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「愛菜おはよう」

「おはよう新太」



廊下ですれ違い様に新太に挨拶をされたが通り過ぎようとした新太を私は逃がさない。



「新太、昨日のメールなんなの?」

「ごめん、あれは俺が悪かったよな。 愛菜にあんだけ告ってたのに」

「そうよ、ショックだった。 なら私に何かお詫びしてよ」



そんなことを話していると凪野さんが私と新太のところに来た。 



「皆本君」

「あ、ああ。 悪い愛菜」



??



何が? 話ならここですればいいじゃん。 なんで私から離れて凪野さんなんかと話をするの?



「本庄〜……」

「何?」



派手女、なんでこんなに馴れ馴れしいの?



「同じく皆本を追い掛ける者としてわかってくれるかなぁって思ってさ」

「あんたと同じにしないでよ、私はあんたみたいに無様晒してないし」

「な、なんだとぉ〜!?」



やめてよ服がシワになる。 



「目立つしあんたと一緒に居ると恥ずかしいから近寄んないで」

「こ、この…… 人が下手にでてりゃあ」

「それで下手に出たつもりなの? だったら地面の割れ目に土下座しながら落っこちてるような気持ちで接するのね」



面倒な派手女から去ろうとすると……



「お前皆本に冷たくされてない?」

「え?」



思わず振り向いてしまった。



「図星だろ?」

「…… 脈絡もなくいきなりその質問、あんたがそうされてんじゃないの?」

「ギクッ!」



わかりやすい反応。 でもそっか、私だけじゃないんだ。 だったらなんで凪野さんにはあんなに優しいの? 



「ああ、そうだよ、なんか最近皆本おかしいんだよ。 そんなでもなさそうだったのに凪野ばっかにベッタリしてよぉ、アタシに冷たいし」

「…… あんたに新太が優しかったことあったっけ?」

「バカヤローッ! あいつはアタシを助けてくれたんだぞ、普段はそんな風に感じないけど根は優しいに決まってる!」

「声が大きいって」



ふぅん、知らなかったな。 そういう優しさを見せるのは自分にだけって思ってた……



「でさ、これは非常にマズい」

「マズい?」

「このままじゃ凪野と皆本付き合っちまうかもしんねぇ」

「ああ、そう」

「え? お前何その反応は?」



誰と付き合うかは新太の自由、私から凪野さんになっただけ。 友達は友達に変わりないけどね。



「別にいいんじゃない?」

「バカかてめぇッ! 例えば凪野と皆本がキスしてるとこ想像してみろ」



そう言われて想像してみた。



なんかイヤ…… そんなのイヤ!!



「バカはあんたよ、そんなのあるはずない」



けど口から出たのは虚勢、しかもあるはずないなんて断言出来ないような口調だった。



「ふん、てめぇは皆本と仲良いからってそんなことない、あいつは自分を選ぶとか思ってるんだろうけどウカウカしてたら凪希にあいつを盗られるんだからな!」



盗られる…… 凪野さんに?



私は呆然として派手女が行ってしまうのをただ見ていた。 すると……



「よぉ本庄」

「またあんた。 昨日で懲りてないの?」

「懲りたから昨日は帰ったろ、でも今日はまた復活した」

「死ね」

「あ、おい! それはないだろ」



桐山が私を追って教室まで入ってきてしまった、それを新太と凪野さんが見た。



私がどっかのバカに絡まれてるからバカにしてんの?! こっち見るなッ!!



「何睨んでんだ本庄? あ、もしかしてみ、いってぇッ!!」



余計なことを言われる前に桐山の足を踏み付けた。



「お前って結構暴力お、いでッ!」



くどい! まだわかんないの? 新太達だけじゃなくて皆見てんじゃないのよ。



「早く消えろよ」



私が低い声で言うとまるで参りましたと言わんばかりのムカつくリアクションをして桐山は戻って行った。



昨日からなんなのよあいつは?



そしてその日の授業が終わって部活も終わり体育館から出て行くと……



「はぁ?」

「お疲れ」



笑顔でこちらに手を振る桐山が居た。



「ストーカー、マジで死ね」

「怖ぇよ本庄。 でもちょっとくらいいいじゃねぇか」



何がいいのよ? 冗談は顔だけにしなよ。



「あのさ、最近皆本と険悪?」

「は?」

「ほらそれ、普段から怒ってるみたいなのに更に怒ってる」

「誰が怒らせてると思う? それより失礼ねあんたって。 私が普段怒ってるって?」



最近は怒ってるけど。



「ま、まあまあ、悪い悪い。 やっぱ皆本のことか?」

「なんで?」

「だって最初の頃こそ本庄と皆本って険悪だったけどここ最近じゃ話してたじゃん、しかもお前が楽しそうに話すのって皆本くらいだし周りからは…… あ、いや、それはいいな」

「そこまで言っておいてやめるなんてありえないでしょ、言ってよ」

「あー…… 周りからは2人は出来てるんじゃないかって」



出来てる? はあッ?!



「それって私と新太が付き合ってるって?」

「そう…… だけど違うの?」

「違うわよ! 新太とは友達なんだから」

「友達? …… そっか友達だったのか」

「なんで楽しく喋ってて恋人だと思われなきゃいけないのよ!?」

「だって本庄って誰に対してもドライだし誰とも連まないし。 それなのに皆本とだけは話すから。 それに皆本にいつも告白されてたし」



これだから頭の中恋愛でいっぱいな奴ら嫌いなのよ、どうして私がそう見られなきゃいけないの?



だけど私はこの時自分と新太が恋人同士になったことを想像してしまってしかもそれも悪くないかもと思ったことに気付かないフリをしていた。



それと気付かないフリが出来たのは最近凪野さんが新太と一緒に居ることを目に焼き付けられたから。



「そ、そうだよな、誰と話そうが勝手に周りが言ってるだけで別に恋人とかって決め付けられても迷惑だよな」



隣で桐山が何か言ってるけど私の耳には桐山の言葉は入ってこなかった。



あれ? でも私は恋人じゃないって言ったのになんでこんなに変な気持ちになるんだろう? 







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