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第 3 話 龍、試験を行うのこと

第三話、更新しました。

良かったらお読みください。

窓から差し込む光によって目を覚ました。

いつの間にか、熟睡していたらしい。

左目から感ずる光の量からいって、まだ朝になって間もないみたいだ。


「ふぅ・・・・・・、本当に三国志の時代、それもパラレルワールドに来たんだなぁ」


脇においてあった特製の眼帯をつけてから辺りを見回して、ここが実家の私の部屋ではなく昨日案内された部屋だったので、実感が沸き呟いてしまう。


「さてと、今日は試験だから、少し身体を動かそうか・・・・・・」


そんな事を呟きながら身体を解していく。

正確な時間は教えてもらってはいないが、そのうち遣いの人が来るだろう。

私は“庭にいます”という書き置きを書いて、白狐を持ち部屋を出た。


「えっと、庭はどこかな?」


そう呟きながら城の中を散策していく。


それにしても、広い城だなぁ。


そう思いながら城を散策すること数分。

庭らしき広い敷地を見つけた。


「さて、白狐。初めて、お前を使うわけだけど、言っておきたいことはあるかい?」

≪特にない。政也の思う通り、我を使えば良い。我は、それに応えるだけ≫

「そっか。でも、何か気になることがあったら言ってくれ」

≪分かった≫


私は白狐と話した後、鞘から抜いて上段に構えると素振りを開始する。


「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」


リズムよく振って白狐の感覚を掴んでいく。


これは・・・・・・、良い感覚だ。

これならいつも以上に扱えるかもしれないぞ。

親父が私に授けようとした理由が、少し分かる。

白狐は今までの竹刀や刀より、私の腕にしっくりとくる。

この感覚は生まれて初めてかもしれない。


「さて素振りはこれくらいにして・・・・・・、試験に向けてちょっと動いとこうか」


そう呟いて、抜刀法十本を行っていく。


一本目、上段先取刀法。

白狐を中段に構えた後、左上段に構え相手との間合いを詰めて、相手が突いてくるのを察知し右足から右斜め前に大きく踏み込んで体をかわして、すばやく相手の左面を斬る。斬った後、右足を引きながら左上段の構えとなって残心を示して、さらに左足を引きながら左手を柄から離し左帯に送ると同時に、袈裟に振り下ろして、血振りを行い納刀する。


二本目、左払左袈裟刀法。

白狐を抜刀、中段に構えて間合いを詰めて、左足を一歩踏み出すと同時に、相手の刀をすばやく左に払い振り上げて、右足から右斜め前に踏み込み体をかわして、相手の左肩口から左袈裟に斬り下ろす。足は逆八の字に開いて、等しく両膝を浅く曲げ腰を落として斬る。三歩退がりながら切っ先を下げて、倒れた相手に切っ先を向け残心を示して、横の血振りを行い納刀する。


三本目、右払小手刀法。

白狐を抜刀、中段に構えて間合いを詰めて、送り足で一歩進むと同時に、相手の刀を右に払い跳ね上げて、更に左足で一歩踏み込み相手の右小手を斬り落とす。三歩退がりながら切っ先を下げて、倒れた相手に切っ先を向け残心を示して、横の血振りを行い納刀する。


四本目、左面・右袈裟刀法。

白狐を抜刀、中段に構えて間合いを詰めて、左足を一歩踏み出すと同時に、相手の刀をすばやく左に払い振り上げて、右足から右斜め前に踏み込み体をかわして、相手の左面を斬る。さらに白狐をかえして、大きく振り上げると同時に、左足を踏み込み腰を落として、右袈裟に斬り下ろす。この時の足は、二本目と同じ逆八の字になる。三歩退がりながら切っ先を下げて、倒れた相手に切っ先を向け残心を示して、横の血振りを行い納刀する。


