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満月の夜、殺戮は始まる
少年は、男の隙を窺い、いまかいまかと、殺戮のチャンスを見計らっていた。
手には、刃渡り二十センチほどの、古びたナイフ。だが、切れ味は、抜群だ。うっすらと光を帯びた、アンティークナイフが宙をたゆたう。
男は、外套に身を纏い、マスクで顔を隠すようにして、帰路を急いでいる。
不釣り合いに大きなマスクの、その下には、無数の引っかき傷があるはずだ。少年は、男が、その傷を隠していることを、知っている。
夜道、煌々と照る月が、男の頭上で笑っている。その満月に、被さるように、少年は飛んだ。満面に笑みを浮かべ、男の肩口に、ナイフを突き立てた。
男は、驚愕に目を見開き、肩口に突き刺さったナイフを見てから、女のような悲鳴を発した。少年は、ナイフを引き抜き、今度は、背中を、背骨に沿うように、マシンガンの連射のごとく、上から下へ次々と刺していく。男の体が、弓なりに反って、そのうち、口から大量の血潮を噴き出した。
血に染まったナイフが、月の光を浴び、この世ならざる光を、発し
――ぐぎぐきぐき
男の首を、斬りとってゆく。
ッガ、ッガ、ッガ
男の口から、最後の悲鳴の名残りが、虚しく宙に飛散する。




