第16話 嫉妬の女の企み
神楽が出かけた翌日、私は沙羅から厳しい指導を受けていた。
「昨夜は随分と親密になられたようですね」
沙羅の言葉には、明らかに皮肉が込められていた。
「そ、それは…」
「月巫女の力が強くなっています。神楽様との絆が深まった証拠ですね」
沙羅は私の手を取って、何かを確認しているようだった。
「でも、まだ完全ではありません。真の結合を果たさない限り、中途半端な状態が続きます」
「真の結合って…」
「肉体的な結びつきです。それなしには、月巫女としての覚醒は完了しません」
沙羅の説明を聞いていると、突然扉が開いた。
「お疲れ様です、沙羅さん」
現れたのは麗だった。彼女は上品な笑みを浮かべているが、その瞳の奥には冷たい光が宿っている。
「麗様、こちらにいらしたのですね」
「凛さんの教育の様子を見学させていただこうと思って」
麗は私の隣に座ると、親しげに話しかけてきた。
「神楽様は昨夜、緊急事態で出かけられたそうですね。大変でしたでしょう?」
「ええ…でも、王としての務めですから」
「そうですね。神楽様はいつもお忙しい方です。私たちが子供の頃から、いつも何かしらの問題を抱えていらっしゃいました」
麗の話には、長年の親交を感じさせる親しみがあった。
「あなたたちは幼馴染なんですよね」
「ええ。五歳の頃から一緒に育ちました。神楽様の好みも、癖も、すべて知っています」
麗の言葉には、明らかに私への当てつけが込められていた。
「神楽様は、実はとても寂しがり屋なんです。強がってはいらっしゃいますが、本当は甘えたい時もあるの」
「そうなんですか…」
「でも、まだ日の浅い方には、そんな神楽様の本当の姿は見えないでしょうね」
麗の微笑みが、一瞬だけ冷たいものに変わった。
「私なら、神楽様を心から幸せにできるのに…」
その呟きを聞いて、私は胸の奥に嫉妬のような感情が芽生えるのを感じた。
凛が感じた嫉妬は、恋する乙女の証拠。彼女の恋を応援したい!と思っていただけたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)をお願いします!
さて、麗の企みはこれだけでは終わりません。
次回、彼女は凛を陥れるため、さらに巧妙な罠を仕掛けます。




