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第13話 龍、糧食を配給するのこと

第十三話、更新しました。

良かったらお読みください。

瞬く間に軍議の時間となった。軍議には、凪と真桜も参加している。

沙和は避難していた村の人たちに食料などを配っているので不参加だ。


「お姉ちゃん大丈夫? さっき副長さんが心配してたよ?」


私の隣にいた季衣が心配そうな表情で訊ねてきた。

どうやら今回の活躍によって、正式に龍隊の副長となった王継から、私が先ほど左目を押さえて蹲ったのを聞いたようだ。


たく薬の効果が切れて左目が疼きだしただけだから心配するなと言ったのに仕方のない副長だ。


「目薬を差したから大丈夫だよ」


私は内ポケットから小瓶を取り出し、季衣に見せながら笑顔でそう言った。

季衣もつられて笑顔になる。


そうそう。それだよ季衣。

君は笑顔が一番だ。


「政也。軍議を始めたいのだけれど、いいかしら?」

「はい。大丈夫です」


私が頷くと、華琳殿は皆の方に視線を向けて話を始めた。


「さて。これからどうするかだけれど・・・、新しく参入した凪たちもいることだし、一度状況をまとめましょう。春蘭」

「はっ。我々の敵は黄巾党と呼ばれる暴徒の集団だ。細かいことは・・・、秋蘭任せた」


やれやれ。春蘭殿らしいと言えば春蘭殿らしいが、もう少し細かいところを話しても良かったと思うよ。

ほら、秋蘭殿も多少呆れてるからね。


「やれやれ・・・・・・」


秋蘭殿はそう呟くと、春蘭殿に代わって説明を始めた。

それをまとめると、このような感じになる。


 一.黄巾党の構成員は若者が中心で、散発的に暴力活動を行っている。

 二.その目的は一切不明。特に主張らしい主張はない。

 三.首領の張角も、旅芸人の女性らしいという点以外は分かっていない。


「分からないことだらけやなぁ~」


そう分からないことだらけだ。しかも・・・・・・。


「目的とは違うかもしれませんが・・・我々の村では、地元の盗賊団と合流して暴れていました。陳留のあたりでは違うのですか?」

「同じようなものよ。凪たちの村の例もあるように、事態はより悪い段階に移りつつある」


そう事態は次第に悪化してきているのだ。

少し前まではただ暴れるだけ、桂花殿の言葉を借りるならただのバカ騒ぎをしているだけの烏合の衆だった。

しかし今、ここに攻めてきた大部隊のように盗賊団やそれなりの指導者と結びつき組織としてまとまりつつある。

つまり、少しの脅しぐらいでは逃げ出さなくなったというワケである。


「ともかく、一筋縄では行かなくなったという事よ。ここでこちらにも味方が増えたのは幸いだったけれど・・・、これからの案、誰かある?」

「この手の自然発生する暴徒を倒す定石としては、まず頭である張角を倒して、組織の自然解体を狙うところですが」


華琳殿の言葉を受けて、桂花殿が少し曇った表情で発言するが、そこで話を句切ると黙ってしまった。その肝心の張角の居場所を掴めていないから、その発言をしても意味がないからだ。

張角が旅芸人というのが要因の一つだ。旅芸人は各地を転々として回るし、私たちのような決まった拠点を持つ必要がないんだから。


ただまぁ、今回のように大軍になっているワケだから、拠点をもつようにはなってるはずなんだけども・・・・・・。


「どこからともなく湧いて出てくる敵を見つけ出さないといけない、か・・・、これは大変だなぁ」

「そうね。でもだからこそ、その相手を倒したとなれば、華琳さまの名は一気に上がるわ」


確かにそう。ただそれは本拠地を見つけ出さないことには、何も始まらないんだけどね・・・・・・。


「すいませーん。軍議中失礼しますのー」


その時、沙和の間延びした声が緊張している場に聞こえてきた。


村に何かあったのだろうか?

いや、そういう気配は感じられないから、他の用か?


