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第25話 龍、劉備について語るのこと

たいへんお待たせしてすいません。

第二十五話、更新しました。よかったら読んでください。

一刀くん達と別れてから三日後、陳留の町に到着した。


「龍将軍、お帰りなさい!」

「そんなに固くならなくてもいいよ。見張りご苦労様」

「はっ。ありがとうございます!」


私に気づいた見張りの兵士が、直立不動で挨拶をしてきたので、苦笑しながら挨拶を返す。


「孟徳様から龍将軍が戻ったら自分のところに来てくれと言付かっております!」

「分かった。じゃ、見張り頑張って」

「はい!」


見張りの兵士と別れて城へと向かった。


*****


到着後、迎えてくれた従者から、謁見の間で軍議が開かれていると伝えられる。

頷いた私は、一旦自分の部屋に戻り、いつもの服装に着替える。そして、謁見の間に向かい、華琳殿たちの気配がまだあることを確認し、外から声をかけた。


「政也です。ただいま帰りました」

『待ってたわ。入りなさい』

「はい」


華琳殿の許可をもらって扉を開くと、一斉に視線が注がれた。

私は一礼し、室内へ足を踏み入れた。


「あら? あの服はどうしたの?」

「部屋に閉まってありますよ」

「別に着替えなくても良かったのよ? よく似合っていたのだから。ね? 秋蘭」

「そうですね」


佳花殿に『わざわざ華琳様が選んでくださったのに、なんで着てこないのよ』という目線を送られる中、私は肩をすくめて華琳殿と秋蘭殿に苦笑を返した。


「そういえば幽州へ向かったと聞いたのだけれど本当かしら?」

「ええ。来々軒の親仁さんが幽州へ里帰りすると聞いたので、どうせなら私もついていこうかと」


華琳殿が世間話をするように幽州の御遣いについて問うてきたので、話を合わせる。


「幽州と言えば、天の御遣いと名乗る“男”が現れたという噂があったな。龍、そいつには会ったのか?」


春蘭殿が桂花殿と同じように男を強調して話に入ってきた。


桂花殿のときも思ったが、なぜ男を強調する必要があるのか疑問だ・・・・・・。


「会いましたよ?」

「そうか。そう簡単に他所の武官に会うワケも・・・、って会ったのか!?」


どっかで見たようなリアクションをとる春蘭殿に苦笑しつつ頷いた。


「龍。幽州の御遣いは“本物”だったの? “偽物”だったの?」

「そうですねぇ。そう問われれば、“本物”と言わざるを得ませんね。実は親仁さんの娘という体で幽州に向かったのは良いのですが、途中で賊に襲われまして―――」


しびれを切らした桂花殿が、眉間にしわを寄せて訊ねてきた。

私は思い出すそぶりをみせつつ、幽州での出来事(幽州までの道中から賊討伐まで)をかいつまんで話し出した。


「政也はその劉玄徳という者のことどう思ったのかしら?」


どうやら華琳殿は、一刀くんよりも玄徳殿に興味を持ったらしい。

私は玄徳殿を思い浮かべながら返答する。


「自己の武力・知力は本人が仰っていましたが、別段すぐれているわけではありません。しかし、彼女の雰囲気には華琳殿と似たものがありました。おそらく彼女もまた、人の上に立ち、人を導く者、王の素質を持つ一人でしょう」


王の素質とは武力や知力だけで図ることはできない。

それは華琳殿と接していて分かったことだ。その華琳殿と同じような雰囲気が玄徳殿にも見え隠れしていた。

さすがは、と言ったところだろう。


「王の素質をもつ一人ね・・・。政也、あなたは孫策という人物を知っているかしら?」

「確か江東の虎、孫堅の――」

「娘よ。今は袁術の客将となっているわ」


やはり孫策も女性のようだ。

それはさておいて、その孫策殿がどうかしたのだろうか?


「政也は、その孫策をどう見ているかしら? 春蘭は『檻に閉じ込められた獣』と称していたわ」

「・・・どう見ているとは? 私はその孫策殿にお会いしたことはありませんが」

「会ったことはなくとも、政也ならば何か感じているはずよ」


華琳殿は笑顔で私を見つめる。私が孫策殿について何かを掴んでいると確信している様子だ。


やれやれ。これは隠し切れないようだな。


「ふぅ・・・。桂花殿、袁術の領土はあちらの方角で合っているかな?」

「え、ええ・・・」


袁術が治める領土の方角を確認すると、桂花殿は怪訝な表情で肯定する。

私は頷くと、華琳殿を見つめた。


「ときどき袁術の領土から途轍(とてつ)もない大きさの気配を感じることがありました。孫策殿には会ったことはありませんが、春蘭殿が『檻に閉じ込められた獣』と称したことから、おそらくその気配は孫策殿が発したものであると思われます」

