股うえもん
逃亡生活を始めた猿の助だが道中に食堂がありそこで腹ごしらえすることにした。 金は沢山持っていたのでたらふく食べる。ふと周りの会話が耳に入ってきた。
「おい、聞いたか?」
「猿山村で村人の斬殺事件があったらしいぞ」
「本当かよ~おっかねぇな」
猿の助「もう噂になってやがる。ここもヤバいな」荷物をまとめて勘定を済ませ立ち去ろうとすると立派で派手な羽織りを着た長身の侍が突然行く手を阻む。
「お主身なりの割に不自然な位立派な刀、さては盗んだな?」
「返答次第では政府に突き出すぞ!」
猿の助「ご冗談を、あっしこう見えて商いを生業としとりまして~この刀も道中お侍様から買い取らせて頂きやしてね」
侍「買い取っただと? 拙者が見たところその胴田貫はかなりの業物、農民風情が買い取れる代物ではないわ!」
猿の助「ちっ・・、やべえ」
拉致が飽かないと思った猿の助は刀を盗んだと言った。侍は猿の助を役人に突き出すと言い、猿の助もそれに従い二人食堂を後にする。
二人は隣町まで同行する。暫く歩くと人気のない山林に入った。木が辺りに生い茂り昼間だというのに薄暗い。
侍「さて、この辺で死んで貰おうか。」
急に立ち止まるや否や侍が刀を構えた
意味が分からない。猿の助は動揺しながらも刀を構えた。
猿の助「どっどうゆうつもりだいこれは?」
侍「くっくく。拙者は荒木股うえもん、又の名を人斬り股うえもん!」
猿の助「人斬り股うえもん?」
股うえもん「ふっ、この期に及んで白々しい。貴様こそその竹槍で拙者を突き殺そうと狙っていたではないか。気が付かんとでも思ったか?このヌスケめ」
猿の助「ちっなぜわかった?」
股うえもん「馬鹿め!出逢った時から貴様から血の匂いがプンプンしていたわ」
猿の助「バレちゃ仕方ない。あっしは猿山村出身、猿の助、又の名を竹槍の猿の助」
股うえもん「何!猿山村だと。さては貴様例の事件の犯人だな。」
猿の助「察しの通り、村人全員斬り殺したぜ。この刀はその時いた(いうえもん)て馬鹿な侍ぶっ殺して手に入れたわけだ」
股うえもん「いうえもんだと!? 貴様それは拙者の弟だぞ。貴様あ~殺して刀奪うつもりがお前が弟の仇だったとは、許さん」
今ここに果たし合いが始まった。
股うえもんは刀と弟の仇討ちのために、猿の助は生きるために。




