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しばらくしてのかわからないけど次に目を覚ました時私の元に学校の人達がお見舞いに来てたみたいだった、多分翼ちゃん萌ちゃんつかさちゃんに祐希君、だけど本庄さんまで居た。



みんなの顔は醜く歪んでいて一際歪んでいる本庄さんは椅子に座ったまま。




「ナギ〜ッ! 心配したよ大丈夫?」

「渚ちゃん、無事で良かった」

「…… 私、どうして生きてるんだろ?」

「そりゃ新太が渚ちゃんを助けた…… のかよくわかんねぇけど2人一緒に轢かれてたってのがな」

「皆本君は?」



私がそう訊くと本庄さんの方からガタッと音がした。



椅子が倒れていた。 歪んだ表情がより歪んで私の胸元の服を掴んでゆすられた。



「あんたッ!! よくもそんなことが言えるわねッ!? 何したかわかってんの?」

「愛菜たん、ナギ怪我してるし落ち着きなって!」

「そ、そうだよ、渚ちゃん目が覚めたばっかりだし」

「こいつの…… こいつのせいで新太はッ!!」



本庄さんが私を責め立てるので病院の人が駆け付けてきて暴れる本庄さんを抑えて部屋から退室させた。



「大丈夫かよ渚? でも皆本があんなんになっちまったら本庄がああとりみだす気持ちもわからないでもねぇ、アタシはお前が全快したらぶん殴ってやる」

「ったく、愛菜たんもピンキーも物騒なんだから顔にお似合いで」

「んだと!?」

「まぁまぁ落ち着きなってピンキー」

「ええと…… 皆本君は?」



私がそう問うとみんなは顔を見合わせた…… そして祐希君が口を開いた。



「新太さ、事故の時激しく頭打っちまったみたいで医者が言うにはもう植物状態って言うか」



え? あっちゃんが??



その後みんなと少し話して今日はこのくらいと看護師に言われ帰って行った。 両親も「少ししたらまた来るね」と言って私はひとりになった。



ひとりになったことでその時のことを冷静に思い返すことが出来た。



あっちゃんは私を助けたつもりだった、でも振り返った先には車が目の前にあって私は轢かれた。



それであっちゃんは意識不明の重体…… ? 植物状態ってことは目を覚さない?



私は助けてなんて頼んでない、なのにあっちゃんが追い掛けてきて邪魔をして。 せっかくこんなクソみたいな世界からバイバイしようと思ったのに。



私にはまだ罰が足りないって言うの? 









◇◇◇








「新太……」



手を握ってみても反応がない、当然か。



「新太言ったじゃん、私と同じ大学行くの楽しみだって。 それと今年は体育祭私らリレーに出なかったけど来年もし違うクラスになっちゃったらまた勝負しようって言ってたじゃん、今度はぶっちぎってやろうかと思ったのに」



だけど言葉を止められない。



「新太…… 辛いよ寂しいよぉ」



お願いだから目を開けてよ、ドッキリだっとしても怒んないしこれが演技でも笑って…… 笑えないけど騙されてあげるから起きてよ。



なんで新太がこんなことに。 いいえ、凪希さんのせいに決まってる、新太が凪野さんに見せる反応はここ最近ずっと変だったじゃない。



2人揃ってって時点でもう凪野さんが引き金でこんなことになったに決まってる。 だってそうじゃなきゃ凪野さんが目を覚まして新太がこんなに重傷になるはずがない。



許せないッ…… だったらやることはひとつ、私の友達を奪った凪野さんを同じ目に遭わせて。



遭わせてどうするの? そうしたら新太は目を覚ますの? 覚ますならやるけどそんな保証なんてあるはずないのに。



凪野さんは入院してから1ヶ月して退院したみたいだけど学校には来なかった。 その間私は何度か凪野さんの病室を訪れようとしたが冷静でいられる自信がなくて行けなかった。




そんな凪野さんへの怒りは消えないまま3ヶ月が過ぎた、その間に学校でもいろんな行事が行われていって修学旅行、文化祭、新太の目が覚めないまま時間が進んで行く。



「あ、愛菜ちゃん、今日も来てくれたの?」

「はい」

「愛菜ちゃんもいろいろ予定とかあるのに」

「いえ、新太は私の大切な友達ですしここに来るより大事な予定なんてないので」



新太の病室に行くと新太のお母さんがお見舞いに来ていた。



「祐希君や他の友達も新太によく会いに来てくれてるし新太ってこんなに人から好かれてたなんてわからなかったわ、なんせ中学の時は祐希君くらいしか連れてくる友達もいなかったし」



そう言うと新太のお母さんは椅子から退いて私を座らせてくれた。



「私も新太のことが好きです、新太は私が変わるキッカケになったっていうか…… 私はずっと他人を避けてきたのに新太はそんなのお構いなしって感じで接してきてくれて。 だから私も新太みたいにって」

「ふふッ、ちょっと前までの新太も中学では塞ぎ込んでた時期もあったしそういう時は誰だってあるわ。 それに新太も愛菜ちゃんのことが好きだってのは見ててなんとなくわかったわ」



少し話していると「少し新太のこと頼むわね」と言い新太のお母さんは病室から出ていった。




ああ…… 好きかもしれないと新太に言った、けれどかもしれないじゃない。 私は新太が好き。 



私何度でもあんたに好きって言うから。 あんたも起きて私に前みたいに好きって言ってよ、付き合ってくれって言ってよ、そうしてくれたら即OKするからさ、なんなら私から付き合ってって言うから。



「新太、好き……」



だけど新太は目覚めることがなかった。





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