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第27話 龍、張三姉妹を連れてくるのこと

たいへんお待たせしてすいません。

第二十七話、更新しました。よかったら読んでください。

「ただいま戻りました」

「ご苦労様、二人とも。で、この者たちが?」

「はい。ご所望の張角、張宝、張梁の三人です」


政也が凪とともに三姉妹を連れて戻ると、華琳や桂花、春蘭、秋蘭などの主要のメンバーがそろっていた。

華琳は、笑顔で政也を迎える。そして、政也と凪に挟まれた三人を見つめた。


「季衣。間違いない?」

「はい。ボクが見たのと同じ人たちだと思います」

「そう」


華琳は季依の返事に頷くと、三姉妹に向き直る。


「さて、色々訊きたいことがあるけれど、まずはどうしてこのようなことをしたのかしら?」

「は、話したら斬る気でしょ。わ、わたし達に討伐の命令が下ってるのだって、し、知ってるんだから・・・・・・」


華琳の質問に、張宝が政也をチラチラ見ながら答える。彼女にとって政也は恐怖の対象らしく、いつもの勢いがまるでない。

政也は、その視線には気づいていたが、華琳との話し合いが終わっていないため、気付いていない態度をとる。


「政也」

「はっ」


華琳に一礼した政也は、三人より一歩後ろに下がる。凪もそれに(なら)って、一歩下がった。


「誤解をしているようだけれど、貴女たちの正体を知っているのはおそらく私たちだけよ」

「へ?」

「・・・・・・」


華琳の言葉に呆ける張宝に対して、張梁は黙って華琳の次の言葉を待つ。


「貴女たちここ最近、私たちの領を出ていなかったでしょう? 首魁(しゅかい)の張角という名前こそ知られてはいたけれど、張角の正体は不明のままよ。誰を尋問しても、張三姉妹の正体を口にしなかったもの。大した人気じゃない」


華琳は微笑み、三人を見つめながら褒める。

三人がどういう態度をとったらいいのか困惑の表情になるが、華琳は構わず話を続けた。


「それにね。この騒ぎに便乗した盗賊や山賊どもは、そもそも張角の正体など知る(よし)もないわ。そいつらのでたらめな証言も相まって、今の張角の想像図はこれよ。桂花」

「はい」


桂花が懐から姿絵を取り出し、目の前に広げる。

それには身長二メートルはあろうかというひげ面の大男が描かれていた。蛇足として、腕が六本、足が四本、角としっぽまで生えている。


「えー。お姉ちゃん、そんな怪物じゃないよ~」

「い、いくら名前に角があるからって・・・・・・」

「・・・・・・」


張角は心外だという表情で頬を膨らませて抗議し、張宝や張梁も呆気に取られてしまう。

微妙な空気の中、政也は桂花の示した姿絵の顔をじっと見つめていた。


(やはり似ているな。あのクズに・・・・・・)


姿絵の顔に確信を得た政也は三人には気づかれないよう、凪に合図を送る。

凪は華琳に目配せしてから、そっとその場を離れていく。

それを横目で見ながら華琳は三人に話しかけた。


「結論から言うと、黙っていてあげてもいいわ」

「・・・・・・どういう事?」

「貴女たちの人を集める才覚は相当なもの。それを私のために使うというのなら、三人の命、生かしてあげてもいいわ」

「きょ、脅迫するつもり?」


そばにいる政也からのプレッシャーを“勝手に”感じている張宝は、顔を引きつかせながらも虚勢を張る。しかし、華琳たちにはバレバレである。それに気づかないフリをしながら、意味深に笑う華琳。


