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乾ききった身体に1日ぶりの水分が行き渡る。


最悪の事態も頭によぎっていた俺たちは今、確かな生を実感を感じていた。


「魔法はもう使えなさそうか?」


「魔力、で合ってるのか分からないけど、もう力が出なくて無理そう。」


やはりあのレベルアップだけでは今の魔法で精一杯なのだろう。


しかし基盤は作れた。


喉の乾きも、 食料問題もユウキが入れば改善するだろう。


依然状況は、危険と隣り合わせだが山は超えた。



────────



それから二日経て、俺たちは停滞していた





「二人で動く時が来たな」


「目指すは森の外…だよね?」


この危険地帯を抜ける。


無一文。頼る先もない俺らだが、こんな森の中に居るよりかはマシだろう。


「俺たちはこの森をぬけ、街道に沿って街を目指す。いいな?」


「うん!」


元気になったユウキは血の気が戻り、本当に背中の傷は改善されたようだ。


「これからは最短で動く。長居するメリットもない以上、明日ここを発つ。」


今日は食料を調達し、明日の早朝から森を抜ける為、ここを出る。


ユウキと入念に、今日と明日の作戦を練っていく。


意識のすり合わせと共に、気付いたことがある。


『怪物種』の核。魔石の存在。


忘れていたが、それは富に代わる。


『怪物種』からとれる最も価値のある戦利品を俺は頭から抜け落ちていた。


昨日のコボルトは時間がなかったにしろ、先程倒したコボルトからは剥ぎ取る時間もあったはず。


きっと今はもう他の『怪物種』達に食い荒らされている頃だろう。


これから倒した怪物種は出来るだけ、経験のあるユウキが剥ぎ取るということで役割分担を決めた。


戦闘と指針は俺。


それ以外はユウキに任せる。


それぞれの覚悟を胸に、俺たちは調達した食材たちの素材の味を噛み締め、夜更け後すぐに眠りについた。



━━━━━



「準備はいいな」


「バッチリOK!!」


遭難三日目。


俺達はほぼ手ぶらで、この拠点を発つ。


向かう先は昨日既に決めている。


太陽が登って来た東とは逆。


西側に歩みを進める。


俺たちの装備は、ボロボロの衣に短剣とポーチが一つ。


ユウキに至っては、手ブラで上の服はもう破れ、上半身裸である。


顔は早朝、半分の魔力を使って互いに洗い、汚れを落としてさっぱりしている。


腫れていたユウキの顔は今では、クッキリとした輪郭になっており、よく見ると整った顔立ちにだと分かる。


この回復力は凄まじい。


ユウキ特有の物なのか、違うのかは分からない。


俺たち二人のコンビは、ユウキが前で索敵をして、何かあれば俺が出張るという隊列になっている。


これはユウキから申し出してきたことで、任せることにした。


(実際俺より視線も高いし、気配に敏感だしね)


細心の注意を払いながら二人で西を目指す。


「止まって、ゴブリンだ。」


まだ、以前は逃げることしか出来なかった『怪物種』


しかし、昨日の夜も訓練した俺は自信に満ち溢れていた。


「行くぞ」


ユウキがバックし、俺とスイッチする。


まだ気付かれていないゴブリンに無造作に近づいて行く。


この秘技スキルの真骨頂は自爆。


眼前に分身を作らせて短剣を隠したまま走らせる。


ゴブリンが迫る獲物を捉えたと同時に分身は短剣を抜き出して踏み込み大振りに一閃する。


「ギャギャギャア」


殺った。


そう誤認させてからの不意打ちにゴブリンは喉元を切られる


自身の命を顧みない獲物の不可解な動き。


まさに相打ち覚悟の特攻。


顕現された分身は、三秒の時を経て霧散する。


想定より浅い。


ゴブリンは喉元を抑え、新たな獲物である俺たちを視界に抑える。


「ギャギャギャア!!」


自分の先が短いと悟ったのか、最後の力を振り絞って俺たちを仕留めにかかる。


俺は新たな分身を作りだし、次は短剣を握らせたまま、突進させる。


普通なら避けられるだろう刺突も今の鈍いゴブリンには十分な業。


相打ちのように、ゴブリンの歯が首を捉えているが、すぐに事切れる。


分身に倒れかかるが、その分身も霧散し死体は前のめりに転倒。


死体に他の『怪物種』が寄る前に、ユウキに短剣を渡し、魔石を剥ぎ取ってもらう。


「はいこれ」


傷の付いていない宝石のようなそれをポーチにしまい込む。


「やっと戦利品が出たね」


ユウキによれば、『怪物種』は魔素を多く含み強い個体であればあるほど、その魔石に価値が生まれる。


文無しの俺たちの唯一の金源。


森から出られた時にこれで多少の蓄えにはなるだろつ。


そういうわけで、多少のリスクはあるが下位の『怪物種』であれば経験値、魔石の為に避けず戦う方針にしている。


「少し遠いけど右前方に二体。どうします?」


「ゴブリンか?」


「恐らくは」


コボルトとゴブリン。


この二種、対面してわかったことだがゴブリンはコボルトよりも直情的だ。


獲物となれば、他に敵がいようと確殺を入れようとする。


だから、分身を使った戦闘がスムーズに行える。


対してコボルトは足が早く、頭もコボルトより微妙に回っている気がする。


他に違いはあるだろうが、現時点で優位を保てている対ゴブリンの方がやりやすい。


「ルートもそこまで外れそうにない。殺っておこう。」


「了解」

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