕はそのために昨日は徹夜したんだから。これ、彼女に渡しておいてね」
役人は相変わらずよくわからない言い方をする。ふわりとすり抜けていくそよ風に煽られるカレンは、ついつい返事をしてしまった。心なしか嬉しそうにする役人はいやらしく笑うと、カレンへ脇に抱えていた何かを差し出す。それは病院などにおいてある松葉杖だった。
受け取ったカレンはしばらくそれをまじまじと見つめていたが、徐々に表情を軽くしていく。すっくと立ち上がったカレンには、満開の笑顔が咲いていた。
「お姉ちゃん! お姉ちゃーん!」
その場に墓守がいれば「まるで三流小説だ」と笑ったことだろう。それほどわかりやすく喜んでいるカレンは、疲れも忘れて来た道を全力で引き返す。その胸には役人から受け取った松葉杖がしっかりと抱きこまれていた。
対する役人は疲れた顔で大あくびをしている。ポケットから取り出したメモには、「新居建設」「墓地の追加整備」などなど、役人の頭を悩ませることばかり書かれていた。
「僕もあんな女性とお近づきになりたいなぁ……墓守のくせに」
落ち込むようにぼやく役人は、余分な何かをこそぎ落とすようにガリガリと頭を掻く。重苦しいため息を一つ落とした役人は、出発の準備をしていた荷馬車へと駆け寄っていった。
☆★☆★☆★
ある街の郊外に佇む墓地。自生する草木にはしっかりと手入れがなされていて、誰もが訪れやすいよう業者も参加してより良い環境になるよう整備が進んでいた。
季節も進んでほっこりとした温かみを持ち始めた日差しの中、最近整備されたばかりの石畳がまぶしい。最奥にぽつんとたてられた二つの墓石も心なしかきれいに磨かれていて、いつものように黄昏る墓守も白いワイシャツに黒のモーニングコートと、すっかりあか抜けていた。
天頂からぼうっと眺めてくる太陽に照らされる草花たちはつぼみも膨らんで、色鮮やかな花びらもちらほらと見られる。大鎌を肩に抱いて「ふう」と一息ついている墓守のところへ、今までは聞きなれなかった二つの足音が近づいてきた。
「墓守ー、お昼だよー!」
「カレンちゃん、気をつけないと転んじゃうわよ?」
ぱあっと明るい笑顔を咲かせた白チュニック姿の幼女に、「ふふふ」と目を細めてつつましげに笑う黄色い平服と白ロングスカート姿の女性。
カレンは大きなバスケットを持ってあっという間に墓守のすぐ目の前まで駆け寄ってくる。捻挫のせいで松葉杖をついているイリスは、ずっと後ろからカレンを追いかけてきた。
墓守がカレンのバスケットから受け取った敷き布を広げているうちにイリスも墓守のところへとたどり着く。墓守が大鎌を後ろにおいて敷き布の上で腰を下ろすと、イリスとカレンが墓守の両脇に座った。
「喉かわいてませんか? 墓守さん」
「ああ、ありがとう」
「墓守墓守! これも食べて!」
イリスから木製コップを受け取った墓守は、水筒から香りのいい紅茶を注いで貰う。怪我もすっかり良くなって捻挫を治すだけのイリスの胸元につけられたブローチはとてもよく似合っていて、その笑顔はなんだかまぶしい。そんなイリスの笑みを向けられて、墓守は少しだけ顔を赤くする。
そんな二人へ割り込むように、カレンは持っていたバスケットを差し出した。
中には彩り豊かなサンドイッチがぎっしり詰まっていて、受け取った墓守は思わず「おぉ」と唸る。
嬉しそうに口元を緩める墓守に、イリスは体重をそのまま預けた。
墓守は少しだけ驚いた顔をしたが、その幸せそうな顔を見ると、自分も幸せそうな顔をしてそっとイリスのほっぺたを撫でる。
二人を包み込むように吹いた温かいそよ風がイリスの髪をふわりと弄ぶ。
そっと目を閉じてリラックスしていた墓守が気付けば、カレンは誰よりも先にサンドイッチを口一杯に頬張っていた。
口の回りに特製ソースをべっとりつけたカレンに、イリスや墓守は思わず笑ってしまう。和やかな雰囲気の向こうからは、複数人が大工道具を扱う音――新居が生まれる音がしていた。
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