第二話
おずおずと少女は前にでてきて言った。
「はい、実は折り入って相談が…。」「あっ、そんなに緊張することないよぉ〜、リラックスリラックス。」
多分、この人が部長だと思う。
そんな風格だった。
白髪の頭をしている。
ばっちり校則違反なのは本人も気付いているだろう。
首には真っ白のマフラーをしていた。
この人の周りだけが冬みたいだ、と彼女は思った。
真っ黒の制服にその格好は映えすぎていた。
「あ、僕の名前は空谷純、どうぞごひいきに。」
返すことも出来ずに軽く介錯する。
「いやぁごめんね、なにも出せなくて。」
そ、そんな滅相もない、と返した。
それよりも気になることが彼女にはあったのだ。
「あ、あの、その虎?ってなんですか?」
少女が指を指す先には先程の虎。
とても気持ちよさそうに眠っている。
「はーい、コトラ起きてね。」
といいながら空谷は、白い虎の尻尾を思い切り踏み付けた。
「いだだだだ!痛い、痛いよ!」
ばびょーんと効果音がつきそうなくらいの勢いだ。
怒りながら、眠っていた虎は飛び起きた。
自分だったら…、と当てはめてみる。
たまったもんじゃないだろう。
「えっと、こいつはコトラ。僕の相棒さ。」
と空谷は説明した。
「あい、ぼう…?」
「そ、相棒!つっても僕の奴隷みたいなも…」
そんなんじゃないだろ!、とコトラのビンタが炸裂する。