第六話
あほっぽいやつを書くのが大好きです。六話いってみよー!
「意識をしっかりと持て!自分が誰なのかを思い出せ!」
誰かの声が耳に届いた。
糸が切れた様に目を覚ます。
眩暈も頭痛もしない。
声の主は誰なのか、辺りを見回してみると、屋根の上に人らしき影が立っていた。
「あ、あいつは…。」
蜜には誰かわかったようだ。が、幸にはわからない。
それもそのはずだった。
「現三年一組、学校一の秀才とはボクのことさ!」
屋根の上でポーズをとっているそいつは、蜜、純の同級生らしい。
とても清々しい顔をしていた。
そのポーズが格好いいなどと思っているようだ。
蜜にはあほらしくてたまらない。
「あいつは一組の遠藤和、馬鹿だよ。」
と蜜の説明が入る。
幸はなんとなくそれに納得した。
「オワァーー!馬鹿って言うなぁ!」
そう叫んで駆けてくるが、そこは屋根の上。
期待を裏切らないほど豪快に屋根からコケ落ちた。
「和〜、だぁいじょぶかー?」
竜が和の元へと飛んできた。
真っ青なボディに大きな翼が覆い被さるように生えている。
そしてがっしりした体付き。
誰もが見れば震えあがると言えるだろう。
ただし、枕サイズでなければの話だ
(枕サイズ:自分の枕を参考にどうぞ)
その竜はとても小さかった。
男はぼろぼろだ。
屋根から落ちたのだから仕方ないだろう。
制服をきちんと規定どおりに着こなしている。
そんな和はよごれがついた制服をはたいた。
「それで、なんのよう?」
蜜が冷たく言った。
目線も和の方へ向けていない。
「ボクは自主的に調べて来たんだ、ここあたりなにか妖怪の反応があってね。ねぇヒュウガ…。」
ヒュウガとは先程の竜らしい。
だが、ヒュウガは全く和の話を聞いていなかった。
それどころか、iPODのようなもので音楽を聞いている。
手には、スナック菓子。
「人の話を聞けぇぇぇええ!」
怒鳴りながらiPODとスナック菓子をとりあげる。
ばかん、とゲンコツで殴った。
いつもこんな調子なのだろうか。
「いったいなぁ。そう、ぼくが探知したのさ。」
間延びした声でヒュウガが答えた。
「あんたたちも、か…。」
少し考えた蜜はぱっとひらめいたような顔をした。
そして和の手を掴む。
「わあ、いいなあ。」
ヒュウガが口を挟むが、蜜は無視して、
「林さん有難う、あとはあたしたちに任せて家に帰ってて。遠藤、ヒュウガ、来て!」
そう言うと蜜は和を引きずりながら駆けて行った。
あとからのんびりと追いかけていたヒュウガはまたもや羨ましそうに和を見つめていた。