「どうしたの沙和。また黄巾党がでたの?」

「ううん。そうじゃなくてですねー」


沙和、マイペースなのは良いが、時と場合をちょっとは考えてほしい。

春蘭殿がイライラしてるから。


「村の人に配ってた食糧が足りなくなっちゃったの。代わりに行軍用の糧食を配っても良いですかー?」

「桂花、糧食の余裕は?」

「数日分はありますが・・・、義勇軍が入った分の影響もありますし、ここで使い切ってしまうと、長期に及ぶ行動が取れなくなりますね」

「・・・・・・とはいえ、ここで出し渋れば騒ぎになりかねないか。いいわ、まず三日分で様子を見ましょう」

「三日分ですね。分かりましたなのー」


村に戻っていく沙和を見ながら、私はある事に気がついた。


「そうだ・・・。この手があるか・・・・・・」

「どうしたの? 政也」


思わず呟いた言葉を聞き漏らさなかった華琳殿が私の方を向く。

私は皆を見据えると、今思いついたことを説明し始めた。

その考えとはこうである。


桂花殿が言った通り、私たちの軍は義勇軍が入り、糧食が足りなくなってきている。ならば、こちら以上の規模にまで成長した黄巾党も糧食不足になっている可能性が非常に高い。

つまり、現地調達だけで武器や糧食が確保できるワケがなく、どこかに必ず彼らの物資の集積地点があるはずだ。

そこを見つけだせれば、一気に畳みかけられる。


「いい考えだわ政也。秋蘭!」

「御意。すぐに各方面に偵察部隊を出し、情報を集めさせます」


秋蘭殿は言うが早いか、情報収集のための偵察部隊の編成をし始めた。

華琳殿は私たちに向き直ると、それぞれに指示を出していく。

桂花殿には、周辺地図から物資集積が可能な場所の割り出しと、どの場所からも同時刻に戻ってこれられるような偵察経路の算出を指示。春蘭殿や季衣たちには、桂花殿の偵察経路が定まるまでに準備を済ませておくよう指示。

春蘭殿たちはその指示通りに素早く行動していく。

私も同じように準備に向かおうとしたが、華琳殿に引き留められた。


「沙和を偵察に行かせるわ。政也は沙和に作戦の詳細を伝えて。食糧の配給作業は、貴女が引き継ぐように」

「はぁ・・・・・・」


それは別にかまわないが、なぜ私なのだろう?


「王継から報告を受けているわ。貴女、黄巾党との戦いの前に少しふらついていたそうね。ここで無理をさせて貴女を失うワケにはいかないの。本当は休ませたいのだけれど、今はそうは言ってられない状況。だから素直に配給作業をしなさい。いいわね?」


