第19話 黒豹の本性
「あら、気づいてしまいましたね」
麗の上品な微笑みが、冷酷な笑みに変わった。
「確かに、私は神楽様を諦めるつもりはありません。三百年待った月巫女風情に、大切な人を奪われてたまりますか」
麗の瞳が、縦に細くなった。猫科の獣人の本性が現れたのだ。
「でも、あの本に書かれていることは事実です。神楽様があなたを必要としているのは、月巫女の力が目当て」
「それは違う」
私は断言した。
「神楽のメモを読んだわ。彼は私を愛している。そして、私を不幸にしたくないとも思っている」
「甘い考えですね」
麗は私に近づいてきた。その動きは、まるで獲物を狙う黒豹のように滑らかで危険だった。
「では、試してみましょうか。神楽様の本当の気持ちを」
「何をする気?」
「簡単なことです。あなたが危険な目に遭った時、神楽様が本当に駆けつけてくれるかどうか」
麗の手から、鋭い爪が伸びた。
「黒豹族の爪は毒を持っています。致命傷ではありませんが、月巫女の力を一時的に封じることができます」
「やめて!」
私は後ずさりしたが、背後は書棚だった。
「大丈夫です。神楽様が本当にあなたを愛しているなら、必ず助けに来てくれるはず」
麗の爪が、私の腕に向かって振り下ろされた。
その時…
バン!
書斎の扉が勢いよく開かれた。
「麗!何をしている!」
現れたのは神楽だった。彼の瞳は怒りで金色に燃えている。
「神楽様…お帰りなさい」
麗は何事もなかったかのように、爪を隠した。
「凛に何をした?」
神楽は一瞬で私の隣に移動すると、私を背後にかばった。
「何もしていません。ただ、月巫女様に真実をお教えしただけです」
「真実?」
神楽の視線が、私の手にある本に向けられた。
「その本を見せたのか」
神楽の声が、低く危険な響きを帯びた。
ここまでありがとうございます!
神楽様、ナイスタイミング!(笑) 麗も、もう言い逃れはできませんね。
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さて、次回は読者の皆様、お待たせいたしました。
愛する者に手を出された銀狼の王が、黒豹の姫に下す、痛快な**「お仕置き」**の時間です。
お楽しみに!




