富岳三十麓景の戦い
団十郎を倒し自信に溢れる猿の助は新たな戦いに身を置く。
けたたましい怒号と共に足音が竹藪に近付いていた。猿の助もまた竹藪にに来ていたが正確にはそこより少し逸れた林の木の影に身を隠していたのである。
猿の助は初めからまともに戦う気等なく総大将らしき者をここから見定め討ち取ろうと構えていたのだ。しかし片岡は頭の切れる男で猿の助のこの企みを読んだ上で敢えて誘いにのって来たのだ!総大将は片岡ではなく団十郎の娘だったのだ。団十郎を破った男と戦えば自分が敗れても不思議ではない、そう考えこの14歳の娘を総大将に立てた。総大将が片岡だと思いこんだ猿の助が襲いかかってきたら総大将は娘であると叫び動揺したところを近くに隠れている4人の手練れで取り囲み討ち果たす作戦である。もし自分が斬られても女子供までは斬れまいと踏んでいたのだ。
片岡は竹藪を越えた丘の上に陣取り総大将を自分の少し後ろに隠すよう配置した。そして本陣前方に4人の手練れを隠して残りを竹藪に置き猿の助を待ち構えていた。
突如藪入口付近で見張りをしていた門弟が音もなく倒された、猿の助の奇襲である。猿の助は更に音もなく獲物に近付き口を押さえてバッサリ首を切り裂いた。
門弟「んん・・・・・あぎ・ぅ」
ぷしゃあああ
夥しい鮮血が猿の助に降りかかった!
猿の助「先ずは一つ」
気付かれることなく更に門弟に襲いかかり辺りには四人の死体が転がった。別の門弟が異変に気付き駆けつけ直ぐに叫んだ。
門弟「出たぞ~!!猿の助だあ!!何人か殺られた!」
辺りが騒がしくなり血走った目の門弟達ががむしゃらに付近を捜索しだした。しかし猿の助は既に近くには居らず竹藪を音もなくかけ上がって本陣に迫っていたのだ。そうとは知らず必死で竹藪を捜索する門弟達は罵声をあげながら手当たり次第にわめき散らしていた。
門弟「ふざけるなあ!!卑怯者が、姿を見せろー!」
門弟2「何処までも追いかけてその首切り落としてやるぞぉ!!」
一方本陣では下の騒ぎで猿の助が攻めこんで来たことは把握していた。
片岡「お嬢、巻き込んでしまい申し訳ありません。お父上団十郎先生の仇は必ず討ち果たします。」
団十郎の娘「いえ、これは私が無理にお願いした事。私も猿の助というものが憎い、必ずその首をここへ。」
片岡「もしもの時は私は関係ないただの町娘だと申してください!さすれば奴も手出しはしないはず…頼みましたぞ!!」
娘「分かっています。でもどうか死なないで…」
そこに血だらけの門弟が片岡に駆け寄ってきていた。
門弟は血だらけの上急いで走ってきたのか呼吸も荒かった。この時片岡は胸騒ぎを覚えた。
対峙する二人の剣豪、猿の助と片岡げんさい。涙を流すげんさい、覚悟を決めた団十郎の娘の瞳に写し出された屑の顔!!
次回 正真正銘の屑




