診断
厚生病院を出た頃には4時を回っていた。
12月下旬にもなると、4時すぎでもすでに薄暗い。
僕、沢野春紀は肌寒さに体をブルっと震わせると、車まで歩こうとした。
「あ、春紀?」
後ろで声がした。誰だろう?どこかで聞いたことがある。
「あぁ、彩月。」
早川彩月。クラスメイトだった。黒いコートを着て、長めの髪の毛を後ろに流している。雰囲気も落ち着いているから、こうやって並ぶと何となく姉弟に見えるかもしれない。最も、誕生日で言えば彼女は1月1日、僕は9月28日だから一応、1歳年は離れている。
「検診?」
彩月が聞いてきた。
「そうだよ。」
「何の?」
「発達障害の。陽性だった。」
意外そうな顔をした。そして、なにか言いたげな顔をした。
「どうしたの?」
「あ、えっと・・」
そこまで言うと、僕の母が出てきた。
「あ、早川さんの。一応時間あるから、もう少し話す?」
「いや、いいんです。それでは。」
そう言うとそそくさと病院の中に入っていった。
「礼儀正しい子だね。相変わらず。」
母は自分の娘でもないのに自慢げに呟いた。
車に乗り込み、8号線に乗る。帰宅ラッシュ直前の最後のチャンスだ。まだ空いている。
「食べる?」
メロンパンを出してきた。座席が汚れるのを気にしないのだろうか。
「いや、いい。さっき食べたし。」
そう言って僕は車窓から外を見た。田んぼを挟んで手前にハピラインの線路、奥に北陸道が走っている。たまにピンクの電車を見かけることがあるが、今は見えない。かわりに忙しそうに行き来する車がチラホラと見える。
「ADHDだったんだね。」
母が話しかけてきた。
「ASDもね。」
僕は答えた。
医師によれば、僕のADHDは言語能力に偏っているそうだ。数値で言えば、平均を100とした時、言語能力は144。200〜300人いた場合トップになるそうだ。逆にそれ以外は70〜80。とてつもない偏りだ。
「でも、軽度から中程度か。」
母は少し安心したようだった。
でも、そのレベルが最も困るという話もある。健常者と認定されて発見が遅れるからだ。僕がそうだった。
さっきから僕はハンドスピナーを弄っている。どうにもいつも落ち着かない。
式典なんか苦痛で仕方がない。どこかを動かさないで座っている周りの人間が不思議で不思議で困っていた。なぜ、ピシっとできるのだろうか。僕は授業中、体が痛くなってしまうから、腰のあたりをモゾモゾとさせているし、痒い部分は手を回して掻いている。
それも目立つとか言う理由でやってはいけないというのが教師という生き物だ。落ち着きがないのはどうにも彼らいわくいけないらしい。落ち着きのないADHDは死ねとでも言うのかね。
別に障害者差別を一切するなとは言わんとしても、多少なりとも配慮していいのではないか、と思う。
「お〜い、着いたよ。」
母が話しかけてきてハッとした。すでに出て家に着いているようだった。腕時計を見ると、4時37分。4時5分に出たから、かれこれ30分ほどは考え込んでいたようだ。ちなみに、このように考え込む症状もあるそうである。
風呂に入り、夕食をとった後、今後を話し合う予定だったが、検査で疲れていたので、明日に回すことになった。
部屋に戻り、色々と考える。彩月は何を言おうとしていたんだろう。考える程に疲れてくる。
布団に潜りもう一度考えようと思っていたが、気がつくと眠りに落ちていた。
ほぼ僕の話ですね。
文章は・・言語能力高いけどダメダメです。
自己批判と総括に励んでまいります。




