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第一話:プロローグ
お初にお目にかかります。篠白 犬と申します。妖怪退治物語、楽しんでいただければ嬉しいです。
あなたは妖怪なんてもの、信じますか?
僕は信じますよ。
だって、見えているんですから――。
とある学校に妖怪クラブなんていう部活があった。
ただし、正式な部活ではないため、クラブと名乗っているだけである。
部室も質素。
必要最低限のものしか置いていない。
だが、その最低限のものが少し変だ。
本棚には妖怪大辞典なる本が置いてあるし、御札のような、長い紙が散らばっていたりする。文字らしきものが書かれていた。
ミミズが踊っているような字とはこんな感じなのだろう。
そしてきわめつけが大きな虎。
学校のなかだというのに、堂々と昼寝をしている。
大きな牙が、口から収まりきらずにはみ出ていた。
ここが妖怪クラブなら、この虎も妖怪なのかもしれないと思った。
ガチャリ、と扉の開く音がした。
「こんにちは、なにか妖怪で困ってるのかな?」