ディモーレ 依頼
夜が明け、町が少し騒がしくなる時間。
アリアとルルも起きて外に出ていた。
朝の散歩は気持ちがいい。
「はーぁ・・・昼まで暇だねぇ。何して遊ぼうか?」
欠伸をしながらアリアが言う
「兄さん。今回の依頼、場合によっては魔物と戦闘になるかもですよ。兄さんなら問題ないと分かってはいますが・・・それでも心配なのです。・・・『みんな』はなんて言ってました?」
『みんな』とはアリアが契約している精霊たちの事で、召喚できるかどうか聞いたのだった。
アリアと契約する精霊たちは特殊な存在が多く、召喚するのが大変だったりする。
「あぁ、昨日の夜に話したんだけどさ、『普通の魔物程度で呼ぶな』って言われちゃったよ、アハハ・・・」
もちろん契約者なので自分の都合でいつでも精霊を召喚できるのだが、極力そうしないようにしている。
アリアは、はぁ、とため息をついて
「まぁ、ルルが居ることだし、大丈夫でしょう。頼りにしているよ」
と続け、ルルを見る。
ルルはちょっと赤くなりながら
「もぅ、私の力は体力の消耗が激しいから、あまり使わせたくないんですけどね。それに、『あの人』に私たちの居場所がバレてしまうかもですよ?」
と別のことも気にかける。
「ルルは心配しすぎだって。体力面は休めばいいだけだし、あいつに場所が割れたとしても・・・それはそれで、楽しくなるんじゃないかな?」
自分たちを追いかけ回す、敵なのかどうかも分からない『あの人』を思い浮かべ、
笑いながら優しく言葉をかける。
「それも・・・そうですね」
ルルも思い出し笑いをこらえながら納得し、
「兄さん、心配したらお腹が減りました。何か食べたいです」
ルルは、いつもの笑みをこちらに向けた。
約束した時間になったので、アリアとルルは昨日の酒場へと赴いた。
すると、酒場の入り口にはオーナーの娘さんが立っていた。
どうやらアリアたちを待っていたらしい。
「こんにちは、旅人さん。営業時間外なので、裏口に案内しますね」
完璧な営業スマイル
「どうもこんにちは。待たせてしまって申し訳ない」
社交辞令を述べつつ、『時間外なのに、感心ですなぁ。』と思いながら娘さんの後ろをついていく。
裏口から店内に入り、お父さんを呼んでくるので少し待っていてください。
とアリアたちをカウンター席に座らせて、娘さんは店の奥に向かった。
ほどなくして、店のオーナーともう一人、歳を召したおじいさんが奥から出てきた。
「よく来てくれた。昨晩はろくに挨拶もしないで悪かった。私は『ビリー・アンバー』。この店のオーナーだ。そしてこちらが、この町の代表」
おじいさんが後を引き継ぐ
「『バル・ウイス』です。旅のお方、今回の件、引き受けてくださり感謝しますよ」
『なんだかすごく期待されている気がする』
内心、苦笑いをしながら
「どうも、俺はアリア」
「私はルルと申します。兄さん、期待されちゃってますね」
ルルは笑っている。こちらの気持ちが分かったのだろう。
「ビリーのとこの娘が、お二人のことが気になったと言っておったからの」
どんだけ娘さん信頼されてるの!?とは聞けなかった・・・。
「さて、本題に入ろうか」
ビリーから、今の段階で分かっている事を一通り聞き終え、
アリアがつぶやく
「魔物は荷物を持った人しか襲わない、か・・・何かを探しているのかもねぇ」
魔物が探し物をするなど、にわかには信じがたいが、ビリーもバルも同じ事を考えているのでアリアの発言に今更驚かない。
そこにバルが
「魔物の被害がでるのと同時期に、こんな噂も耳にしたのぅ。なんでも、剣の国で特別な武器が発見されたとかなんとか」
「私も詳しいことはわからんが、王様が他にも同じような武器がないか探しているみたいだな。この町にも御布令が来るくらいだから、よほどの事なんだと思うが」
とビリーが付け足す。
『んー、どんどん話が面倒な方向に行くねぇ。こりゃ魔物退治より大変な仕事になりそうだ』
などと、思考にふけっていたアリアの腕をルルがつつく
「兄さん、『アレ』が関わっているかもしれないなら、やるしかないと思います」
「うーん・・・そうだね。調べてみる必要はあるなぁ」
心当たりがありそうな二人を見て、問題解決への期待を募らせる依頼主たちであった。
寝る前に書くことが多いので誤字脱字、また文章がおかしなところが多々あると思います。
笑って見逃してください。