パラケルの散歩道~ディモーレ
しばらく休憩していたアリアたちだが、時間も頃合いになってきた。
ぼちぼち近くの町に向かって歩かないと今夜は野宿になってしまう。
未だに熟睡中のルルの頭を撫でながらアリアは声をかけた。
「ねぇルル。そろそろ起きようか?」
名前を呼ばれ、一瞬ピクッと動いたように見えたが、返ってきた返事は
「・・・スー、スー・・・」
寝息?だった。
アリアは、ルルが起きたことを察知するが、狸寝入りをする理由が分からなかった。
「んー困ったなぁ。ルル?何かしてほしいことでもあるのかな?」
狸寝入りは見破ったぞ!という意味合いも込めて、質問形式。
「ムー・・・兄さん・・・おんぶしてください」
狸寝入りを見破られたためなのか、言い出すのが恥ずかしかったのか、ちょっと怒ってますよ?という感じにルルはおねだりをしてきた。
「おんぶかぁ、ちょっと疲れるんだよねぇ・・・まぁルルの頼み事だし仕方ない・・・か。今日は特別だよ?」
表面上は困ったなぁ、という態を取っているアリアだが、微塵も苦には思っていなかった。
なんだかんだでルルには甘いのだ。
「ありがとう、兄さん」
二人は立ち上がり、服についた土などを払う。
「さぁて、行こうか」
と言い、アリアはルルが抱きつきやすいように腰を屈め、ルルをおんぶする。
「んー・・・やっぱり気持ちがいいですね。これからはずっとおんぶがいいかも」
「はぁ、そんな子供じゃないんだから・・・おんぶは今日だけだよ?明日からはいつも通り歩こうねー」
と軽く否定の意を表す。
苦には思わないはずなのになぜ断るのかだって?
・・・アリアだって、多少なりとも人の眼が気になるのです。
日が傾ききる前に町に着くことができた。ここは、パラケルの王都から結構離れた小さな町「ディモーレ」
初めて来る町だが、街並みはしっかりしているように感じられる。
アリアたちはまず宿の手配を済ませ、晩飯は何にしようか話しながら町をうろうろしている。
ここで、ふと思ったことをルルにつぶやいた。
「なんだか、みんな元気がない?」
同じことを思っていたのか、ルルの返答に間はなかった。
「そうですね。食事をとりながらでも話を聞いてみましょう」
現在のルルの優先度は 食事>疑問 だったみたいだ。
「そーしようか。んじゃあ今晩はあの店にしよう」
と言って、酒場を指すアリア。
確かに情報を得るなら酒場と相場が決まってはいるが・・・酔っ払いが苦手なルルにとっては敬遠したい場所でもあった。
しかし、すでに行く気満々のアリアの顔を見てしまうと、仕様がないですね。と、笑って同意してしまうのであった。
テーブルに座り、ひとまずアリアは酒を、ルルはジュースを頼み、今はメニューと睨めっこ中。
「今日はお肉の気分です♪」
と言って、ルルは数種類の料理を注文していた。
その笑顔が見れてアリアは満足しているが、悲しいことに財布の中身を気にしてしまう。
『そろそろお金も稼がないとなぁ。町の事と、何か仕事がないかも聞いてみよう』
とアリアは考えながら、酒をちびちび飲むのであった。
「ご馳走様でしたー♪」
料理がおいしかったのか、ルルはご機嫌の様子。
「はい、お粗末様ー・・・って俺が言うのも変か」
と、笑い
「さて、食べ終わった事だし、店員にでも町の事聞いてみましょうかね」
と、提案する。
忙しなく仕事をしている女性店員を呼び止め、質問をしてみる。
すると、その女性は少し困った表情をして
「少し待っていてください。今オーナーをお呼びしますから」
と言って、去ってしまった。
「あらら、そんな大事なの?これ・・・首つっこむんじゃなかったかなぁ」
とアリアは後悔した。
「・・・兄さん、帰る準備はまだ早いかと・・・」
身の回りを整え、代金をテーブルに置いて立ち上がったアリアをルルが呼び止める。
「お話くらいは聞きましょう?困っているみたいですし」
「んー・・・そう、だね」
ルルの頼みならば仕方がないか・・・という表情でアリアは座り直し、オーナーを待った。
ほどなくして店のオーナーらしき大きな人が来て開口一番こう言った
「依頼を引き受けないか?」
と。




