婚約破棄は始まる前に終わらせる
ああ、これはあれだ。乙女ゲームに゙転生ってやつだ。
なんとも安直な話なのだが、もう他には考えようがない。
ある日職場に向かっていると幼稚園前くらいの子供がボールを追いかけて道に飛び出そうとしている。交通量は多くしかもスピードを出している車が多い。このままだと、想像したくない事態が待っている
別に我が身を犠牲にする気は毛頭なかった。子供を突き飛ばして代わりに轢かれるなんて事態の先に待っているのは反対車線の車にに轢かれる子供という未来ではないだろうか。だからやるべきは飛び出す前に捕まえることだ。とにかく猛ダッシュ
もう少しで子供に手が届くというところで子供がコケた。わたしの手は空を切る。そして子供にけ躓く。
ダイブ。そのまま飛び込み前転。
凄まじいブレーキとクラクションの音が響く
どうやら轢かれずに済んだらしいが、パニクったわたしはそのまま駆け出す。
その先には大人しく信号待ちをしている大型犬。おすわりをしていたため尻尾はだらりと地面に。
見事に踏んづけた。大型犬怒る。
とにかく逃げる。道に沿って逃げればよかったのだが、パニクっていたわたしは逃げる方向を選んでいる余裕はなかった。その結果、用水路にダイブ。そして心臓麻痺
こうしてピ夕ゴラスイッチ的にわたしの前世は終了。そして現在に至る
お馬鹿な死に方をした前世の記憶と同時に現世の記憶も同居している。それによればわたしは某公爵令嬢。なのだが、ただの公爵令嬢ではなくとある乙女ゲームの登場人物。主人公の恋路を邪魔する役割だった
王太子、侯爵令息、宰相の息子、生徒会長、隣国の第3王子の中から攻略対象を選ぶとその相手が悪役令嬢の婚約者になる。もしくは成り行きモードと逆ハーモードというのもあり、その場合は王太子が婚約者になる。
現在のわたしと攻略対象候補は王立学園の1年生で、2年後に主人公が入学してくるところから物語が始まる。ご多分に漏れずわたしに待っているのは身の破滅。
このゲームの厄介なのは主人公の行動によって悪役令嬢の性格がコロコロ変わるとこなのだ。プレイしていたときも厄介だと思ったが、悪役令嬢の破滅回避しようと思うと限りなく厄介だ。この手のラノベだと悪役令嬢の性格が決まっているから、それと違った行動で回避するのが定番だけど、そのお約束が通用しない。
だったらどうするか?始まる前に終わらせてしまえばよいではないか。
幸いなことにヒロイン登場は2年後。しかも都合の良いことに王立学園には飛び級制度がある。ヒロインが入学してくる前に、わたしと攻略対象全員が卒業してしまえばヒロインとの接点が無くなって万事解決ではないか。
非常に難関ではあるが、わたしの前世は進学塾のカリスマ(自称)講師。学習内容は違ってくるが、好成績を残すのに大事なのは覚え方だ。
しかも攻略対象はあっさりヒロインちゃんに靡いてしまう。つまりチョロい性格のはずだ。アメとムチを使い分ければ飛び級に必要な知識を叩き込むのは難しい話ではない。はず。しかもコンプライアンスなていう言葉のない世界やりたい放題なのででしょう。
予定通り王立学園では攻略対象たちを集めて勉強会を行う。予定通りチョロい。褒めて叱りつけて時には鞭を使って暴力も
ついでに他のクラスメイトにも勉強を教える。特定の相手だけ特別扱いしすぎて軋轢が生まれて足を引っ張られると困るからね
この世界の教育方法と現代日本の成績向上に特化した近代教育システムの差が大きかったのか、わたしと攻略対象たちは無事飛び級を果たし、主人公が入学してくる前に全員卒業に成功です。
ついでにクラスメイト全体の成績も爆上がりです。その結果わたしは学園の教師になるよう請われました。
この話をまともに受けてしまうと主人公と絡んでしまう恐れがあるから、ヒロインが卒業するまでの期間攻略対象たちを引き連れて海外留学という名のご褒美旅行を要求した。名目上は見聞を広めることと若すぎる教師だと生徒に舐められる恐れがあるから。納得してくれたのか、それくらいのワガママなら可愛いものだと思ってくれてのかは判らないけれど、あっさり快諾された。チョロいのは攻略対象だけじゃなかったみたい。
どういうわけか主人公のかわりにハーレムを作ってしまったようです。
こうしてヒロインとの接触機会を消滅させた後、教員の職に就いた。そして今回は「自称」の付かないカリスマ教師として名を馳せました。
こうなると結婚しても職を続けてほしいという思惑が広がります。一方攻略対象たちは結婚すると立場上退職必至の立場になる方ばかりなので、彼らとの結婚は内々に全面禁止されました。
揃ってイケメンだから侍らせておくには良いけれど、恋愛対象というより教え子という感覚が強いので、問題なしです。
別に負け惜しみじゃないからね!本当だよ!!
これでイベント発生の可能性は消滅です。
ピ夕ゴラスイッチの「夕」はカタカナの”た”ではなく夕方の”ゆう”です
と、必要性不明の予防線を張ってみる




