表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/64

44


「それって……」



落ちた、遂に愛菜を落とした、やったぜ俺!! いつかは落とせると踏んではいたがまさかこのタイミングでキスをしたいとは。



いかんいかん冷静になれ、ここで俺が優越感に浸った顔をすれば愛菜はヘソを曲げてしまうかもしれない。 ここは俺も戸惑いを見せながら…… というより女を落としてこんなに嬉しいと思ったのは初めてかもしれない、なんせあの愛菜をだし。




「ええと…… 急にどうしたんだ?」

「…… あんたとしたらどうなるんだろうって思って」



これはもう告白みたいなものだが愛菜のことだからハッキリ好きと言わないうちは違うんだろうけど厄介な性格だなぁ可愛いけど。



「愛菜〜、お友達と話してるの?」

「お母さん?! そ、そう、友達」

「あら〜! カッコいい子じゃない、もしかして彼氏?」

「違うって! あ、そうだ新太! お茶でもいれるから入ってってよ」

「え?」



襟元を掴まれ強引に家に招き入れられた。



「今日は勉強教えてくれって言われたから連れて来たの」

「愛菜が今までそんなことでお友達連れてきたことあったかしら? というより連れてくること自体」

「余計なことは言わなくていいから! あーもう、部屋に行こう新太」

「あ、ああ。 じゃあお邪魔します」



これはもう…… キスとかの雰囲気じゃなくなってしまったような気がする、愛菜は恥ずかしがってて珍しく慌ててるし。



だがここまで来たら愛菜の中で俺のことは必ず好きなはず、焦らなくていい。 大体渚のことを処理出来てないし。



そして愛菜に連れて行かれ部屋に入った。 まぁなんていうか女の部屋とかは前はよく入ってたから例に漏れず女の部屋だなぁという感想しかないが愛菜の部屋だし何より親戚とか何かと抜かせば入ったのは俺くらいだろうなと思うとこれまた優越感に浸れる。



「まったく…… うちの親は」

「仲良いんだな」

「今はね、ちょっと前まで最悪だったけど」



だからそんなキツい性格になったのか? と言うのはやめておこう。



「愛菜入っていい?」

「はぁ、これだし」



愛菜は溜め息を吐いてドアを開けると愛菜のお母さんがお菓子を持ってきたみたいだ。



「まぁ適当に食べなよ」

「じゃあ遠慮なく」



愛菜は俺がお菓子を食べているのを頬杖をついてもう片方の手は人差し指をテーブルにトントントンと叩いて俺の方を見ていた。



それやられると落ち着かねぇんだけど?



「なんか考え事?」

「ムカつく!」

「何が?」

「邪魔された」

「まぁ仕方ないじゃん、お前もしかして家の前で誰の目につくかもわかんないのにキスしようとしてた?」

「そんなの…… キスなんて一瞬だし」



あー、お子ちゃまキスか。 あんなの手と手を繋ぐのと大して変わんないような気もするけど。



ああ、でもちょうどいい。 お子ちゃまキスくらいならここでも余裕で出来るし大したことないし。



「じゃあここでする?」

「そうね、ここなら…… って、え? いきなり??」

「だってお前がいきなりキスしたいって言ったんだろ? 俺は愛菜とするのはやぶさかじゃないしいいよ」

「…… いいの?」



一呼吸置いてから愛菜は訊き返し俺がそれに頷くと床に手を置いて俺ににじり寄ってきた。 俺も寄ると愛菜は一歩下がる。



「おい」

「わかってるって! でも初めてだから緊張してんの、私の気持ちも考えなさいよ」

「キスされる方の俺の気持ちは考えなくていいの?」

「まさかあんたは他の誰かとしてたりする?」

「してないけど」

「ホント? あんたモテるみたいだし適当にどっかで隠れて済ませてるんじゃないの??」



いやいや、キスはもう慣れてるし別にキスしたからってさ、でも俺も初めての時はかなり緊張したよな。



「言ったろ、俺は愛菜一筋だったんだから誰ともしてないし」

「そっか、まぁ新太がそう言うんだし信じるわ。 二番煎じとかだったらする気なくなるし。 じゃあするけど目閉じてて」

「なんで?」

「だ! か! らッ!!」

「わかったわかった、恥ずかしいからな」



茶化すのはやめて目を閉じて数秒後、口にムニュッとした感触が走る。 愛菜の鼻息が顔に当たったのでキスしたんだとわかって目を薄く開けた。



その瞬間サッと愛菜は後ろに下がった。



「目閉じてって言ったのに!」

「でもしたじゃんキス」

「そうだけど…… てか私こんなに恥ずかしがってんのにあんた随分余裕そうじゃない?」

「ちゃんと心の中では嬉しくて昇天してるよ」

「釈然としないけどいいわ…… とりあえずしちゃったか、新太で初キス」



愛菜はなんともなかったみたいな感じにクルッと後ろを向いた。 けど顔が赤いのまでは隠せなかったみたいで平静を装ってるんだろう。



「愛菜」

「何?」



俺が愛菜の顔を見ようと回り込もうとすると愛菜は避ける。 



触れるだけのキスでこんなになるって可愛いなこいつ、キツい顔からは想像出来ないけどな。



「いつまでそっち向いてんの? それより今更だけどキスの意味は??」

「うっさいわね! そういう風に揶揄うってのはわかってたし。 …… 私がキスしてみたいとかって変?」

「変じゃないけど」

「私があんたのこと好きかもって言ったら?」

「ん? 今なんて?」

「ちょっと!!」



あれ? 渚のことを解決してからのつもりだったのに…… なんてどうでもよくなるくらいだった。



「めっちゃ嬉しいよ」

「…… でも私は今まであんたとはそんな関係になるんじゃなくて友達のままでもいいって思ってた、凪野さんがあんたを奪おうとするまでは。 だからそれに触発されて凪野さんへの対抗意識みたいなので投げやりな好きとかが私はイヤだった、キスとかも凪野さんとしちゃう前にって思ったのかも。 そういう半端な気持ちがイヤなの私は」

「だから好きかもって?」

「それも半端よね、キスまでしといて」

「いいよ別に」

「はあ?」

「渚とかそんなの関係なく俺のことが好きって思えたらさ、その時お互いの気持ちを言えばいいってこと。 俺はお前のこと好きには変わらないからさ」



かもでもなんでも俺のことはキスするくらい意識してるってことだしな。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