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「楽しかったねぇカラオケ」

「愛菜たん歌ってるとこなんて見たことなかったし新鮮だったよッ!」

「そりゃ良かったわね」



良い…… 良い感じだった。 相変わらず新太が何考えてるかよくわかんなかったけどカラオケでも新太の隣だったし。



「そういやこれからどうする?」



新太が尻軽に尋ねると……



「じゃあうちで飲み会しよぉーッ!」

「マ、マジで? 酒飲むの?」

「ユッキー飲めないの?」

「普段飲まないし」



それはそうでしょ、私だって飲んだことないのにこの尻軽は何言い出すんだか。



「私も…… 飲んだことない」

「うん、ナギは訊かなくてもわかるって感じ、あははッ」

「じゃあ皆モン達は?」



尻軽が新太達に話を振ると新太も飲めるし中澤も飲める、ついでに桐山も。



なんなのこいつら不良なの? 高校生の分際でお酒飲んでるとかって。 こっそりと桐山に話し掛けた。



「桐山、なんであんたがお酒飲めるのよ?」

「なんだよいきなり? そりゃ親の酒飲んでたら飲めるようになったとしか」



教育がなってないわねこいつの親は。 



「本庄こそ飲めるの?」

「お酒なんて飲んだことないわ」

「そりゃいいじゃん、飲んでみたら?」

「はあ? 私にお酒飲めっての、不良の仲間入りしろって?」

「だって皆本も飲めるみたいだぞ」



まさか新太がお酒飲めるなんて知らなかったし、ていうか飲んでたの? 初めて知った。



けどここで飲めないみたいなこと言って凪野さんと同じに見られるのはイヤ。



「愛菜たんは飲める?」

「ええ、嗜む程度に」

「おおッ、酒豪の予感」



余計なこと言わないで尻軽二号。 



「じゃあここからは飲めない人は無理して来なくていいから」



よし、邪魔者の凪野さんはここでリタイア。



「私も行く!」



と思ったらなんで?! あんた飲めないんでしょ凪野さん?



「凪野がいけるなら俺も大丈夫だろ」

「お、祐希も行くか?」

「おお、新太が酒飲めるなんて俺も初めて知ったしな、案外お前みたいなのすぐ酔っ払っちまうんだぜ」



いやもう……



それから私達は尻軽コンビについて行き、しばらく歩いていると民家がポツリポツリとあって開けた場所にコンテナハウスがあった。



「ここねぇ、地元の先輩がバンドすんので使ってるんだけどうちら友達だから好きな時に貸してくれるって」

「へぇ、なんか秘密基地みたいでいいなぁ」

「でしょー? 入って入って、ただし散らかすなって条件だから散らかさないでねぇ」



中へ入ってみるとバンドマンらしくギターやベースなどが置かれてあった。 真ん中の壁側には大きいソファが2つと奥に小さなテーブルと小さい冷蔵庫に日用品が置いてある棚。



ふぅん、ちょっとした隠れ屋って感じね。 



新太がソファの端っこに座ったので私はすかさずさり気なくを装い隣に座ると私の隣には桐山が座った。



ナイスじゃない桐山、これで凪野さんが入る余地はないわ。



一方の凪野さんはオロオロしているうちに反対側のソファの新太の友達の隣に座った。



「いやーんザワチン、私の隣に来るなんて密かに狙ってたぁー?」

「じゃあ私もその隣頂いちゃいまーす!」



中澤の両隣は尻軽コンビが座った。



「酒なんてどこに置いてんだ?」

「そこの棚に入ってるんだよね、ほら!」



尻軽が缶のお酒を持ってきた。



これは酎ハイ? 確かジュースみたいなのよね。 



新太は躊躇いなしに開けると慣れた感じにグビグビ飲んだ。



「うわぁー、皆モン一気じゃん! まだあるよぉ〜」

「ありがと」



すぐさま開けて新太は半分ほど飲んだ。



「ちょっと新太、どんだけ飲むのよ?」

「少し酔いたい気分なんだ」



すると隣の桐山もゴクゴク飲んでいた。 



「本庄は飲まないの?」

「飲むわよ」



郷に入っては郷に従えの気分で私も飲んでみた。



あ、普通にジュースみたい。 なんだ、大したことなかったわ。



「なんか酔っ払いたい気分だなぁ」

「オヤジくさッ」

「皆本も言ってたのに酷くね?」

「ねえ新太、あんたって普段からもお酒飲んでるの?」

「いや、マジで久し振りだわ、ここ何年飲んでなかったか」



いつから飲んでんのよ新太は。



その後1時間くらい私はやっと新太とまともに話をしたってくらいした、ホントだったら新太からグイグイ私に話し掛けてきたはずだったんだけど。



凪野さんを見れば飲んでたようだけど全然酔ってないみたい、ああ見えてめちゃくちゃお酒に強いとか?



一方の私は缶酎ハイ一本飲んだら頭が痛くなってきた。



「愛菜大丈夫か? 具合悪そうだけど」

「頭痛いしなんか吐きそう」

「本庄は初めて飲むんだから仕方ないよな」




くッ、凪野さんでさえケロッとしてるのに私がお酒がこんなに弱いなんて。 



「大丈夫本庄さん?」



具合悪そうな私に凪野さんが寄ってきて背中をさすられた。



「だ、大丈夫」



うッ、なんか背中さすられたら吐きそうになってきた。



「うっぷッ……」

「うわぁー、愛菜たん吐くなら外で!」

「わ、私が付いてくから」



誰が凪野さんなんかにと思ったがもう限界だったので急いで外に出た。




「最悪……」

「お水あるけど」

「ちょうだい」



凪野さんからペットボトルを受け取ると……



「本庄さんにも苦手なことってあるんだね」

「は?」

「お酒弱いとことか」

「知らなかったわよそんなの」

「それに…… 皆本君のこととか」



私はそう言った時の凪野さんと目と目が合って逸らせなかった。





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