五本目、右面・左袈裟刀法。

白狐を抜刀、中段に構えて間合いを詰めて、右足を一歩踏み出すと同時に、すばやく相手の刀を右に払い上げて、そのまま刀を振り上げ左足から左斜めに踏み込んで、体をかわし相手の右面を斬る。さらに白狐をかえして、大きく振り上げ右足を右に踏み込んで、腰を落とし相手の左袈裟を斬り下ろす。この時の足は、二本目と同じ逆八の字になる。三歩退がりながら切っ先を下げて、倒れた相手に切っ先を向け残心を示して、横の血振りを行い納刀する。


六本目、左袈裟・胴刀法。

白狐を抜刀、中段に構えて間合いを詰めて、左足を一歩踏み出すと同時に、相手の刀をすばやく左に払って振り上げて、右足から右斜め前に踏み込み体をかわして、相手の左肩から左袈裟に斬り下げる。さらに白狐をかえして、左足から右斜め前に踏み込み相手の右胴を水平に斬り抜く。三歩退がりながら、切っ先を下げ倒れた相手に切っ先を向けて、残心を示し横の血振りを行って、納刀する。


七本目、逆袈裟・袈裟刀法。

白狐を抜刀、中段に構えて間合いを詰めて、右足を一歩踏み出すと同時に、相手の刀をすばやく右に払って、左足を出しながら左脇構えをとり更に右足を斜め前に踏み込むと同時に、右逆袈裟に斬り上げる。すぐに白狐をかえして、腰を落とし左袈裟に斬り下げる。この時の足は、二本目と同じ逆八の字になる。三歩退がりながら、切っ先を下げ倒れた相手に切っ先を向けて、残心を示し横の血振りを行って、納刀する。


八本目、抜打・突き刀法。

この技は、相手に向かい立つ位置を左にずらしてから歩み寄って、間合いに入るや左足前で白狐に手を掛けて、右足を相手に向け踏み込むと同時に、片手抜き打ちに相手の右頸部を斬る。続いて、左・右足とさがち間合いを取って、ただちに中段に構え右足から踏み込み相手のみぞおちを両手で突く。一本目と同様に、左上段の構えとなり残心を示して、袈裟血振りを行い納刀する。


九本目、三段斬刀法(右面・左袈裟・胴)。

基本姿勢で右足から進み左足前で白狐に手を掛けて、右足で踏み込むと同時に、片手抜き打ちに相手の右面を斬る。続いて、両手で相手の左肩口を左袈裟に斬り下げて、返す刀で右胴を水平に斬り抜く。この時、左袈裟に斬り下げた刀を止める事なく瞬時に右胴を斬る。三歩退きながら、切っ先を下げ倒れた相手に切っ先を向けて、残心を示し横血振りを行って、納刀する。


十本目、三段斬刀法(斬り上げ・左袈裟・胴)。

基本姿勢で右足から進み左足前で白狐に手を掛けて、刃が下になるように鞘を返す。右足で踏み込むと同時に、右片手で右逆袈裟に斬り上げて、続いて両手で左袈裟に斬り下げ返す刀で右胴を水平に斬り抜く。この時、左袈裟に斬り下げた刀を止める事なく瞬時に右胴を斬る。三歩退きながら切っ先を下げて、倒れた相手に切っ先を向け残心を示して、横血振りを行い納刀する。


