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悪役令嬢が幸せになるまで終われません!異世界転生したらどう見ても不審者でしたが、とりあえず推しをループから救います  作者: こじまき


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5 推しの婚約破棄をプロデュース

レイリーディアはパッと顔を上げた。


その目に微かな希望の光が宿ったのを、私ことオタクは見逃さない。


しかしクラウスが神々しい私の視界に割り込んでくる。


邪魔。


「王太子との婚約を破棄するだと?」

「うん」

「何故だ!?王太子と結婚すれば何自由ない生活が…この国で最高の女性としての生活が待っているというのに。お前はレイ以上に王太子妃、ひいては王妃にふさわしい女がいるとでも!?」


私は「呆れた」というように、両手を上に向けた。


「その発想が古いんだってば。大事なのは周りが判断する形式的な幸せじゃなくて、レイリーディア様の気持ちでしょ」


私はレイリーディアをじっと見つめる。


彼女は居心地が悪そうに、けれど下品にならない程度に、ふっと視線を逸らした。


クラウスに遠慮しているのだろう。


「レイリーディア様はどう思われますか?王太子殿下と結婚したいですか?クラウスの気持ちは関係なく、レイリーディア様の素直な気持ちを教えてくださいませんか」


レイリーディアは形の良い艶やかな唇を開いて何か言おうとするが、言葉は出てこない。


そしてクラウスをちらりと見る。


「クラウスが邪魔なら、私だけに話していただいても大丈夫ですよ」

「おい!お前とレイを二人きりになどさせないからな!」


クラウスはレイリーディアの肩に手をやる。


「正直に話してくれ。私もレイの気持ちが知りたい」

「…お兄様」


レイリーディアは決意したように、手を胸の前でぎゅっと握った。


震えてる。


守りたい。


可愛い。


でもここは煩悩を排除して、レイリーディアの本音を全力で受け止めるシチュ。


「私は…王太子殿下との婚約を破棄したく存じます」


私は頷き、クラウスがかすれた声で聞く。


「レイ、理由を聞いてもいいか?」

「公爵家の娘として、これ以上ない縁談だとはわかっております。亡きお父様、そしてお兄様がこの縁談をまとめるためにどれほど苦労なさったかも。けれど私は…」


私はそっとレイリーディアの手をとった。


大丈夫だよ、と伝えたくて。


レイリーディアは、私に頷いてくれる。


「私はフリード殿下と一緒にいても、幸せではないのです。あの方は表向きは完璧な王太子ですが、差別的で利己的でいつも他人をこきおろして、一緒にいると辛くて…」


クラウスは俯いて、膝の上でぎゅっと拳を握った。


「私は…何より大切なレイに、そんな辛い思いをさせていたのか」

「お兄様、本当にごめんなさい」

「いいや、謝るのは私だ。王太子と結婚すれば幸せになると信じ込んでいた」


しめっぽい。


運命を変えるなら、もっと明るくいかないと。


「ハグ!」


レイリーディアとクラウスが、私の大声にびっくりして目を丸くする。


「はい、ハグして!仲直りと、婚約破棄頑張ろうのハグ!」


馬車が公爵邸について、目を赤くしたレイリーディアは、侍女にこれ以上ないほど心配されながら部屋に戻った。


私はクラウスに向き直る。


「婚約破棄が当然だと説得できるだけの情報を集めなきゃ」

「そうだな。広範に探るのは時間がかかるが…あてはあるか?」

「あるとも、相棒」

「いつ私がお前の相棒になった」

「いいじゃん、同担なんだから」


王太子フリードのモデルになっているのは、ミニョク。


ゲーム発売当初は圧倒的イケメンかつ礼儀正しくて好感度抜群なCMキングだったけど、SNSの裏垢で女性アイドルやファンとの繋がりがバレて、グループを脱退しちゃったお騒がせキャラ。


「ミニョクを王太子役から外せ」っていう運動が、プレーヤーの間で大盛り上がりしてた。


しかもゲーム内でも…


「奴はレイリーディア様という完璧な婚約者がいて、かつ王太子という立場がありながら、アリアネルにほいほい乗り換えた尻の軽い男だよ?」


絶対他にも何かある。


「一理ある。早速諜報部員に調べさせよう」


クラウスが指輪の宝石を触りながら「王太子の女性関係を洗え」と指示すると、淡い光が四方八方に散らばった。


「すご。今のが指示?魔法で?」

「そうだ」

「うーん、さすが悪役令嬢の兄はハイスぺなんだねぇ」

「言葉の意味がさっぱりわからん」

「とにかくすごいってこと」


クラウスはちょっと考えた。


「お前も魔法が使えるのではないのか?魔法を使ってここへ侵入したのでは?」

「だから違うって。よくわかんないけど、前の世界で歩きスマホしてて、気づいたらここにいたの」

「歩きスマホはよくわからんが…ということは、気づいたらこの世界から消えて、前の世界に戻ることもありうるのか?」

「前の世界で死んでなかったら、あるかもね」

「そうか…いなくなるかもしれないのか…」


クラウスの声が少し沈んだように感じて、私はニヤッと笑う。


「何?私がいなくなったら寂しい?」

「そんなわけがあるわけなかろう!」

「ほんとかな?クラウス君は同担がいなくなるのが、寂しいんじゃないのかな?」

「黙れ、不審者!」

「ふふっ」


私はレイリーディアの部屋を見上げる。


レイリーディアが窓から顔を出して、「おやすみなさいませ」と言ってくれる。


ああ、幸せ。


可愛い推しを守りたい。


推しにも絶対に幸せになってほしい。


「ねえ」

「何だ」

「もし急に私が消えたらさ、レイリーディア様のことお願いね」


クラウスに笑いかけたら、彼は一瞬戸惑って「当たり前だろう。お前ごときに頼まれなくても、私の使命はレイを幸せにすることだ」と返した。


「それでこそシスコン兄」

「馬鹿にしてるのか」


ーーー


クラウスの諜報部員たちは、睨んだ通り王太子の女性スキャンダルをたんまり持って帰ってきた。


彼は惚れっぽい性格で、地方行幸したときにあちこちに現地妻と子どもをもうけていた。


クラウスは激怒して王宮に怒鳴り込み、恐れをなした国王から婚約破棄の確約を取り付けた。


こうしてあまりにあっけなく、王太子とレイリーディアの婚約は破棄となった。


三人で祝杯(私とレイリーディアはジュースでね)をあげ、いい気分でふかふかのベッドに寝転ぶ。


(これでまた推しの幸せに一歩近づいたはず)


ちくりと違和感が胸に刺さる。


(あれ…でも…)


ミニョクの女性問題が発覚したのは、ゲームが発売されたあと。


なのにフリードにミニョクの「惚れっぽさ」が反映されてるのは理屈に合わないんじゃ?


ここはゲームの中じゃなく、ゲームに似た世界か何かってこと?


(よくわかんない。とにかく明日から学校だから、寝なきゃ)

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