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第10話 過去の約束

麗が去った後、部屋には重苦しい沈黙が流れた。

「婚約者だったって…」

私は神楽を見上げた。彼の表情は、いつものように冷静だったが、どこか複雑なものを含んでいる。

「政略結婚の約束だった。銀狼族と黒豹族の同盟を強化するための」

「愛してはいなかったの?」

「愛?」

神楽は少し考え込むような表情を見せた。

「麗は美しく、優秀な女性だ。妻として申し分ない相手だったかもしれない。しかし…」

彼は私の方を向いた。

「それは魂の結びつきではなかった。お前と出会って初めて理解した。本当の絆とは何かを」

神楽の金色の瞳が、真剣に私を見つめている。

「でも、彼女はあなたを愛しているのでしょう?」

「麗の気持ちは理解している。だが、もはやそれに応えることはできない」

「どうして?」

「月巫女との契約は絶対だ。これを破れば、私は銀狼王としての力を失う。それだけでなく、獣人社会全体のバランスが崩れる可能性がある」

神楽の説明を聞いて、私は自分がどれほど重大な立場に置かれているのかを理解し始めた。

「つまり、私はあなたの政治的な道具ということ?」

「違う」

神楽は強く否定した。

「確かに、月巫女の存在は政治的にも重要だ。しかし、私がお前を求めるのは、それ以上の理由がある」

「それ以上の理由って?」

神楽は窓辺に歩み寄ると、夜空を見上げた。

「三百年間、我々銀狼族は月巫女の復活を待ち続けてきた。それは単なる伝説ではなく、切実な願いだった」

「どうして?」

「月巫女の力なしには、我々の真の力は封印されたままだからだ。お前がいることで、銀狼族は本来の強さを取り戻すことができる」

神楽は振り返ると、私の手を取った。

「そして、私個人としても…お前なしでは生きていけない体になってしまった」

お読みいただき、ありがとうございます!

最後の神楽のセリフ…!ついに言いましたね!


この展開に「キュンとした!」「最高!」と思っていただけたら、ぜひブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で、この恋を応援してください!


しかし、神楽のこの言葉は、元婚約者・麗の嫉妬の炎をさらに燃え上がらせることに…。

次回、女の戦いが、静かに、そして激しく始まります。

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