「ふぅ・・・・・・」


息を整えながら私は途中で感じていた気配の方を振り向く。


「曹操さん、なにかご用ですか?」


壁に体重を預けていた曹操さんは一瞬、驚いた顔をした。


「あら、よく分かったわね。私だって」

「気配を読むのが得意なだけですよ」


近づいてきた曹操さんにそう弁明する。

生れつき片目だった私は、剣術を習うために気配を探る修業をしていた。

そのお陰で、気配だけで人物をある程度、特定できるようになっただけなので別段、誇るものではない。


「で、私になにかご用でしょうか?」

「いいえ。偶然通り掛かって貴女を見つけただけよ。それにしても貴女のさっきの動きはなかなかのものだったわ」

「お褒めいただきありがとうございます」

「そんなに畏まらなくてもいいわよ。さてちょうどいい時間ね。試験を始めましょうか」

「はい」


 『ついてきなさい』という曹操さんの後をついていくと、試験会場は謁見の間だった。

中に入ると既に文官試験官の夏侯淵さんが準備を整えていた。

その脇には武官試験官の夏侯惇さんもいる。


「さて龍。これから文官の試験を始めるぞ」

「はい。お願いします」

「まずは――」


夏侯淵さんはそう言うと何冊かの書物を机の上におく。

そして、一番上の書物を指差す。


「この書物の最初の方の文章を読み上げて、その内容を自分なりに解釈してくれ」

「あ、はい」


そう指示されたため書物を読みあげていく。

読み終わった後、その内容を解釈していった。

所々、曹操さんの質問があったが、何とか自分なりの考えを述べることができたと思う。


「うむ・・・・・・、華琳さま」

「ええ。次に行ってもかまわないわ」

「はっ。龍。次はいくつか質問するから、それに答えてもらいたい」

「はい」


質問か・・・・・・、恐らくこの戦局だったら部隊をどういう風な動きをさせるのかということを聞くのだろう。

というか戦局の指示とかはしたことないしなぁ・・・・・・、大丈夫かなぁ?


そういう心配を余所に夏侯淵さんからの質問が始まってしまった。


「この状況の時はどうする?」

「・・・・・・えっと、この時の軍の配置と言うのは?」

「うむ。この資料にあるように――」

「う~ん、そういうことなら、この場合は――」


こんな具合に自分からも質問をしながら、夏侯淵さんの質問に答えていった。

幸い、分かり易いように資料をもらえたので、自分なりの部隊の動きを言うことができた。

ただ、夏侯淵さんは表情も気配もあまり変わらないから、自分の考えが正しいのか間違っているのかが分からない。


「政也、最後に私から質問いいかしら?」

「あ、はい」

「秋蘭」

「はい」


質問を終えて曹操さんと夏侯淵さんが話し合っていたら、曹操さんがそう話を切り出してきた。

何だろう?と思ってたら、夏侯淵さんが新たな資料を持ってきた。


えっと、これは区画整理の資料・・・・・・?


「貴女なら、どう整理するのかしら?」


何故、私に聞くのかな?

まぁ、良いや。えっと・・・・・・。


「これは曹操さんがまとめたものでしょうか?」

「ええ」

「やはりそうですか・・・・・・」


流石は曹操さんだな。

これだけ素晴らしい区画整理の案がだせるなんて・・・・・・。


「何か意見はあるかしら?」

「そうですね・・・・・・。この区画だと火事が起きた時、一気に全てが焼かれてしまいますから、まずは――」


私は資料を見ながら、気になったところを述べていく。

一応、江戸時代での江戸の区画の案を用いている。

現代の案を用いても曹操さんなら実現しそうだけど、今、可能なのは江戸時代での区画整理だからね。


「・・・・・・いい案ね。参考にさせてもらうわ」


曹操さんはそう言うと夏侯淵さんと話し合いをしていく。

おそらく文官の試験の合否を話し合ってるのだろう。


う~ん。合格しないと武官として合格しなくちゃいけなくなる・・・・・・。

それだとさっきからソワソワと私の方を見ている夏侯惇さんと戦って認められないといけないんだよなぁ。

嫌だなぁ・・・・・・。


「龍。結果の方は武官の試験が終わってから伝える」

「え? あ、はい」


そうなのか・・・・・・、結果は武官の試験の後か・・・・・・。

はぁ、鬱だ・・・・・・。



**********


龍政也・・・・・・、昨日も思ったけど、相当博識ね。

書物の解釈もほとんどが私の解釈と同じ。

違ったところでも私の方が感心させられてしまった。

それに区画整理での意見・・・・・・、あれは凄い。

どうしてその考えができるのかしら?

