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コトラ!  作者: 篠白 犬
3/6

第三話

「ごめんごめん、冗談。」

とコトラに謝っているものの、顔は全く反省していない。


「それで、なにか相談があったんでしょ?なんでもいいから言ってよ…って言われてもよくわかんないよね。まず、ここがなにをするところかっていうと…。」



言いながら、小さな瓶のようなものを取り出した。


と言ってもそこまで大きいものではなく、制服の胸ポケットに入りそうな大きさだ。

それをゴムのようなキャップで閉めている。

キュポン、と気持ちのいい音をたててキャップをはずす。




「いい?よく見ててね。コトラ、ハウス!」


瓶の入口をコトラに向け言った。


すると、コトラの体はみるみるうちにその瓶に吸い込まれていった。



「見た?この瓶はね、召喚獣をしまっておく入れ物なんだ。コトラ、アウト!」



しゅるんと、瓶からコトラはでてきた。「そして、ボクら召喚獣は悪さをする妖怪を退治するんだ。」

とコトラが付け加えた。



「さて、キミの依頼はなに?」


彼女はうつむきながら言った。

「わたしの家のまわり…、よく事故が起こるんです。事故が起きる度におかしな夢を見て…、初めて見たときから…その…。」

「妖怪が見えるようになった?」


空谷に言い当てられた。

驚いた様子で続ける。


「はい、でも誰にも相談できなくて…。そんなときにここを見つけたんです。」


「そうかそうか、これまで頑張ったね。よくやったよ。」

にっこりと彼女に笑顔を向けた。

屈託のない笑顔。

それに合わせてコトラも笑う。


なんだか、気持ちが楽になった。

「この手のパターンはよくあるんだ。単刀直入に言うよ、そいつはキミを食おうとしてる。」



えっ、と思うのと同時に、彼女の目が見開かれた。


「食うって、わたしを食べることですか…?」


見えない恐怖に体が震えた。怖い。

足がガクガクしている。



「ああごめん、もう大丈夫だよ、ここに来たんだから。」

彼女の肩にそっと手をやった。


ソファに座らせる。

そのとなりに座った。


「妖怪なんてそっこらじゅうにいるんだ。人の気持ちや、年月の入った物。全てに魂が宿っているんだよ。」


彼女の目を見据えながら言った。

彼女も頷く。

妖怪が見えるようになりたいです。そんな思いを胸に。

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