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第6話 月印の契約

神楽の唇が私の首筋に触れた瞬間、全身に電撃のような感覚が走った。

「あっ…」

思わず声が漏れる。それは、これまで感じたことのない、強烈な快感と痛みが入り混じった感覚だった。

「力を抜け。抵抗すればするほど苦しくなる」

神楽の声が、耳元で低く響く。そして次の瞬間、鋭い牙が私の首筋に食い込んだ。

「痛い…!」

しかし、痛みは一瞬だった。すぐに、温かく甘美な感覚がその場所から全身に広がっていく。まるで、血管を通って蜜が流れているかのように。

神楽は私の血を吸いながら、同時に何かを私の体内に注入しているようだった。それは、彼の力の一部。銀狼の王としての強大な魔力。

「これで、お前と私の魂は永遠に結ばれた」

神楽が唇を離すと、私の首筋には小さな傷跡が残った。しかし、それは普通の傷ではなかった。傷跡の周りに、銀色の三日月の形をした印が浮かび上がっていく。

「これは月印。お前が私のものであることを示す証だ」

私は鏡で自分の首を見た。確かに、そこには美しい銀の月の印が刻まれている。それは神秘的で美しいが、同時に、もう逃れることのできない運命の鎖でもあった。

「私は…私はまだ何も決めていない…」

「お前の体が既に決めている。見てみろ」

神楽に言われて自分の手を見ると、先ほどまで薄っすらとしか見えなかった青白い光の筋が、今度ははっきりと浮かび上がっていた。まるで、血管の中を月光が流れているかのように。

そして、もっと驚いたのは、自分の感覚の変化だった。神楽の感情が、まるで自分のもののように感じられるのだ。彼の満足感、安堵感、そして…深い愛情のようなものまで。

「これが魂の絆だ。今のお前なら、私の心も読めるはずだ」

確かに、神楽の心の中が手に取るように分かった。彼は本当に長い間、私を…正確には、月巫女の覚醒を待っていたのだ。そして、私を見つけた時の歓喜は偽りではない。

「でも…これって、私の意志は…」

「心配するな。お前の意志を無視するつもりはない。ただ、お前が本当の自分を受け入れるまで、私が傍にいるというだけだ」

神楽の言葉を聞きながら、私の意識は徐々に朦朧としてきた。血を吸われた影響と、急激な力の覚醒による疲労が一気に押し寄せてくる。

「眠れ。目が覚めた時、お前は新しい世界を見ることになる」

神楽の優しい声を最後に、私の意識は深い闇の中に沈んでいった。

「これで、お前は永遠に私のものだ」

その言葉が、夢とも現実ともつかない世界で、いつまでも響いていた。

お読みいただき、ありがとうございます!

神楽の独占欲、すごいですね…!ついに二人の魂は、永遠に結ばれてしまいました。


この甘く、そして少し危険な展開に「最高!」「続きが読みたい!」と思っていただけたら、ぜひブックマークや評価で応援してください!


さて、魂の絆は結ばれましたが、物語はここで終わりません。むしろ、ここからが始まりです。

次回、目覚めた凛は、この「月印」が新たな波乱を呼ぶことを知ります。

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