秋蘭とも話し合ったけど、文官として彼女は存分に私の役に立ってくれると確信してる。

ふふ、ますます気にいったわ。

けれど男というのは信じがたいのよね・・・・・・。


「次は私の番だな!! ついてこい!!」


そう考えている時、春蘭が政也のところに近づきそう告げると、鍛錬場へ向かう。

相当、政也と戦いたいみたいね。

かくいう私も興味がないと言えば嘘になるわ。

今朝の政也の動きは見事なものだったもの。


「あ、ちょっと待ってくださいよ」

「秋蘭、私たちも向かいましょう?」

「はっ」


春蘭の後を苦笑しながら政也が、その後ろを私たちもついていく。


政也、貴女の武を見せてもらうわよ。



**********


夏候惇さんの後をついていくと、兵士達が訓練をしている場所(おそらく鍛練場だろう)にやってきた。


えっと、ここで試験をやるのかな・・・・・・?


「龍、始めるぞ」


夏侯惇さんがこちらを向き、大剣を構えながらそう告げる。


はぁ・・・・・・仕方がない、頑張るか。


そう思った私は白狐を構える。


「行くか、白狐」


そう問いかけると、白狐は私に呼応するかのようにより一層輝いていく。

それを見ると、何だか心が落ち着いてくる。

夏侯惇さんの殺気も気にならないほど、心が澄んでくるのを感じた。



**********


「龍、始めるぞ」


春蘭は政也の方を向き、自身の愛剣、七星餓狼を構えながらそう告げる。

一方、政也は涼しい顔をしながら、腰に差していた剣を抜く。


それにしても珍しい形をした剣ね・・・・・・。


「行くか、白狐」


政也は剣にそう呟くと、中段に構える。

すると白狐と呼ばれた剣がより一層、輝きだしたように思えた。

それを握る政也は春蘭の殺気を浴びながら、涼しい顔が凛々しい顔へと変化していく。


「・・・・・・始め!!」


私は、両者を見遣って戦闘開始の合図を発する。

それと同時に、春蘭が一気に踏み込み大剣を振り下ろした。


「はぁあああああっ!!」


気合いと共に振り下ろされる春蘭の一撃。

政也は剣を真横に構える。


って、それではやられるわよ!?


「(ガキィイイン!)何っ!?」


しかし、予想に反して、春蘭の一撃は防がれてしまった。

春蘭はその予想外の出来事に驚きの声をあげる。私や秋蘭も目を疑ってしまった。

なぜなら、あの細い剣で春蘭の一撃を受け止めたうえに、刃毀れすらもしていないのだから。


「く・・・・・・っ!!」


受け止めていた政也が一気に押し返すと、春蘭は受け止めたことによる驚きのために、一瞬体勢が崩れてしまう。

しかし、すぐさま体勢を立て直し剣を横凪ぎに振るった。

それに対して、政也は受け流しながら、後方に下がり攻撃をかわす。

その後、一気に間合いをつめ斬りつけようとするが、春蘭は素早く剣を引き戻して、攻撃を受け止めると押し返した。


「やるではないか、龍!!」


嬉々とした表情を浮かべる春蘭。

閨以外でこんな顔をしたのを見るのは久しぶりね。


「流石は曹操さんの右腕と称された御方だ。私の本気の一撃が受け止められたのは久しぶりです」


政也もこの戦いを楽しんでいるかのように笑顔を向け春蘭を褒める。

政也のあの急加速についていけるのは、我が軍では片手で数えられるぐらいね。


「ふっ、それほどでもあるがな!!」


褒められた春蘭はそう叫ぶと、反撃の隙を与えないように連続で攻撃を繰り返す。

政也はその攻撃を避け続けてはいるが、攻撃に移せないでいる。

でも、その避け方が美しい。まるで演舞を見ているようだわ。


「どうした? 避けてばかりいたら、私に勝てないぞ?」

「そうですね。では、全力で行かせていただきます(シュッ)」

「く・・・・・・っ!?」


政也はそう言うと、春蘭の攻撃を避けた時、瞬間的に春蘭の懐に飛び込み剣を振り下ろす。

春蘭は驚いたような表情をしながらも、剣を盾代わりにし防いだ。

しかし、その一撃が重たかったのか、苦悶の表情をする春蘭。


「これも防がれるとは思いませんでした」

「・・・・・・流石に今のは肝が冷えたぞ」


防がれたことに驚く政也と気丈に振る舞ってはいるが、冷や汗を流している春蘭。


これは・・・・・・。


「両者そこまで!!」


私はこのままでは春蘭が負けると判断し勝負を終わらした。

そして、二人が剣を納め元の位置に戻って、私を見てきたので、私は春蘭に視線を向け訊ねた。


「春蘭、彼女はどうかしら?」



**********


「これも防がれるとは思いませんでした」

「・・・・・・流石に今のは肝が冷えたぞ」


私の全力の一撃を防ぎきった夏侯惇さんはやはり凄い将軍だ。


まぁ歴史に名を残した人は伊達じゃないと言うことかな・・・・・・?