やれやれ。あの時、副長に見られているとは思わなかったよ。

自分的には大丈夫なんだが、華琳殿にこうまで言われてしまっては仕方がない。


そう思った私は心で苦笑しながら素直に頷き、村に向かった。


*****


村では義勇軍や村の男たちが中心になって、すでに復興作業が始まっていた。

黄巾党襲撃前に防壁柵を築けたおかげで、多少の被害はあるもののそれほど目立たない。

これは早い段階で復興作業は終わりそうだ。


「(独眼)龍姫さま! ありがとうございます!」


で、沙和を探して村を歩いていると、あちらこちらからそんな声がしてくる。


ふぅ・・・・・・、お礼を言われるのは嬉しいからいいんだけど、その名はちょっとやめてほしいなぁ。


「ん?」


私が少し顔を引きつかせながら会釈をしていると、どこからともなくいい匂いがしてきた。

匂いがする方に向かうと、そこに食糧を配給している沙和がいた。


「お~い、沙和。話があるんだけど、いいかい?」

「どうしたの政也さん? はっ、まさか政也さんにはそっちの気が!」


沙和はそう言うと、身体を隠すようなポーズをとる。


そっちの気って・・・・・・、そんなこと言われたの初めてだよ。

それ以前の問題だけどな。

ただまぁ、それどころではないから、ここは無視するとしよう。


「沙和。華琳殿からの指示で、君にも偵察部隊に出てもらうことになった」

「うぅ・・・、無視されたのー」

「配給作業は私が引き継ぐ。沙和はすぐに本部に向かってくれ。行き先を桂花殿が支持してくれるからな」


私は落ち込むふりをする沙和に苦笑しながらも、話を続ける。


「はぁ・・・、分かったの。けど偵察かぁ・・・・・・」


落ち込みから復活した沙和だったが、あんまり納得してる感じではない。


確かに沙和は武人の気配はあるものの、凪や春蘭殿のように“いかにも武人”といった感じではないし、戦い向きの性格ではないしな。

戦いは好まないのだろう。


「配給作業が良かったかい?」

「偵察だったから戦わなくていいから、別にそれでもいいの」


う~ん。やはりか・・・・・・。


「沙和。変なことを聞くが、どうして義勇軍に入ったんだい?」

「凪ちゃんと真桜ちゃんが行くって言ったから、私もきたの。凪ちゃんは全然オシャレしようとしないし、真桜ちゃんは発明以外は全然だらしないから、私が面倒みてあげないとダメなの」


真桜の理由は分かるが、なぜ凪がオシャレをしないからって、沙和が面倒みないといけなくなるんだ?

