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「あ…… おはよ新太」

「おはよう愛菜」



昨日は愛菜とあれ以上しないで帰った、なんせ愛菜がカチコチに固まって場が持たなくなってしまったから。



今日の朝話し掛けてきた愛菜の表情もなんか変だ、まぁその理由は昨日のことを思い出してだろうけど愛菜がこんなに動揺するなんて思いもしなかった、結構そっちは奥手なのかもしれない。



愛菜の常識で言うなら…… いや世間一般ではキスは恋人同士になってからってことだし愛菜からはハッキリとした好きとは言ってなくて好きかもの段階だし。



渚は無関心なようで今も俺と愛菜のやり取りをじっと見てるだろう。



まぁ下手にこっちからもちょっかい出さすのも面倒だし渚には関わり合いにならない方がいい…… と思っていたのに。





「ちょっと来てくんない?」



その日の放課後、教室から出た渚を愛菜が呼び止めた、俺を連れて。



「おい愛菜?」

「ごめん新太、けど今度はちゃんと話をしたいの」

「あ、ええっと私に何か用かな?」




渚はいつもの渚モード。 そんな様子に愛菜は舌打ちするが腕を掴んで強引に引き摺っていく。



「わわわッ、本庄さん?!」

「しらばっくれんじゃないわよまったく!」



どこへ連れて行かれるかと思えば被服室。 ああ、ここなら人は居ないなと。



「あ、あの〜、本庄さん?」



渚と言えばこの期に及んでまだ本性を隠しているけど大方愛菜に見破られているぞ? というよりこいつただこうして愛菜をおちょくって遊んでいるとしか今は思えない。



「人の友達に手を出しといてなんなのその態度は?」




愛菜にそう言われると顔を伏せた渚は口元がニヤリと笑っていた。



「そんな…… 私が友達に手を出すわけないよ本庄さん」

「だったらこの間のはなんなのよ?」

「だから友達じゃないもん私とあっちゃんは」

「は? …… てか凪野さんよねあんた?」



渚は急に俺の肩を引き寄せた。



「私達恋人同士だし」

「はッ!? お、おい渚!」

「ふざけないでよ凪野さん!」

「ふざける? ふふ、ここまできて友達なんて悠長なこと言ってる本庄さんってよっぽどズレてるよね。 ねぇ、本庄さんも好きなんでしょ? あっちゃんのことが」

「なッ……」

「素直じゃないよねぇ本庄さん。 もうわかってるよ本庄さんがあっちゃんのことが好きなんだって、なのにハッキリ好きっても言えないなんてお子さまなんだね」



渚の変化に愛菜は若干戸惑うが俺から渚を引き離した。



「そういうことじゃないよ凪野さん、新太を困らせるのはやめてくれないって言いたいの私は。 気付いてる? 凪野さんが新太にベッタリしていても新太は笑ってないってこと」

「知ってるよ?」

「知っててやってるの、そう。 なら凪野さんがいくら頑張っても新太の気持ちは凪野さんに向くことないんだからとっとと手を引いたら?」

「手を引く? あははッ、なんで本庄さんに言われたら私が手を引かなきゃいけないの? 私は私の意志であっちゃんと一緒に居るんだから他人から何か言われて変わるわけないじゃん。 ねぇ本庄さん、それとあっちゃんとの仲を勘繰られると顔が赤くなってたよね? もしかして何かあったのかな?」



その手の話には愛菜はきっと今は弱い……



「何って、凪野さんに言う筋合いある?」



ほら、なんか愛菜の勢いが落ちてきた。 



「いやもういいだろ2人とも。 それにハッキリさせたいなら俺は愛菜の味方だ、お前がいくら俺を恋人だと思っても意味ないぞ?」

「新太……」

「ふーん、私達の間からしてみたら蚊帳の外の本庄さんみたいなお子さまにねぇ」

「そう言うならあんたもお子さまじゃない」



違うんだ愛菜、言っても信じないだろうが渚と俺の精神年齢はもうお前の倍くらいだ。



「あーあ、話がしたいだとか言ってたのになんの進展もしてないじゃん結局。 そんなんだったらあっちゃんはやっぱり私がとっちゃおーかな」

「ちょっと!!」

「いいから冷静になれって愛菜、こいつの話に乗せられるなんてお前らしくないぞ」

「私が知ってるあっちゃんはひとりの女の子にそこまで肩入れするような人じゃなかったのにねぇ、面倒臭くなりそうだったらいつの間にか消えてたのに」



こいつッ! まぁでも確かに昔は逃げてたよな、その結果がこれだし。



「言ったろ愛菜、お前一筋だって」

「あ、え? う、うん」

「ぷぷッ、私の前だからって照れちゃって可愛いなぁ本庄さんは。 近寄り難そうな美人で尚且つ奥手ってそれじゃあ彼氏が出来なかったのも納得だね」



俺はその言葉を聞いて渚の頬を裏手でビンタしていた。



「新……太?」



被服室の棚によろめいた渚は先程までペラペラと愛菜をバカにしていたが無言になり頬を押さえた。



「行くぞ愛菜」



愛菜の腕を掴んで被服室を出ると愛菜は何を思ってるのかわからないが被服室の方に振り向きそれから顔色を窺うように見上げたので目を逸らした。





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