さて、ここは仕切り直して――


「両者そこまで!!」


そう思っていたら曹操さんが終わりを宣言してきた。

疑問に思ったけど、終わりなら仕方がない。

私は白狐を収めて元の位置へと戻る。

すると曹操さんが夏侯惇さんの方を向いて訊ねた。


「春蘭、彼女はどうかしら?」


って、私は男ですってば・・・・・・。


「・・・・・・政也の武は私と同等か、それ以上かと」

「あら、春蘭がそう言うなんて珍しいわね♪」


はっ? 私が夏侯惇さんと同等か、それ以上の武を持ってる?

な、何を言ってるんでしょうか? 夏侯惇さん。


しかも曹操さんの方を見ると夏侯惇さんがそう言うことを分かっていた表情をしている。


「華琳さまも分かってらっしゃるかと思いますが?」

「何のことかしら?」

「・・・・・・あのまま戦えば、私が負けていました」

「春蘭がそう言うならそう言うことにしときましょう」


あの~、私が夏侯惇さんに勝つなんてありえないと思います・・・・・・。

どういうことか説明を願いたいです、はい。


「では政也」

「あ、はい」


置いてきぼりにされて呆けていたら、曹操さんに声を掛けられたため我に返る。

曹操さんは何だか嬉しそうに私を見つめていた。


えっと、何がそんなに嬉しいのでしょうか・・・・・・?


「試験の結果を言うわよ」

「はい」

「政也、貴女には文官と武官、両方をやってもらうことにしたわ」

「・・・・・・・・・・・・え?」


武官と文官を両方ですか・・・・・・?


「どうかしたのかしら?」

「い、いえ、何でもありません。えっと、夏侯惇さんと夏侯淵さんは・・・・・・」

「二人も同意見よ、ね?」

「「はい」」


曹操さんの問いかけに元気よく答える夏侯惇さんと夏侯淵さん。


なるほど、二人も同意見ですか・・・・・・。

何だか買被りすぎな感じがするけど、まぁ、そう決まったのなら私は従うだけだ。


「分かりました」

「ふふ、期待しているわよ、政也」


私が了解すると、曹操さんは笑顔になってこちらを見据えてきた。


うっ、その期待の眼差しが眩しい・・・・・・。

でも、頑張るとしますか。


「それでは改めて名乗らせてもわうわ。私の名は曹操、字は孟徳、真名は華琳よ。貴女に私の真名を預けるわ」

「私の名は夏侯惇、字は元譲、真名は春蘭だ」

「私は夏侯淵、字は妙才、真名は秋蘭という。よろしく」

「私は龍政也です。政也が真名はございませんので龍か政也とお呼びください」


こうして私は後の覇王・曹孟徳の家臣として働き始めたのだった。


さて、頑張りますか!


*****


「あ、そうそう、政也」


謁見の間に戻ったとき、華琳さ、殿が何か思い出したのかこちらを向く。


一体、どうしたんだ?


「何でしょうか?」

「貴女、男とか言ってたわよね?」

「え? あ、はい」


男とか言ってたじゃなくて、正真正銘の男なんですが・・・・・・。


「それ、禁止ね」

「はっ?」

「男と言うの、禁止」

「い、いや、しかし・・・・・・、私は本当におと――」

「き・ん・し・よ♪」

「は、はい・・・・・・」


反論しようとするけど、華琳殿の言いようのない迫力で頷くことしかできなかった。


はぁ・・・・・・。何でこうなった?

第三話をお読みいただきありがとうございます。

ご意見・ご感想、お待ちしております。

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