「なるほどね。それで政也は孫策をどう見たの?」

「孫策殿もまた、華琳殿と玄徳殿と同じように王の素質を持つお方ですね。また距離があるのにもかかわらず、あれだけ気配をはっきりと感じられるほど発する人物は、誰かの下につくというのは考えられません。おそらく、いつかは袁術のもとから独立するかもしれませんね」


ときどき感じた気配を思い出しながら、孫策殿について感じたことを話した。

本人に会ったことがないため、少し誇張してしまっているかもしないが、これが今の段階での嘘偽りのない私が思っている孫策殿だ。


「そう・・・。参考になったわ。ありがとう、政也」

「いえ。お役に立てたのならば幸いです」


お礼を言われたので、一礼する。

華琳殿は頷くと、皆を見渡してから口を開いた。


「他に何か報告すべきことはある?」

「いえ。何もありません」

「そう。政也はあとで桂花に軍議の内容を訊くように」

「分かりました」

「皆。もうすぐ私たちが今までに積み重ねてきたことが実を結ぶはずよ。それが、黄巾党、奴らの最後になるでしょう。それまでは、今まで以上の情報収集と連中への対策が必要になる。民たちの血も米も、一粒たりとて渡さないこと! 以上よ!」


その一言で、その日の軍議は解散となった。


*****


城に戻ってから二日が経過した。

華琳殿の許可が下りたので、今日から仕事復帰である。


「隊長。お体の方は大丈夫ですか?」

「大丈夫。十分に休めたよ」


部隊を率いて森を探索しているとき、凪がそう訊ねてきたので、笑顔で応える。


「それは良かったです」

「凪の方は大丈夫かい? 確か昨日、南から帰ってきたばっかりだったよね?」

「大丈夫です。鍛えていますから」

「ふっ。頼もしいな」


私は思わず、凪の頭をなでてしまう。

一瞬、驚いた凪だったが、すぐに嬉しそうに目を細める。

その時、前方から感じていた数人の気配から殺気が少し漏れだした。


<凪。前方に敵がいるようだ。氣弾で見えるようにしてくれ>

<分かりました>


そのままの態勢で凪に耳打ちをする。凪は頷くと、振り向きざまに氣弾を放つ。

放たれた氣弾は、後ろの立木を端からなぎ倒していく。そして、隠れていた数人のうち、三人が姿を現した。残りはどうやら氣弾で気絶したらしい。

すぐに黄色い布を身に着けていると確認し、素早く後ろへ回り込む。そして、その中の一人の頭を掴んで地面にたたき付けた。


「がはっ!?」

「「!?」」

「はあああああああっ!」

「ぐはっ!?」

「あと一人! てええいっ!」

「があっっ!?」


それに驚いた二人の動きが止まった隙をつき、凪が掌底と蹴りで二人を地面に沈めた。

たった数秒間の早業である。


「周囲を警戒! 敵の部隊がいるかもしれないぞ! 何人かはこちらにきて、連中を縛るのを手伝ってほしい!」

「はっ!」


部隊を指揮しながら、周囲の気配を探っていく。

しかし、周囲にはこの数人のほかには人の気配はなかった。


「どうやら、こいつらだけのようだな・・・。しかし、こんなところで何をやっていたんだ?」

「そうですね・・・。おや?」

「どうかしたかい?」

「何やら手紙のようなものが・・・」


気絶した連中を調べていた凪が、懐から細い巻物を取り出した。

それを受け取って開いてみると、ここいら周辺の地図や、連中の拠点らしき場所の地図が記されていた。


「隊長。これは・・・・・・」

「地図のようだな。ん?」


地図には、所々に汚い字で何かが書かれてあることに気付いた。これは・・・・・・。


「なるほど。こいつらは連絡兵か。しかも陳留に攻め込むための準備もしていたらしい」

「それは今ここで倒せたのは良かったですね」

「ああ。敵の主要地点がひとつ分かったのもいい。さてと、こいつらは皆に任せて、私たちは華琳殿に報告しに行こうか」

「はい!」


私と凪は、この場を副長に任せて一足先に城へと戻り、華琳殿達に報告する。ただちに軍議が開かれる。

その最重要課題として、凪が見つけた連絡文書が取り上げられたのだった。

第二十五話をお読みいただきありがとうございます。

ご意見・ご感想、お待ちしております。

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