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海に着くと愛菜は砂浜と波の境界線まで近付いて行って押し寄せてくる波を避けて楽しそうにしていた。



意外だな、あいつがあんな子供っぽいことで楽しんでるなんて。



「楽しそうだね本庄さん」

「だな、お前は行かないの?」

「あ、うん。 私は海見れたら良いかなって思って来ただけだし。 それより皆本君、なんか私のこと警戒してない?」

「え? なんで??」



バレたか…… まぁボディチェックもしたから当たり前か。



「だって皆本君さっきからソワソワしてるし。 私が何かするって思ってるのかなって」



あ、そっか、俺が死ぬ前とは違う。 渚は俺をこの先殺すなんて展開なってないから自覚とかないんだわ。




「あ、ああ…… だってお前に酷いことしたし仕返しされんじゃないかって」

「仕返し? ふふッ、そんなのするわけないじゃん」



まったく持ってそうとも言い切れないからそう言われても全然安心感がない。



「だってさ、あれって私だからそうしたんだよね?」

「え?」

「もしあれで私が死んでたりしたら私を殺したってことでかなりの期間そのことでいっぱいになるし忘れるはずもない、皆本君が生きている間は心の中にはそのことがずっと残ってる、つまり私はずっと皆本君の心の中で生き続けるの。 そんな大事な相手に私を選んだのって……」

「……」




こ、こえええッ! やっぱサイコ野郎じゃないかこいつは! 精神科に今すぐ行けよ、そんで新薬のモルモットとして生きてた方が世のためだぞお前は!!



「なぁーんてッ! 冗談だよ冗談ッ、前観た漫画でそんなのあったなぁって思っただけ」

「嘘だろそれ? お前の本音だろ今の」

「違うよ違う、私の言うことなんていつも適当に聞き流してるのになんで今のは真に受けるの?」

「ははッ、そうだな」



冗談言うならもっと軽いやつにしてくれよな。



「つーかどうして急に海なんて?」

「あ…… ちゃんと海とか最近見てなかったし。 なんか急に行ってみたくなったりしてごめんね。 ぷあッ!」



急に俺の頭と渚の顔が砂だらけになった。



「新太!」

「え? 何すんだ愛菜!!」

「こっち来なって、楽しいから」



思い切り顔に砂をかけられた、俺のすぐ隣に居た渚も巻き添えに。 というか風の影響で渚の方が被害がデカい。



「ほら」

「ちょっと待てって」



愛菜が海側に引っ張り過ぎて俺の靴とズボンは濡れてしまった。 連れてきた愛菜の方はしっかり波を避けて無事……



「お前なぁ」

「新太が鈍臭いのよ。 あーあ、ビチャビチャじゃん」

「お前が言うなし」

「なんか楽しんでるのが私だけのような気がしたし海見たいとか言ってた本人は見てるだけだし」

「お前がこんなに楽しんでるのが予想外だったわ」 

「滅多に来ないし。 海開きになると皆海に来てイヤだし1人じゃ行こうだなんて気にもならないし」



渚の方を見ると顔や頭に付いた砂を落としていてその光景がハムスターに似ていた。



「凪野さんに当てるつもりはなかったんだけどあっちも鈍臭いのね」

「やってること西条と似てるぞお前」



ビッショリと濡れた靴を脱いでズボンを捲って海に足を付けた、それを見た愛菜は俺と同じく靴と靴下を脱いで足を海に入れる。



綺麗な脚だなぁと思って愛菜の脚を見ていると……



「人の脚ジロジロ見ないでくれる?」

「普通に綺麗だなって思っただけだよ」

「…… ふん、まぁどこぞの誰かに見られるよりはあんたの方がいいけどさ」

「愛菜、俺と友達になって後悔することとかあっても」

「するわけないじゃん」



俺の言葉に被せて言ってきた。



「後悔しそうなら友達になったりしてないわ私は。 ちょっと前まではそう思ってたけど例え後悔したって友達になっちゃったし覚悟してるわよ」

「そっか」



脚を海に入れたままほんの少し2人で海を眺めているとふと渚が気になって後ろを向くと俺達2人をボーッと見ているみたいだった。




俺の視線の先を追った愛菜は「ああ……」と言って渚の方へ向かって歩いて行き手を掴んで俺の方へ戻ってきた。



「え? え?!」

「あんた意外と力強いわね」

「本庄さん??」

「だからあんたみたいなの見ててイライラすんのよ、来たいなら普通に来ればいいじゃん」



愛菜は渚から手を離す。



「なんか邪魔しちゃ悪いかなって」

「よく言うわよ」



それから3人でしばらく海に居た、そこで昼飯を食べて帰ることにした。



「たまにはサボりも悪くないわね、私はサボっても頭良いし」

「うわ、嫌味だなお前」

「まあ、勉強なんて私がいくらでも教えるし。 凪野さんも教えてほしい?」

「じゃ、じゃあついでに……」

「私かなりスパルタよ?」



嘘付け! お前教える時は意外とかなり丁寧でわかんなくてもどこがどうしてわかんないとか結構優しく教えてたはずだが。 これは渚に対して圧をかけてるんだろうな。



「や、やっぱ自学で頑張る」




海から出て駅に戻りまた電車に揺られて愛菜が降りる駅に近付いてきた。



「新太、今日は送ってってよ」

「え? いいよ。 渚はどうする?」

「ええと、私は今日ひとりで帰るね。 サボったから怒られそうだし」



ここは空気を読んだ渚。 だがこいつの心中は穏やかじゃなさそうな気もする。



「バイバイ凪野さん、急な提案だったけど海に行けて楽しかったよ」

「私も。 皆本君もバイバイ」



駅から出て愛菜と2人きりで歩く。



「ねえ、凪野さんってあんたのことかなり好きよね?」

「そうか?」

「すっとぼけないでよ、あんたもわかってるでしょ?」

「でも俺が好きなのはお前だよ」

「…… 照れるし」



あれ? 本当に顔真っ赤だ愛菜のやつ。



「愛菜」



ポンと愛菜の肩に手を置くとビックリしたのか2、3歩離れられる。



「ちょっと、急に触んないでよ!」

「悪い悪い」



俺の態度がムスッとしたのか愛菜は肩でドンと俺を押した。 こんな風に接してくるとは帰るまでに何かあるかもしれないと思ったが何事もなく愛菜の家に着いてしまった。



「じゃあまた明日な」

「…… 新太」

「ん?」

「私…… ちょっと」



愛菜がソワソワしている。



「トイレ我慢してる?」

「違うっての! …… 私ちょっとキス…… してみたいかも」



………… え?



「誰と?」

「あんたと」





これで第二部・完ということで。 章管理がめんどくさくてやってませんが 笑

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