まぁいい。二人が面倒みないとダメだから、沙和がついてきたというのは理解した。


「沙和。後方で補給役とか救護役とか、そういう仕事をやるという選択肢はなかったのか?」

「あー。それは考えてなかったの。でも、凪ちゃんも真桜ちゃんもずっと一緒だったから、これからもずっと一緒なの♪」


・・・・・・ずっと一緒、か・・・、確かにそうかもしれないな。

たとえ、この戦乱の中では甘い考えだとしても、その気持ちは大切だ。

それに義勇軍に入ったのは沙和が決めたことだ。

私がとやかくいうことではないな。


「・・・・・・ふっ」

「政也さん・・・・・・?」

「いや、なんでもない。さて、ここは私にまかせて偵察に向かいなさい」

「分かったの! 政也さん、あとの配給のお仕事よろしくなのー」

「ん。気をつけてな~」


ぱたぱたと手を振って去っていく沙和を見送った私は『まずは三日分だったな』と呟き、軍から三日分の糧食を運び出していく。

糧食は少し多かったが、スムーズに運ぶことができた。


いや~、引越のバイトをしておいて良かったかな。

そう言えば、いつも女性チームの中に入れられてたっけ・・・・・・。


どうでもいいことを思い出しながら最後の糧食を運び出した時、ある考えが浮かんだ。それは必要最低限の糧食を残して、そのほかの糧食を配ってしまうというものである。

春蘭殿たちが偵察に動いているから、すぐに敵の居場所を見つけてくれるだろう。

そうなると残っている糧食は時間短縮のために焼くか捨てるかしかなくなる。

だったら今のうちに糧食を少なくしておき、すぐに動けるようにしていた方が良いはず。


「君。孟徳殿と文若殿に伝えてほしいことがある」


すぐに私は近くにいた兵士に華琳殿と桂花殿の二人に自分の考えを伝えるように頼んで、再び糧食を運び出していく。


待つ時間がもどかしいからな。それに二人は必ず許可を出してくれるはずだ。


その後、正式に二人から糧食運び出しの許可がおりたので、私は数人の兵士たちと手分けして、残りの糧食を運びだし村の人たちに配っていった。

そのため、数刻で全部配給し終えることができた。

私は報告しに配給担当の兵士たちにその場を任せて本部に戻ることにした。

そろそろ春蘭殿が偵察から戻ってくる頃合いだからだ。

本部に戻ると、案の定春蘭殿が戻ってきていた。


「春蘭殿。敵の陣地が見つかったのかい?」

「うむ。ここから半日ほどの所にあった。ただ敵は既に物資の移動の準備を始めていたから、早急に手を打たねばまずいだろう」


やはり糧食をほとんど配ってしまったのは正解だったワケだ。


「さすがは政也ね。これなら時間を短縮できる。皆、すぐに陣を撤収するわ。急いで仕度なさい」

「まだ秋蘭と沙和が戻っていませんが・・・・・・」

「待つ時間も惜しいわ。現地で合流するように遣いの者を出しなさい」


華琳殿の言葉を受けて、数人の兵士たちが遣いに向かった。

そして華琳殿は私たちにこう命令していった。


「総員、可能な限り急いで撤収。終わった隊から出発なさい!」

「「はっ」」

「春蘭。撤収はいいから先頭で案内なさい」

「了解です!」

「一番遅くなった隊は、夏侯惇隊の撤収をさせるわよ!」


*****


それから更に数刻後。

撤収を終えた私たちは、半日の工程を数刻で駆け抜け、山奥にぽつんと建つ古ぼけた砦に辿り着いていた。

その砦は既に廃棄されたものらしい。敵は随分とよい場所を見つけたものだ。


「敵の本隊は近くに現れた官軍を迎撃しに行っているようです。残る兵力は一万がせいぜいかと」

「官軍がきたぐらいで砦を捨てるって・・・、もったいないことをする」

「そんなワケなかろう。華琳さまのご威光に恐れをなしたからに決まっているわ。だから、わざわざ砦まで捨てようとしているのだろう」


凪の報告を聞いた私がそう呟くと、春蘭殿が反論してきた。


ふっ。春蘭殿らしい考えだ。

まぁ、実際はもったいないという感覚は薄いかもしれないな。

敵は中にあったものを使っているだけだろし。

これはあと一日遅かったら、もぬけの殻だったかもしれないな。


「それで秋蘭。こちらの兵は?」

「義勇軍と合わせて八千と少々です。向こうはこちらには気付いていませんし、荷物の搬出で手一杯のようです。今が絶好の機会かと」

「ええ。ならば、一気に攻め落としましょう」


華琳殿が号令をかけようとすると、桂花殿が言葉を遮り一つの提案をした。

それは戦闘終了後に全ての隊の手持ちの軍旗を全て砦に立たせるというものだった。


・・・・・・なるほど。黄巾党の本隊と戦っているという官軍も、本当の狙いはおそらくここだ。

ならば、この砦を落としたのが、私たちだと示す軍旗が翻っていたとしたら、悔しがりながら帰っていくだろうね。


「・・・・・・面白いわね。その案、採用しましょう。軍旗を持って帰った隊は厳罰よ」


その言葉を受け真桜がニヤリとして、一番高いところに旗を立てる競争を提案してきた。

凪は不謹慎だと難色を示すが、春蘭殿と季衣がやる気満々のご様子。

さらに華琳殿もその提案に乗って、一番高いところに旗を刺した隊に褒美を与えると告げた。


たがまぁ、そこは華琳殿である。

本来の趣旨を皆に念を押すのは忘れない。


「ただし作戦の趣旨は違えないこと。狙うは敵の守備隊の殲滅と糧食を一つ残らず焼きつくすことよ。いいわね」

「あの・・・、華琳さま?」


その時、沙和が口を開いて糧食を村へと持って帰ってはダメかと訊ねた。

もちろん華琳殿の答えはNo。

なぜなら糧食を奪えば、『曹操軍は糧食も足りないのに戦いに出て下賊から食糧を強奪して食べた』という噂が広まって、華琳殿の風評はあがるどころから傷ついてしまうからだ。

