第13話 夜の訪問者
その夜、私は自室で教本を読んでいた。獣人社会の複雑さは想像以上で、覚えることが山ほどある。
コンコン…
扉がノックされた。
「はい」
「私だ」
神楽の声だった。彼が私の部屋を訪れるのは初めてだ。
「入ってもいいか?」
「ど、どうぞ」
神楽が入ってくると、部屋の雰囲気が一変した。彼の存在感は圧倒的で、広い部屋が急に狭く感じられる。
「勉強熱心だな」
神楽は私の手元の教本を見て、満足そうに微笑んだ。
「沙羅から報告を受けている。頑張っているようだな」
「でも、覚えることが多すぎて…」
「焦る必要はない。時間はたっぷりある」
神楽は私の隣に腰を下ろした。近距離で感じる彼のフェロモンに、私の心臓は激しく鼓動する。
「今夜は満月だ」
窓の外を見ると、確かに大きな満月が夜空に浮かんでいる。
「満月の夜は、月巫女の力が最も高まる。お前の真の力を見てみたい」
神楽は私の手を取った。すると、私の体内で何かが響いた。まるで眠っていた力が目覚めようとしているかのように。
「感じるか?お前の中に眠る白狐の魂を」
確かに、体の奥底から暖かいエネルギーが湧き上がってくる。それは心地よく、同時に少し恐ろしくもあった。
「これが私の本当の力…?」
「まだほんの一部だ。真の力を解放するためには…」
神楽の手が、私の頬に触れた。
「もっと深い絆が必要なのだ」
彼の金色の瞳が、月光を反射して美しく輝いている。私は息を呑んだ。
「凛…」
神楽の顔が、ゆっくりと私に近づいてくる。
お読みいただき、ありがとうございます!
満月の夜、二人きり…。ついにこの時が来てしまいましたね!
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次回、神楽の唇が、ついに凛に触れます。
もう、誰にも止められません。