「・・・・・・目的は?」


その時、これまで黙っていた張梁が、張宝に代わって華琳に問うた。

こちらは張宝とは違い、政也から何も殺気などが漏れていないことに気付いているのか落ち着いている。


「私が大陸に覇を唱えるためには、今の勢力では到底足りないわ。だから、貴女たちの力を使い、兵を集めさせてもらうのよ」

「そのために働けと・・・?」

「ええ。貴女たち三人が活動するのに必要な資金は出してあげましょう。活動地域は、私の領内なら、自由に動いても構わないわ。通行証も出しましょう」

「なっ!? それって私たちの好きなところに行けないってことじゃないの!? 冗談じゃ――(待って。ちぃ姉さん)な、何よ?」


その提案に政也からのプレッシャーから抜け出した張宝が怒鳴って断ろうする。

しかし、張梁から待ったがかかった。

張梁は気付いていたのだ。華琳が一瞬だけ政也に視線を向けたことに。

ただ一人、今の状況を理解していた彼女は、ため息を吐き出して張宝に説明しだした。


「ちぃ姉さん。もともと選択肢なんかないのよ。ここで断れば、私たちは後ろの彼女に殺されるわ」

「む、むぅ・・・・・・」

「考えてみて。生かしてくれる上に、自由に活動する資金までくれて、自由に歌っていいなんて・・・、正直、破格の条件ではないかしら」

「だ、だって、こいつの領地だけなんでしょう」

「・・・・・・おそらくだけれど、曹孟徳はこれから自分の領土を広げていく気だわ」

「え? そうなの?」

「ええ。そうよね?」


張梁は、不敵な笑みを浮かべ続ける華琳に視線を向けて問いかける。華琳は不敵な笑みを絶やさず、『それがどうかした?』と呟いた。それを肯定と受け取った張梁は話を続ける。


「ほら、姉さん。これから曹孟徳が勝手に領地を広げてくれるわ。それに、最終的には大陸全部が曹孟徳のものになるのなら・・・、安全になるまでは、曹孟徳のために歌ってあげても良いでしょう?」

「よ、用が済んだら殺したりするかもしれないじゃない」

「用済みになったら支援を打ち切るだけよ。でも、その頃には大陸一の歌い手になっているのでしょう? せいぜい私の国を賑やかにしてちょうだい」


張宝の反論に華琳がやれやれという表情で応える。


「わ、分かったわよ! やってやろうじゃない! 今度こそ、あの太平何とかって本がなくても、大陸の一番を獲ってみせるわ!」

「よ、よく分からないけれど、またみんなで歌って旅ができるのは素敵だね!」


張宝が調子を取り戻したと同時に、今までボーっと話を聞いていた張角が、張宝と張梁を手をって万歳をする。


「ちょっと待ちなさい」


華琳が少し怖い顔で張角と張宝の間に割って入り、張宝を睨み付ける。

怪訝な表情で『何?』と答える張宝に対して、華琳は真剣な表情で問いかける。


「さっき、太平何とかって言ってたわよね?」

「太平要術?」

「貴女たち、それをどうしたの!」

「え? えっと、応援してくれてる、っていう人にもらったんだけどー。逃げてくるとき、置いてきたの・・・・・・」


その剣幕に少しビクッとなりながらも、正直に答える張角。華琳は『そう・・・・・・』と呟くと、秋蘭に視線を向けて命令する。


「秋蘭。あの陣にもう一度火をつけなさい。誰かに拾われて悪用されては、また今日のような事態になりかねないわ」

「承知いたしました」


秋蘭は頷くと、自らの兵たちを引き連れて敵陣に向かった。

数分後、敵陣からまた火の手あがる。

それを見た華琳は、秋蘭が戻ってきたら城に戻ることを告げる。政也たちは頷くと、帰還の準備のため自分たちの兵の待機場所へそれぞれ戻って行った。


「隊長」


政也が自分の部隊に戻ったとき、どこかに行っていた凪が戻ってきた。政也が振り返ると、凪は血のりがベッタリついている布を掲げた。


「首尾は?」

「言いつけ通りに」

「分かった。私から華琳殿に伝えておく。王が用意した桶に入れておいてくれ。ついでに帰還の準備をするように真桜と沙和、王に伝えてくれ」

「はっ」


凪は頷くと、部隊を仕切っている副長のもとに向かった。政也は一瞬、凪が持っている布を侮蔑の表情で見つめた。しかし、すぐに表情を戻して踵を返すと、華琳の下に向かったのだった。

第二十七話をお読みいただきありがとうございます。

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