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「これで3つ目だね。」


先程から練度を上げた道ずれ戦法により戦闘は危なげなく終わった。


魔石をしまい込み、『西』への行路を続ける。


「なんだかこっち側ゴブリン多い気がする」


「またか?」


「うん、前方に今回は5体」


「5体か。流石に多い、通り抜けれるか」


ユウキはコクリと頷き、お互い腰をかがめて迂回する。


確かに、多い気がする。


ゴブリンは繁殖力が強く、コボルトより群れが大きい傾向にある。


そして見たところ今までのハグレなどではなく、大群の一部に感じられる。


「嫌な予感がする。北の方に少しルートをズラせるか?」


「コージも?僕もここから離れた方がいい気がしてた。」


声のトーンを落とし、徐々に距離を離していく。


スキル《秘技》を発現し、魔法も使える俺たちだが変わらずこの森では弱者である。


俺本体は武器を持ってやっとコボルト並だし、ユウキの魔法は攻撃としての用途ではなく、水分補給としての役割。


対多数ではまだ逃げるのが得策と言える状況なのだ。



─────ドシン



───ドシン



──ドシン



まただ。


このプレッシャー。


見覚えのある、すぐにでも逃げ出したい威圧なのに体が動かない。


「な、なんなんだあれ…」


周辺の低い木々を超えるほどの長身。


丸太のような四肢に、鋭い()()()


あいつだ。


メル爺ちゃんを殺したモンスター。


「もしかして、ちょ、()()()なのか!?」


顔つきはまさにゴブリンと言えるのに、その様はまさに『怪物種』を超えている。


いくつの殻を破れば、その極に至るのか。


『超越種』


進化に進化を重ね、通常のゴブリンの上位種の更に上位種。


ゴブリンキング。


恐怖の象徴と言える、伝説の存在。


連れ従われているゴブリン達は今まで見たゴブリン達とは違った。


逸脱した体躯の上位種と思われるゴブリン達。


ゴブリンリッチ


ゴブリンアーチャー


レッドゴブリン


1体でも村を壊滅できるほどの『怪物種』が3体。


加えて、力無い者が見聞きするだけで震え上がる


『超越種』


『怪物種』の中でも下位と呼ばれるゴブリンの頂点。


種を超越した化け物に俺とユウキは息を極限まで潜めていた。


「オウヨ、オンナ、ツカマエタ」


「オンナ、ケンジョウ」


「コンカイ、コロシテナイ。マエノムラ、コワシチャッタ」


「前回の村は惜しかった。まだお主達を御し切れなかったせいで、数多の女が無駄となった。」


人語。


知能の低いゴブリンですら意思疎通を可能にさせる、『怪物種』達への進化の褒美。


「お、女って。ねぇコージ。まさか。」


「あぁ…、繁殖用、だろうな」


鬼畜よろしく、正に獣。


ゴブリンが他のモンスターより、嫌われる理由。


どれだけ進化し、超越種に至ろうが種としての特性。


メスを犯すことへの渇望。


ゴブリンはメスが生まれず、他種族の女を孕ます事で種を存続させる。


そしてやはりあのゴブリンたちはコイツの統率下にいたのだ。


村を襲ったゴブリン。


進化したモンスターには、スキルが生えることがあるらしい。


あの時はまだ不完全だったのだろうか。


「まだ手を出しておらぬだろうな。その女は吾輩の子を孕むのだからな」


「テ、ダシテナイ。シバッテソノママ」


「オウノオンナ。ツヨカッタ、イイメス」


「そうかそうか、よくやった」


上位種達よりも流暢に話すゴブリンキングは、三体の配下達に付き添われ俺たちの横を通り過ぎていく。


「な、なんでこんな場所で上位種、ましてや超越種まで…」


「分からない。分かるのはあの化け物達は、一体足りとも俺たちが敵う存在じゃないってことだな。」


大敵も大敵。


格上が4体。


順調にも思えた俺たちに陰りが生じる。


「あっちの方向は、ダメだな。まだここからなら洞窟に引き返せる。あんな化け物が掬うなら他のルートを探そう。」


「う、うん…。けどその…」


言いたいことはわかる。


捕まえられた女性。


死にかけたユウキだからこそ、思う所があるのだろう。


その女性の末路など目を覆うほどの惨状しか待っていないだろう。


俺も助けれるなら助けたい。


しかし、ユウキの時と今回は違う。


面識がある訳でもない。


そして確実に敵わない。


今分かってしまった。


あれは格が違う。


精々レベル一桁の俺たちが逆立ちしても決して敵わない怪物。


劇的な成長をして、大きな怪物に立ち向かう。


そんな御伽噺を夢見るには、役が重すぎる。


「ユウキ、諦めろ」


ゴブリンキング達のプレッシャーに当てられ、まだ動揺しているユウキの目をしっかりと見つめる。


「俺たちは勇者になり得ない。撤退だ。」


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