第17話 危険な誘惑
麗が去った後、私の心は複雑だった。彼女の言葉が頭から離れない。
(神楽の本当の姿って、どんなものなのだろう…)
夕方になっても、神楽は戻ってこなかった。沙羅によると、野良狼の問題は予想以上に深刻らしい。
「凛様、お夕食の準備ができました」
「ありがとう、沙羅」
一人での食事は寂しかった。この大きな屋敷で、神楽がいないと私はただの居候のような気分になる。
食事を終えて自室に戻ろうとした時、廊下で麗と出会った。
「あら、凛さん。お一人でお食事でしたの?」
「ええ…神楽はまだ帰ってこないので」
「可哀想に。新婚なのに、こんなに放っておかれるなんて」
麗の同情は、どこか白々しく聞こえる。
「でも、これが神楽様との結婚生活の現実ですよ。王としての責務が最優先。妻は常に二の次です」
「そんなことは…」
「私も長年、そんな神楽様を見てきました。だからこそ分かるのです。あの方には、本当に理解してくれる女性が必要だと」
麗は私の肩に手を置いた。
「凛さん、神楽様の本当の気持ちを知りたくありませんか?」
「本当の気持ち?」
「神楽様が、なぜあなたを月巫女として迎えたのか。その真の理由を」
麗の瞳に、危険な光が宿った。
「実は、神楽様の書斎に興味深い資料があるんです。月巫女に関する古い研究書が」
「勝手に書斎に入るのは…」
「大丈夫です。私が案内しますから」
麗の提案は魅力的だった。神楽の真意を知りたいという気持ちは確かにあった。
「でも…」
「今夜だけです。神楽様が戻られる前に、真実を知っておくべきです」
麗の言葉に押し切られるように、私は彼女について行くことにした。
お読みいただき、ありがとうございます!
凛、ついて行っちゃダメーー!と、作者もハラハラしております(笑)。
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次回、麗の甘い言葉は、残酷な罠へと変わります。
神楽の書斎で、凛を待ち受けるものとは一体…!?