また仮に村へと持っていけば、今度はその村が黄巾党の報復の対象となってしまうのは目に見えている。


もったいないが、こうするのが思いつく最善の方法だ。我慢してくれ沙和・・・・・・。


「・・・・・・これで軍議は解散とします。先鋒は春蘭に任せるわ。いいわね? 春蘭」

「はっ! お任せください!」

「なら、この戦をもって、大陸の全てに曹孟徳の名を響き渡らせるわよ。我が覇道はここより始まる! 各員、奮励努力せよ!」


そんな華琳殿の号令で軍議は終了して、部隊の配置の段階になった。

私は新たに義勇軍を加えた龍隊を本隊、楽進隊、李典隊、于禁隊の四つに分け、それぞれの隊の配置を凪、真桜、沙和の三人に任せた。


「王、あとは頼む」

「はっ」


本隊の配置を終わらせ、後のことを王に任せる。

ほかの部隊の配置を確認しながら、三人の報告を待つ。

数分後、凪が最初にやってきた。


「政也さま。楽進隊、布陣完了しました!」

「ああ。ところで凪・・・」

「はい?」

「いい加減、さま付けはやめてほしいんだが・・・」

「いいえ、できません。政也さまは我々の直属の上司、また天の御遣いの御方ですので」

「やれやれ・・・・・・」


私は苦笑し肩をすくめる。


本当に凪は生真面目、いや頑固だなぁ。

私がいくらさま付けはやめてほしいと言っても取り合ってくれない。

どうしたもんか・・・・・・。


「なんや、なんや。面白い話でもしとるん?」


その時、真桜がやってきた。

私は苦笑しながら、視線を真桜に向ける。


「いや、面白い話でないよ。準備は終わったのかい?」

「そうや。で、何を話しとったん?」

「凪にさま付けはやめてほしいと言っていたんだ」


私が答えると、真桜は『またかいな』と言いたげな表情をする。


まぁ、それは無理もない。

このやりとり、何十回もやってるからね。

私が妥協するという手が一番いいんだけど、どうもさま付けには抵抗があるんだよなぁ。

本当にどうしたもんかねぇ・・・・・・。


「凪~。政也さんがやめてほしいと言っとるんやから、意固地をはらずに“政也さん”って呼ぼうや」

「し、しかし、それは・・・」

「それは?」


真桜が呆れながら凪にそう言うと、凪は言葉に詰まってしまう。

さらに真桜が訊ねると、凪は私の方をちらっと見ると『ちょっと耳を貸せ』と言って、真桜に何かを囁いた。


「ぷっ。ははははは。そうやんたか~、凪は初心(うぶ)やなぁ~」

「ま、真桜!!//////」

「?」


話を聞いていた真桜が笑うと、凪は顔を赤くし真桜を怒鳴った。

私はそれを見て首を傾げてしまった。

凪がさま付けをやめてくれない理由を言ったのは分かるが、二人がああなる理由が分からないからだ。


「あ、そうや。これだったらどうや? 政也さんのことを隊長と呼ぶんよ」

「隊長、か・・・・・・」


二人の事を見守っていると、真桜がそう提案した。

凪はそう呟き眼を瞑って、思案顔になった。


さま付けを止めてくれるなら、隊長でも何でもいい。

頼む、凪・・・・・・。


そう祈りながら凪を見つめていると、眼を開けた凪は真面目な表情をしながら了承してくれた。


「・・・・・・分かった。これからは隊長と呼ぶことにする」

「なら、ウチも隊長と呼ぶで。隊長もええよな?」

「ああ」

「みんな、なにお話してるのー。布陣が終わったんだから、私も混ぜてなのー!」


私の呼び名が“隊長”と決まった時、凪たちの後ろから沙和が頬を膨らませていじけたような表情でやってきた。

真桜は二カッと笑って沙和に説明する。


「おお、ええとこに来たな。ウチら、これから政也さんのことを隊長と呼ぶことにしたんや」

「そうなの? なら、私も隊長って呼ぶのー」

「でな。この戦が終わったら、隊長がウチらの歓迎会を開いてくれるって」


ん? 何を言ってるのかな真桜さん・・・・・・?


「ホント? やったぁ!」


いや、あのね。私は一言も・・・・・・。


「言うたよな? 凪!」

「・・・・・・ああ」


って、凪もかい・・・・・・。


「ふぅ・・・。仕方がない。帰ったら歓迎会だ」


私がため息を吐き三人に了承すると、真桜と佐和の二人が諸手を挙げて喜ぶ。

凪は二人のように騒ぎはしなかったが、嬉しそうな表情をする。

その時、季衣が華琳殿に近づく気配がした。

どうやら秋蘭隊の布陣が完了したらしい。

私は表情を引き締めると、三人に向き直った。


「もうすぐ戦いが始まる。気を引き締めていくぞ」

「「「はい!」」」


こうして戦いの火蓋が切って落とされた。

第十三話をお読みいただきありがとうございます。

ご意見・ご感想、お待ちしております。

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