第五話
「幸さんにも、サクラちゃん紹介してあげたら?」
「へいへい、見せたげるよ、あたしの召喚獣。」
そう言うがはやく、内ポケットから小さな瓶をだしてあの言葉を放った。
「サクラ、アウト!」
すると瓶のなかからしゅるっと鳥がでてきた。
大きさはだいたい鷹くらい。
うえからしたまで薄黄色に染まっている。
頭のてっぺんから二本の毛が生えていた。
羽根の先に向けて赤いグラデーションになっていてとても綺麗である。
「いやいやいや、初めまして〜。うちはサクラっていいまんねん、どうぞよろしゅう〜。」
ぴょこんっ、と二本の羽を可愛らしく揺らしながら、一礼。
お辞儀をしながら挨拶をしてくれた。
むくっ、と転がっていた空谷が意識を取り戻す。
「あだだだ、ひどいよ…。」
「うっさい、オマエが抱きつこうとしたからだろ。」
そんな空谷に冷たく言い放つ。
「じゃあ、よろしくね。」
「………は?」
突然言われたが、蜜にはなんのことだかわからない。
空谷は笑顔で続けた。
「なにを…?」
「下調べだよ。」
平然と伝えた。が、蜜には酷なようで。
「ああもう、いっつもあたしにばっかりやらせやがって!」
言いながら容赦なく顔にパンチをかました。
「…殴る、必要…なくない……?」
最期の一言を残して、空谷はがっくりと二度目の気絶をした。
「んで、事件が起こった場所は?」
しばらくして、幸の家の近くに着いた。
着くまでにたくさんの妖怪が町中に居たのを目にした。
毛玉のような妖怪や、一つ目の大ガラス、近くに寄らないと妖怪かどうか判断しかねないものや、家具のような妖怪もいた。
「ここ?その場所って。」
蜜は辺りを見回してみる。
害のありそうな妖怪は見当たらない。
「はい、確かにここです。」
「みっちゃん、なんか居そうな気配はしよるよ。」
とサクラが言った。
「事故があったとき、どんな夢を見るの?」
蜜はたずねた。
夢のほうにヒントがあると考えたからだ。
「ある、男の子の夢を見るんです。」
「男の子?」
こくり、と彼女は頷いた。
「わたしの幼馴染みだった男の子と遊ぶ夢なんです。昔、事故死してしまったんですが…。」
「へぇ、そりゃ悲劇のヒロイ……ン、」
突然言葉を濁し、その場にうずくまった。
頭に言葉が流れ込む、目の前が歪み立っているのも苦しいくらいだ。
「だ、大丈夫ですか?」
幸が心配そうに寄ってきた。
息も絶え絶えだ、頭のなかで声がした。
――幸ニ、近付クナ――
――ココカラ立チ去レ――
謎の言葉に意識を持っていかれそうになる。
――幸ヲ返セ、幸ハ僕ノモノダ――
ああ、もしかしたらコイツは―――
どうも、相変わらずのだめっぷりをさらしております。
なにかアドバイスみたいなものや感想下さると嬉しいです。なにぶん小説なんてかかない子だったので…。